E型肝炎ウイルスはイノシシやシカ, ブタの摂取がリスクとなることが国試的にも有名であるが, ウシ, ヤギ, ヒツジ, サル, イヌ, ネコ, ラットでもHEV抗体を有する報告がある
野生動物におけるHEV-RNA保有率はどの程度あるのか?
愛知, 長野で捕獲された野生のイノシシ91頭, カモシカ19頭, シカ13頭の肝臓,糞便, 血液を材料とし, HEV-RNAを評価した報告.
・カモシカ, シカ検体からはHEV-RNA検出されたものは無し.
イノシシでは11/91(12.1%)で陽性. 全てIV型.
・抗体検査では, シカは全て陰性. イノシシは25/91(27.5%)で陽性
(肝臓 2006;47(6):316-318)
2010-2014年に愛知県岡崎市近郊で捕獲されたイノシシ439頭, シカ185頭より採取された肝臓より, HEV-RNAを評価した報告.
・イノシシより49/439(11.2%)でHEV-RNA陽性.
シカ185検体のうち, 検出された検体は無し.
・イノシシの推定体重でみると,
40kg未満の個体群における陽性率は13.0%
40kg以上の個体群では2.7%と有意に低い
・これは飼養ブタにおいて, HEV-RNAは2-3ヶ月齢のブタで陽性率が高く, 6ヶ月齢では陽性率が低い報告から, 1-3ヶ月齢での水平感染の可能性が推測される.
(食衛誌 2015;56(6): 252-255)
熊本県における調査
2006-2013年に熊本県内でと畜されたイノシシ253頭, シカ63頭, ブタ1634頭において, HEV-RNAを評価
・イノシシの陽性率は6.7%
シカからの陽性例は無し
・ブタは0.9%で陽性
・ブタにおけるHEV-IgG保有率は71.9%で, 養豚場間で0-100%と差が大きかった.
--------------------------------
狩猟内科医として, 国家試験問題を作成するとしますと,
Q. 以下の動物でE型肝炎ウイルス保有リスクが高いものを2つ選べ
a イノシシ
b シカ
c ウシ
d カモシカ
e ブタ
となるわけですね.
特に専門は絞っていない内科医のブログ *医学情報のブログです. 個別の相談には応じられません. 現在コメントの返事がうまくかけませんのでコメントを閉じています. コメントがあればFBページでお願いします
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2020年3月26日木曜日
2020年3月25日水曜日
頭部外傷後頭痛の特徴
外傷性脳挫傷後の57.8%[55.5-60.2]に慢性頭痛を伴う
(JAMA 2008;300:711-9)
どのような頭痛になるのだろうか?
新規に配置された兵士を対象としたCohort(Warrior Strong cohort)において, 軽症頭部外傷歴, 外傷後頭痛の有無, 特徴を調査した報告
(Neurology® 2020;94:e1137-e1146.)
・調査した1567例中, 軽症頭部外傷歴(脳震盪)があるのは557例, 陰性例は1030例.
軽症頭部外傷歴がある群はさらに外傷後頭痛(+) 230, (-) 327例に分類
・頭部外傷後頭痛のタイプ分類では,
片頭痛が18.3%をしめる. また, 前兆を伴うのが14.8%認められた.
頭部外傷後頭痛の特徴
(JAMA 2008;300:711-9)
どのような頭痛になるのだろうか?
新規に配置された兵士を対象としたCohort(Warrior Strong cohort)において, 軽症頭部外傷歴, 外傷後頭痛の有無, 特徴を調査した報告
(Neurology® 2020;94:e1137-e1146.)
・調査した1567例中, 軽症頭部外傷歴(脳震盪)があるのは557例, 陰性例は1030例.
軽症頭部外傷歴がある群はさらに外傷後頭痛(+) 230, (-) 327例に分類
・頭部外傷後頭痛のタイプ分類では,
片頭痛が18.3%をしめる. また, 前兆を伴うのが14.8%認められた.
頭部外傷後頭痛の特徴
・片側性, 拍動性の頭痛,
光過敏や聴覚過敏, 異痛など前兆症状のORが高い
参考: 細かい数字, %の表
また, 頭部外傷後頭痛は時間経過で軽快するが, それでも頭痛の程度は強い
2020年3月24日火曜日
ステロイド長期使用におけるメトフォルミンの併用
(Lancet Diabetes Endocrinol. 2020 Apr;8(4):278-291. doi: 10.1016/S2213-8587(20)30021-8.)
