緊急手術や処置が必要となり, 時間が経過すると精巣機能予後に関わる.
確実な診断方法は精巣エコーであるが,
それを行う前にある程度可能性が詰められればコンサルトも迅速に行える.
それを目的として, 臨床所見スコアを作成.
急性陰嚢痛を主訴に来院した小児例338例を前向きに評価
(J Urol. 2013 May;189(5):1859-64.)
・そのうち51例が精巣捻転であった.
・精巣捻転を示唆する身体所見を抽出し, 臨床スコアを作成.
また, Retrospective cohortにおいてValidationを施行した.
・有意に精巣捻転を示唆する所見とそのスコアは以下の通り
所見 | 点数 |
精巣腫脹 | 2点 |
精巣の触診で硬 | 2点 |
精巣挙筋反射消失 | 1点 |
悪心/嘔吐 | 1点 |
患側精巣の位置が高い | 1点 |
点数 | Derivation | Validation |
0 | 0 | 0 |
1 | 0 | 0 |
2 | 0 | 0 |
3 | 7% | 75% |
4 | 40.9% | 93% |
5 | 100% | 100% |
6 | 100% | 100% |
7 | 100% | 100% |
3-4点が中リスク
5-7点が高リスク
カットオフ2-5点としたときに感度 54-76%, 特異度 81-97%で精巣捻転を示唆する.
そのTWISTスコアのValidation study
J Urol. 2016 Jan 30. pii: S0022-5347(16)00224-X. doi: 10.1016/j.juro.2016.01.101. [Epub ahead of print]
Diagnosing Testicular Torsion before Urologic Consultation and Imaging: A Validation of the TWIST Score.
片側の陰嚢痛で受診した小児例 128例で, 非専門医がTWISTスコアを評価した前向きStudy
・128例中44例が精巣捻転であった.
・スコア 0点ならば否定可能.
・1-5点では可能性あり(34.1%)
・6-7点では可能性高い
・オリジナルよりは診断能は劣る結果
小児のTANNER分類別の診断能
TANNER 1-2よりはTANNER 3-5の方が特異性は高く, 感度はやや劣る印象.
これを踏まえて, 原文ではTWIST ≥6点の場合, TANNER 1-2ではさらにエコーを推奨しているが, TANNER 3-5ではエコーなしで精巣捻転と診断することを推奨している.
成人例でのValidationはないため成人の捻転を評価する際に使用するには注意が必要だが,
応用は可能と考えられる.
低リスク 0-1点では除外可
中リスク 2-5点ではエコーを
高リスク ≥6点ではすぐにコンサルト or 紹介転院を という感じで対応するとよいかもしれない