白人における疾患とHLA-B27保有率は以下のとおり
(Ann Intern Med 2002;136:896-907)
Disease |
HLA-B27保有率 |
Ankylosing Spondylitis |
90% |
Reactive Arthritis |
40-80% |
Juvenile Spondyloarthropathy |
70% |
Enteropathic(IBD) |
35-75% |
Psoriatic |
40-50% |
その他 分類不能 |
70% |
急性前眼房性ぶどう膜炎 |
50% |
A弁閉鎖不全 + ブロック |
80% |
・HLA-B27保有者の中で, 発症するのは10%のみであり, スクリーニングは必要なし
・家族内で発症者(+) + 本人のHLA-B27(+) ⇒ 発症率は30%
地域別のHLA-B27保有率は以下のとおり
(Current Opinion in Rheumatology 2001;13:285-90)
地域 |
HLA-B27保有率 |
SpA有病率 |
白人 |
10% |
0.1-0.9% |
インドネシア |
10% |
稀 |
中国 |
8% |
0.2% |
日本 |
1% |
0.01% |
上記のHLA-B27以外に関連するものはあるか?
HLA-B27と交叉反応を示すタイプにHLA-B7, B22, B39, B40, B42, B60があり, これらも脊椎関節炎発症と関連性があると指摘されている (Modern Physician 2010;30:1525-28).
日本国内の症例におけるHLAタイプ
(J Orthop Sci (2015) 20:1070–1077)
・ばらつきはあるが, これらタイプも関連性がある可能性.
インドにおけるHLA-B27陰性SpA症例100例の解析
(Hindawi Publishing Corporation Autoimmune Diseases Volume 2014, Article ID 327315)
・HLA-B7は有意にSpAリスクとなるタイプ
・HLA-B40はリスク減少
コロンビアにおける健常人100例とSpA 178例の解析では, SpAに関連するHLA型はHLA-B27とB15のみ.
(BMJ Open 2015;5:e009092.)
・HLA-B27は70例, HLA-B15は34例で認められた.
・HLA-B15とHLA-B27は脊椎関節炎のリスク因子となる
HLA-B27陽性例と陰性例で差はあるか?
708例の炎症性背部痛(654例で1つ以上のSpAクライテリアを満たした)症例において, HLA-B27陽性群, 陰性群を比較
・患者は18-50歳で, 3ヶ月以上, 3年未満の炎症性背部痛を認め, SpAを示唆する症状を有する群を対象
・HLA-B27陽性例は61.5%で認められた.
両群の比較
・HLA-B27陽性例では男性が占める割合が高い(51.2% vs 37.4)
・またHLA-B27陽性率は若年発症ほど高い
陽性例の方がMRIにおける関節炎症所見が高度となる