UKの4病院におけるDB-RCT(phase 2)
糖尿病(-)の炎症性疾患においてPSLを継続的に使用(≥20mg/dを≥4wk, さらに≥10mg/dをその後≥12wk継続, またはそれと同等の総量を使用)している患者群を対象とし,
・Met投与群 vs Placebo群に割り付け, 12wk継続した.
・Metは850mg/dを5日間, その後850mg bidを5日間, その後850mg tidを継続
・アウトカムは臓器-皮下脂肪比, 代謝マーカー, 骨, 心血管, 炎症マーカーの変化を評価した.
母集団
・母集団の背景は喘息, 血管炎, サルコイドーシス, SLE, RA, ILD, MCTD, ぶどう膜炎, 筋炎など
アウトカム
・両群で臓器-皮下脂肪量比は有意差無いが
Met投与群では, 皮下脂肪量は有意に低下
一方で臓器脂肪量は有意差なし.
・他にMet群において, HbA1cの低下, HOMAの低下, LDLの低下, 空腹感, 糖分渇望感の低下を認める
・他, 呼吸器病変がある患者において, 呼吸苦VASの改善や, BMDの改善が期待できる
細かいアウトカム
合併症
・Met群で有意に増加するのは下痢症状
・重大な副作用はPlacebo群で多い結果
-----------------------------
長期間のステロイドを使用する患者において, メトフォルミンの併用は様々な代謝系合併症を予防し得る可能性がある.
小規模のPhase 2ではあるが, 今後Phase 3につながる可能性が高く, 期待したいところ.
個人的には長期間のステロイドユーザーで、HbA1cが軽度でも上昇する場合はナルハヤでメトフォルミン導入していることが多いっす.
UKの4病院におけるDB-RCT(phase 2)
糖尿病(-)の炎症性疾患においてPSLを継続的に使用(≥20mg/dを≥4wk, さらに≥10mg/dをその後≥12wk継続, またはそれと同等の総量を使用)している患者群を対象とし,
・Met投与群 vs Placebo群に割り付け, 12wk継続した.
・Metは850mg/dを5日間, その後850mg bidを5日間, その後850mg tidを継続
・アウトカムは臓器-皮下脂肪比, 代謝マーカー, 骨, 心血管, 炎症マーカーの変化を評価した.
母集団
・母集団の背景は喘息, 血管炎, サルコイドーシス, SLE, RA, ILD, MCTD, ぶどう膜炎, 筋炎など
アウトカム
・両群で臓器-皮下脂肪量比は有意差無いが
Met投与群では, 皮下脂肪量は有意に低下
一方で臓器脂肪量は有意差なし.
・他にMet群において, HbA1cの低下, HOMAの低下, LDLの低下, 空腹感, 糖分渇望感の低下を認める
・他, 呼吸器病変がある患者において, 呼吸苦VASの改善や, BMDの改善が期待できる
細かいアウトカム
合併症
・Met群で有意に増加するのは下痢症状
・重大な副作用はPlacebo群で多い結果
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長期間のステロイドを使用する患者において, メトフォルミンの併用は様々な代謝系合併症を予防し得る可能性がある.
小規模のPhase 2ではあるが, 今後Phase 3につながる可能性が高く, 期待したいところ.
個人的には長期間のステロイドユーザーで、HbA1cが軽度でも上昇する場合はナルハヤでメトフォルミン導入していることが多いっす.
2020年3月19日木曜日
顔だけが痩せてくる病気
緩徐に進行する顔面のみが痩せてくる, という成人症例
両側性に頬骨が飛び出し, 頬も羸痩が高度.
ALSや筋炎疾患は神経内科診察にて否定的. 顔面, 表情筋は保たれているとの評価
食事量は特に変化なく, 十分量摂れているという.
甲状腺疾患や副腎不全も否定されている.
どのような病気が考えられるだろうか?
------------------
顔面の羸痩で, 低栄養でもなく, 筋は保たれているという症例.
となると, 皮下組織や脂肪の萎縮を呈する病態なのか.
どのような病気を考えるべきだろうか?
成人発症, 後天性の顔面皮下組織の萎縮を呈する病態には主に以下のような病気がある.
・Acquired partial lipodystrophy(APL), Barraquer-Simons Syndrome
・Progressive hemifacial atrophy(PHA), Parry-Romberg Syndrome
・Morphea en coup de sabre (MCDS)
(JAAD Case Reports 2019;5:209-12.)
