敗血症性ショックとステロイド
HYPRESS trial
敗血症に対するステロイドの効果を評価したRCTとして, French trialとCORTICUSは有名.
前者ではPlacebo群の死亡リスクが61%, 後者では32%と重症度に差があり, その点がStudyの結果に影響した可能性が指摘されている.
そこで, ある程度重症に限って数千人規模で評価したADRENAL Studyが2013年に開始され, その結果がついに出版.
敗血症性ショック患者を対象としヒドロキシコルチゾン 200mg/日 投与群 vs プラセボ群に割り付け比較.(N Engl J Med 2018;378:797-808.)
・3800例を導入
・投薬は7日間もしくはICU退室, 死亡まで継続.
・導入基準と除外基準 (Crit Care Resusc 2013; 15: 83–88 )
導入基準(以下のすべてを満たす)
|
除外基準
|
18歳以上
|
基準を満たして>24時間経過した症例
|
感染部位が明らか or 感染がかなり疑わしい
|
敗血症性ショック以外に理由でステロイドが必要
|
SIRSの基準 2/4以上を満たす
|
脳マラリアに罹患している患者
|
人工呼吸器管理(NPVを含む)中
|
糞線虫症に罹患している患者
|
血圧維持のためにカテコラミンを使用中
(目標sBP>90, MAP>60mmHg) |
エトミデートを使用している患者
アムホテリシンBを使用している患者 |
カテコラミンを4時間以上使用している患者
|
死が切迫している状態, もしくは積極的治療希望しない患者
|
|
90日以内に基礎疾患により死亡する可能性がある患者
|
母集団データ
・この集団のAPATCH IIは23-24程度.
アウトカム
・両群の90日死亡リスクは28%程度と有意差なし.
Placebo群の死亡率ではCORTICUS studyとほぼ同等. French trialには至らない.
・ショック離脱までの期間, 呼吸器管理期間はステロイド群で有意に短縮される
・輸血頻度も低下
90日死亡リスクとサブ解析
・APATCH II 25で分けても有意差なし
副作用頻度: ステロイドで多い
--------------------------------
密かに待っていたADRENAL studyの結果がでました
結果的にはいままでと認識は変わりなし.
CORTICUSよりも重症例を導入する, と思いきや同程度だったのがやや残念でした