腸内細菌の菌血症における推奨治療期間は7-14日とされている.
Propensity score-matched analysisにおいて, 短期間治療群(6-10日) vs 長期間治療群(11-16日)でアウトカムを比較した報告
(Clinical Infectious Diseases® 2018;66(2):172–7 )
・1769例の腸内細菌菌血症症例のうち, 385ペアを解析.
・短期治療群では8日間[7-9]
長期治療群では15日間[13-15]抗菌薬を使用.
・感染フォーカスとして多いのはUTIで3-4割, ついで消化管が2割程度
ほぼ全例が感染巣のコントロールがされている.
起因菌の頻度
・大腸菌やクレブシエラで大半を占める
アウトカム
・短期治療で死亡リスクが増加することはない.
UTIを対象としたRCTもあり,
≥18y, 女性の市中腎盂腎炎 248名のRCT.
(Lancet 2012;380:484-90)
・CPFX 500mg bid 7d vs 14dで比較.
・最初の7dはOpen-label, その後7-14dはDouble-blind.
OutcomeはCPFX終了後10-14dでの短期治癒率と42-63dでの長期治癒率
(短期治癒率の評価は, 両群でCPFXが終了するタイミングが異なるため,
全患者で17-21日目, 24-28日目にフォローした)
・治癒は症状の改善と再燃が無いことを確認して判断.
・患者は腎盂腎炎の診断が付く前に割り付けされており, 後に腎盂腎炎ではないと判断された場合, CPFX耐性菌の場合等は除外.
248名中, 最終的に解析されたのは156名(62.9%)
・除外理由;
・Baseline;年齢は41-46歳.
・血液培養陽性例は2ー3割
アウトカム: 治癒率
・CPFX終了後10-14日目の治癒率, 長期治癒率は両者同等.
・血液培養陽性群 vs 陰性群の比較では, 両者で治癒率は同等(陽性群 95% vs 陰性群 97%, p=0.412)
・血液培養陽性群のみで, 7d投与群 vs 14d投与群の比較でも, 治癒率は同等(7d投与群 94% vs 14d投与群 96%, p=0.623)
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・感染巣がコントロールされていれば, 腸内細菌の菌血症の抗菌薬投与期間は1週間程度でOKと言える.
・反応が悪い症例やなかなか臨床所見の改善がない場合, 局所検体のグラム染色所見によっては延長を考慮するという感じ.