Progressive hemifacial atrophy(PHA)と MCDS
PHAは進行性の顔面皮下組織, 皮下脂肪, 軟骨, 骨の萎縮を呈する病態
ECDSは前額頭頂部の頭蓋や頭蓋中心部に沿った分布で, 線状の皮下組織の萎縮を認める.
・PHAもMCDSも限局性強皮症の1亜型とされ, これらは合併することも多い.
(Orphanet Journal of Rare Diseases (2015) 10:39)
PHAは20歳までに生じることが多いが, 報告では高齢発症もある
・片側性が主だが, 両側性は2-7%, また, 最高齢では75歳の報告がある
・発症後は緩徐に進行する経過となるが, Self-limitedな経過となる
・出産や妊娠, 外傷, 手術, ストレスを契機に増悪する報告もある.
・典型的には前額部よりも下部の片側性の顔面皮下組織の萎縮が認められる.
・三叉神経支配領域に沿って分布する.
・皮下組織自体の萎縮は軽度であるが, 脂肪, 筋, 軟骨, 骨の萎縮が高度.
・ただし舌や歯肉, 歯, 軟口蓋も障害されることがある
PHAは皮膚以外の障害を伴うことも稀ではない
・最も多いのは神経障害. てんかんや頭痛が多い合併症
・てんかん発作は同側の大脳皮質を焦点とする発作が典型的.
脳神経障害としては, III, V, VI, VII神経の障害が認められることがある
・変形した骨や皮下組織による三叉神経痛の合併もある
・また, 障害部位の血管変性を生じ, それに伴い小脳萎縮や他の神経症状を呈する例もある
・深部組織の障害により視力低下や失明を呈する例もある
下顎, 咀嚼筋の障害による歯牙の異常,他には構語, 咀嚼, 笑顔, 会話の障害も生じ得る
両側性のPHA. ECDSも合併していますね.
(JAAD Case Reports 2019;5:209-12.)
ECDSは前額頭頂部の頭蓋や頭蓋中心部に沿った分布で, 線状の皮下組織の萎縮を認める
・En coup de sabre はサーベル状切痕という意味
・前額部から下部に伸びて, 鼻や頬部, 稀に上唇部に及ぶものもある.
さらに両側性となる例もある
・皮膚は色素沈着を認め, 光沢を帯びた硬化した皮膚となる
・これら臨床所見が主にPHAとECDSを分けるポイントとなる
PHAとECDSの比較
(Orphanet Journal of Rare Diseases (2015) 10:39)
En coup de sabre morpheaとPHA 54例の解析
・Mayo Clinicのデータベースより1984-2004年に診断された症例を評価
・En coup de sabre morpheaが26例, PHAが13例, 双方合併が15例
・54例中, 37例(68.5%)が女性.
発症年齢は13.6歳(中央値10.5歳, 範囲0.3-75歳)
・発症~診断までの期間は8.9年(中央値4.3年, 範囲0.3-45.9年)
・両側性が7.4%.
・顔面以外の皮膚に障害を認めたのが13%
また, 痙攣を合併する例が13%と最も多い神経症状となる.
・治療は抗マラリア薬, MTXが選択されていることが多い.
( J Am Acad Dermatol 2007;56:257-63.)
インターネットを用いてPHA 205例を評価した報告
・最高年齢は64歳, 両側性は2.4%
(NEUROLOGY 2003;61:674–676)
Acquired partial lipodystrophy(APL), Barraquer-Simons Syndrome
(Am J Med Sci 2016;352(3):280–284.)
小児~10代で認められることが多い, 顔面~上半身にかけての皮下脂肪の萎縮を伴う病態.
・左右対称性に顔面, 上半身から生じ, 殿部にかけて下降する
・下腹部や臀部, 下肢は反対に脂肪が沈着する.
・他に自己免疫疾患や代謝性疾患を合併することも多く, 低補体血症, 糖尿病, 高TG血症, SLE, 皮膚筋炎, 膜性増殖性糸球体腎炎合併の報告がある.
・遺伝の関連も指摘されているが, 一部の孤発性の症例において, Lamin B2, Adipogenesis gene markerの発現の増加, ミトコンドリア遺伝子異常が発見されているものの, 全体的には関連性は不明.
両側性に頬骨が飛び出し, 頬も羸痩が高度.
ALSや筋炎疾患は神経内科診察にて否定的. 顔面, 表情筋は保たれているとの評価
食事量は特に変化なく, 十分量摂れているという.
甲状腺疾患や副腎不全も否定されている.
どのような病気が考えられるだろうか?
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顔面の羸痩で, 低栄養でもなく, 筋は保たれているという症例.
となると, 皮下組織や脂肪の萎縮を呈する病態なのか.
どのような病気を考えるべきだろうか?
成人発症, 後天性の顔面皮下組織の萎縮を呈する病態には主に以下のような病気がある.
・Acquired partial lipodystrophy(APL), Barraquer-Simons Syndrome
・Progressive hemifacial atrophy(PHA), Parry-Romberg Syndrome
・Morphea en coup de sabre (MCDS)
(JAAD Case Reports 2019;5:209-12.)
Progressive hemifacial atrophy(PHA)と MCDS
PHAは進行性の顔面皮下組織, 皮下脂肪, 軟骨, 骨の萎縮を呈する病態
ECDSは前額頭頂部の頭蓋や頭蓋中心部に沿った分布で, 線状の皮下組織の萎縮を認める.
・PHAもMCDSも限局性強皮症の1亜型とされ, これらは合併することも多い.
(Orphanet Journal of Rare Diseases (2015) 10:39)
PHAは20歳までに生じることが多いが, 報告では高齢発症もある
・片側性が主だが, 両側性は2-7%, また, 最高齢では75歳の報告がある
・発症後は緩徐に進行する経過となるが, Self-limitedな経過となる
・出産や妊娠, 外傷, 手術, ストレスを契機に増悪する報告もある.
・典型的には前額部よりも下部の片側性の顔面皮下組織の萎縮が認められる.
・三叉神経支配領域に沿って分布する.
・皮下組織自体の萎縮は軽度であるが, 脂肪, 筋, 軟骨, 骨の萎縮が高度.
・ただし舌や歯肉, 歯, 軟口蓋も障害されることがある
PHAは皮膚以外の障害を伴うことも稀ではない
・最も多いのは神経障害. てんかんや頭痛が多い合併症
・てんかん発作は同側の大脳皮質を焦点とする発作が典型的.
脳神経障害としては, III, V, VI, VII神経の障害が認められることがある
・変形した骨や皮下組織による三叉神経痛の合併もある
・また, 障害部位の血管変性を生じ, それに伴い小脳萎縮や他の神経症状を呈する例もある
・深部組織の障害により視力低下や失明を呈する例もある
下顎, 咀嚼筋の障害による歯牙の異常,他には構語, 咀嚼, 笑顔, 会話の障害も生じ得る
両側性のPHA. ECDSも合併していますね.
(JAAD Case Reports 2019;5:209-12.)
ECDSは前額頭頂部の頭蓋や頭蓋中心部に沿った分布で, 線状の皮下組織の萎縮を認める
・En coup de sabre はサーベル状切痕という意味
・前額部から下部に伸びて, 鼻や頬部, 稀に上唇部に及ぶものもある.
さらに両側性となる例もある
・皮膚は色素沈着を認め, 光沢を帯びた硬化した皮膚となる
・これら臨床所見が主にPHAとECDSを分けるポイントとなる
PHAとECDSの比較
(Orphanet Journal of Rare Diseases (2015) 10:39)
En coup de sabre morpheaとPHA 54例の解析
・Mayo Clinicのデータベースより1984-2004年に診断された症例を評価
・En coup de sabre morpheaが26例, PHAが13例, 双方合併が15例
・54例中, 37例(68.5%)が女性.
発症年齢は13.6歳(中央値10.5歳, 範囲0.3-75歳)
・発症~診断までの期間は8.9年(中央値4.3年, 範囲0.3-45.9年)
・両側性が7.4%.
・顔面以外の皮膚に障害を認めたのが13%
また, 痙攣を合併する例が13%と最も多い神経症状となる.
・治療は抗マラリア薬, MTXが選択されていることが多い.
( J Am Acad Dermatol 2007;56:257-63.)
インターネットを用いてPHA 205例を評価した報告
・最高年齢は64歳, 両側性は2.4%
(NEUROLOGY 2003;61:674–676)
Acquired partial lipodystrophy(APL), Barraquer-Simons Syndrome
(Am J Med Sci 2016;352(3):280–284.)
小児~10代で認められることが多い, 顔面~上半身にかけての皮下脂肪の萎縮を伴う病態.
・左右対称性に顔面, 上半身から生じ, 殿部にかけて下降する
・下腹部や臀部, 下肢は反対に脂肪が沈着する.
・他に自己免疫疾患や代謝性疾患を合併することも多く, 低補体血症, 糖尿病, 高TG血症, SLE, 皮膚筋炎, 膜性増殖性糸球体腎炎合併の報告がある.
・遺伝の関連も指摘されているが, 一部の孤発性の症例において, Lamin B2, Adipogenesis gene markerの発現の増加, ミトコンドリア遺伝子異常が発見されているものの, 全体的には関連性は不明.
2020年3月13日金曜日
手首, 母指の疼痛ではスマホをチェック
De Quervain tenosynovitis: ドケルバン腱鞘炎
手の短母指伸筋腱, 長母指伸筋腱鞘の炎症により, 手関節や母指の疼痛を呈する病態.
・手首, 母指をよく使うスポーツや, 仕事, 作業により生じることが多い
・近年スマートフォンの使用もリスクとなることがわかっている
サウジアラビアの医大生 387人において, スマートフォン依存と手首, 母指の疼痛の関連を評価
(Medicine 2020;99:10(e19124).)
・スマートフォン依存はSmartphone addiction scale-short version(SAS-SV)で評価
10項目において評価する方法
・手首, 母指の疼痛を認める患者群では, Finkelstein testを評価した.
アウトカム
・医学生のうち, スマホ依存と判断されたのは66.4%
・手首, 母指に疼痛を自覚したのは20.4%
・Finkelstein testが陽性であったのは19.1%
男性の10.8%, 女性の28.4%であった.
スマホ依存群と非依存群における手首・母指疼痛, 機能
・Total scoreで評価すると有意に依存群で症状が強い
・疼痛, 機能それぞれも依存群で症状が強くなる傾向がある.
--------------------------
若年(今後は中年も含まれてゆくと思いますが)の手首の疼痛, 母指の疼痛ではスポーツやら仕事も当然確認しますが, スマホの使用頻度の確認も必要.
以前ニンテンドーWiiによるWiiitis(これは肩とか肘の関節痛や筋肉痛ですが)というのもあったのを思い出しました
手の短母指伸筋腱, 長母指伸筋腱鞘の炎症により, 手関節や母指の疼痛を呈する病態.
・手首, 母指をよく使うスポーツや, 仕事, 作業により生じることが多い
・近年スマートフォンの使用もリスクとなることがわかっている
サウジアラビアの医大生 387人において, スマートフォン依存と手首, 母指の疼痛の関連を評価
(Medicine 2020;99:10(e19124).)
・スマートフォン依存はSmartphone addiction scale-short version(SAS-SV)で評価
10項目において評価する方法
・手首, 母指の疼痛を認める患者群では, Finkelstein testを評価した.
アウトカム
・医学生のうち, スマホ依存と判断されたのは66.4%
・手首, 母指に疼痛を自覚したのは20.4%
・Finkelstein testが陽性であったのは19.1%
男性の10.8%, 女性の28.4%であった.
スマホ依存群と非依存群における手首・母指疼痛, 機能
・Total scoreで評価すると有意に依存群で症状が強い
・疼痛, 機能それぞれも依存群で症状が強くなる傾向がある.
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若年(今後は中年も含まれてゆくと思いますが)の手首の疼痛, 母指の疼痛ではスポーツやら仕事も当然確認しますが, スマホの使用頻度の確認も必要.
以前ニンテンドーWiiによるWiiitis(これは肩とか肘の関節痛や筋肉痛ですが)というのもあったのを思い出しました
2020年3月11日水曜日
IgG4関連涙腺炎/唾液腺炎 と シェーグレン症候群の唾液腺エコー
シェーグレン症候群における唾液腺エコーは診断に有用との報告は多い.
シェーグレン症候群(SS)のエコー所見としては,
・不均一なエコー所見, 類円形の低エコー域, 線状高エコー, エコー輝度の低下, 腺の萎縮, 境界不明瞭などの所見が得られる.
・Meta-analysisでは, 感度 46-92%, 特異度73-98%とばらつきが大きい. (Rheumatology (Oxford). 2016 May;55(5):789-800)
・また, US所見とESSDAIには相関性が認められる(PLoS ONE 12(8): e0182287)
エコーは10MHzで評価.
・仰臥位で頸部は軽度進展し, 左右に軽度回旋した体位で, 顎下腺と耳下腺を評価する
・顎下腺は長軸方向のみで評価し, 耳下腺はAxial, coronal planeで評価.
(Ann Rheum Dis 2010;69:1321–1324.)
同様に唾液腺を障害する疾患としてIgG4関連疾患(IgG4関連涙腺炎/唾液腺炎: IgG4-DS)がある.
68例のIgG4-DS疑い症例(血清IgG>1747mg/dL + 涙腺, 唾液線の腫脹を認める群)において, 血清IgG4, 口唇小唾液線(LSG)生検, 顎下腺US, 顎下腺の切開生検を施行.
(MODERN RHEUMATOLOGY 2020, VOL. 30, NO. 2, 379–384)
・顎下腺USは12MHzで, B-mode, Dopplerで評価.
・IgG4-DSの所見は, 以下を満たすことで定義
>低エコーの結節性病変で血管分布が豊富
>顎下腺表層部において, 低エコーの網状構造が認められる
・IgG4-DSの病理では, 異所性の胚中心(eGC)と, その周囲の線維性変化が目立ち, それがエコーにて結節性の低エコーと網状の高エコーを生じる
・SSでは複数の低エコー領域と線・点状の高エコー領域, 網状構造が全体で認められる.
・ML(悪性リンパ腫)では表層における低エコー性の網状構造が認められ, IgG4-DSに類似
母集団において, IgG4-DSと診断されたのは31例, SSは28例認められた.
・ML4例中3例が顎下腺US陽性となるため, 注意が必要
各検査における感度, 特異度
・顎下腺USの感度は100%と良好.
血清IgG4値を加えると特異度も95%とかなり良い.
・一方で口唇小唾液線生検の感度は64.5%とかなり低い.
-----------------------------
唾液腺腫脹でSSやIgG4-RDが鑑別に上がる際は顎下腺エコーを行うと両者の鑑別はつけやすいかもしれない.
ただし, IgG4-DSと悪性リンパ腫のエコー所見は類似している点は念頭に置いておくべし
シェーグレン症候群(SS)のエコー所見としては,
・不均一なエコー所見, 類円形の低エコー域, 線状高エコー, エコー輝度の低下, 腺の萎縮, 境界不明瞭などの所見が得られる.
・Meta-analysisでは, 感度 46-92%, 特異度73-98%とばらつきが大きい. (Rheumatology (Oxford). 2016 May;55(5):789-800)
・また, US所見とESSDAIには相関性が認められる(PLoS ONE 12(8): e0182287)
エコーは10MHzで評価.
・仰臥位で頸部は軽度進展し, 左右に軽度回旋した体位で, 顎下腺と耳下腺を評価する
・顎下腺は長軸方向のみで評価し, 耳下腺はAxial, coronal planeで評価.
(Ann Rheum Dis 2010;69:1321–1324.)
同様に唾液腺を障害する疾患としてIgG4関連疾患(IgG4関連涙腺炎/唾液腺炎: IgG4-DS)がある.
68例のIgG4-DS疑い症例(血清IgG>1747mg/dL + 涙腺, 唾液線の腫脹を認める群)において, 血清IgG4, 口唇小唾液線(LSG)生検, 顎下腺US, 顎下腺の切開生検を施行.
(MODERN RHEUMATOLOGY 2020, VOL. 30, NO. 2, 379–384)
・顎下腺USは12MHzで, B-mode, Dopplerで評価.
・IgG4-DSの所見は, 以下を満たすことで定義
>低エコーの結節性病変で血管分布が豊富
>顎下腺表層部において, 低エコーの網状構造が認められる
・IgG4-DSの病理では, 異所性の胚中心(eGC)と, その周囲の線維性変化が目立ち, それがエコーにて結節性の低エコーと網状の高エコーを生じる
・SSでは複数の低エコー領域と線・点状の高エコー領域, 網状構造が全体で認められる.
・ML(悪性リンパ腫)では表層における低エコー性の網状構造が認められ, IgG4-DSに類似
母集団において, IgG4-DSと診断されたのは31例, SSは28例認められた.
・ML4例中3例が顎下腺US陽性となるため, 注意が必要
各検査における感度, 特異度
・顎下腺USの感度は100%と良好.
血清IgG4値を加えると特異度も95%とかなり良い.
・一方で口唇小唾液線生検の感度は64.5%とかなり低い.
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唾液腺腫脹でSSやIgG4-RDが鑑別に上がる際は顎下腺エコーを行うと両者の鑑別はつけやすいかもしれない.
ただし, IgG4-DSと悪性リンパ腫のエコー所見は類似している点は念頭に置いておくべし
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