いくつか眼に留まった興味深い論文を紹介します。
ACTH負荷試験の新しいMeta-analysis
(J Clin Endocrinol Metab 101: 427–434, 2016)
今までのメタは2003年のAnn Intern Med 2003;139:194-204でしたが、2016年に新しいメタがでました。
・原発性におけるACTH負荷試験は250µg, 1µg関わらず, 感度は92%と良好。
・続発性では, 以下の通り
検査 | 母集団 | 感度(%) | 特異度(%) | LR+ | LR- |
250µg ACTH負荷 | 成人 | 64[52-73] | 93[89-96] | 9.1[5.7-14.6] | 0.39[0.30-0.52] |
1µg ACTH負荷 | 成人 | 83[75-89] | 86[78-91] | 5.9[3.8-8.9] | 0.19[0.13-0.29] |
250µg ACTH負荷 | 小児 | 36[10-73] | 99[81-99] | 43.5[1-1891] | 0.65[0.36-1.15] |
1µg ACTH負荷 | 小児 | 69[28-93] | 91[63-98] | 7.7[1.3-44.8] | 0.34[2-313] |
成人における感度は差がありそうであるが, 負荷量間で有意差はない.
・カットオフとLRは以下の通り(成人のみ紹介)
成人例 | Cutoff(µg/dL) | LR+ | LR- |
250µg ACTH負荷 | 30分後 <18 | 6.3[2.5-16] | 0.32[0.20-0.51] |
ピーク <18 | 12.4[6.7-23.0] | 0.48[0.32-0.72] | |
ピーク <20 | 6.4[3.4-12] | 0.36[0.21-0.61] | |
1µg ACTH負荷 | 30分後 <18 | NR | NR |
ピーク <18 | 7.1[4.3-11.6] | 0.21[0.13-0.33] | |
ピーク <20 | 3.8[1.5-9.4] | 0.23[0.11-0.49] |
副腎不全におけるヒドロコルチゾンの投与量はどの程度がベストか?
・27例のAI患者と健常人コントロールにおいて, 1時間毎に血液検査を施行し, Cortisolの変動を評価.(PLoS One. 2015 Aug 28;10(8):e0135975. )
ヒドロコルチゾンの投与量は6mg/m2, 10mg/m2, 14mg/m2の3種類.
1日3回(8時, 12時, 16時), 3:1.5:1.5の割合で投与する.
血清コルチゾールの変動
・HC投与後1時間後にCortisolはピークとなる.
・6mg/m2/dを1日3回投与 (3:1.5:1.5)で投与する方法が最も生理的に近い
ACTHの変動
・10mg/m2, 14mg/m2はACTHが抑制されている.
投与量が過剰である可能性が示唆される.
ということで, 副腎不全におけるヒドロコルチゾンは6mg/m2/日を,
8時、12時、16時に3:1.5:1.5で投与するのがベストといえる
ステロイド投与中の患者における副腎不全リスクを評価したMeta
(J Clin Endocrinol Metab 100: 2171–2180, 2015)
・投与経路と副腎不全リスク
経口投与 — 48.7%[36.9-60.6]
吸入 — 7.8%[4.2-13.9]
外用 — 4.7%[1.1-18.5]
経鼻 — 4.2%[0.5-28.9]
関節内 — 52.2%[40.5-63.6]
筋注 — 42.7%[28.6-58.0]
・投与量, 期間によるリスク
吸入 — 7.8%[4.2-13.9]
外用 — 4.7%[1.1-18.5]
経鼻 — 4.2%[0.5-28.9]
関節内 — 52.2%[40.5-63.6]
筋注 — 42.7%[28.6-58.0]
・投与量, 期間によるリスク
短期間: <1M 中期間: 1M-1Y 長期間: >1Y
投与量は, 疾患に応じた推奨量範囲内ならば中用量. それ以下ならば低用量, それ以上ならば高用量と定義
投与量は, 疾患に応じた推奨量範囲内ならば中用量. それ以下ならば低用量, それ以上ならば高用量と定義
・基礎疾患別の副腎不全リスク
くも膜下出血後の下垂体不全リスクを評価したMeta
Pituitary Dysfunction After Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage: A Systematic Review and Meta-analysis. Neurosurgery 2015
これは画像のみ: