ブログ内検索

2015年9月23日水曜日

GCAに対するPET/CTの評価

GCA: 巨細胞性動脈炎.
大血管を侵す血管炎の1つであり, 特に有名なのは側頭動脈炎.

この診断には生検がGold standardであるが、近年エコーや、造影MRIなどによる診断も行われている。
そして、生検が困難で、MRIもエコーでも診断が難しい、、、、という例でPET/CTによる検査が有用との報告が出てきている。

では、PET/CTでどのような評価を行えば良いのか?

GCA患者18例(ステロイド未投与 12例)とControl群(炎症性疾患, 動脈硬化性疾患, 健常人)でPET/CTを評価. (Medicine 94(37):e1542) 
Control群の内訳
・炎症性疾患群: 不明熱でPET/CTを施行したGCA以外の患者18例
・動脈硬化性疾患群: 動脈硬化でVascular calcification score >2を満たす19例
・健常人 16例.

PET/CTの評価項目は
 ・肉眼評価: 第一印象(1a), 肝臓との取り込みの差(1b)
 ・半定量的評価: 
  大動脈のSUVmax(2a), 
  SUVmaxの大動脈-肝臓比(2b) 
  SUVmaxの大動脈-上大静脈比(2c), 
  SUVmaxの大動脈-下大静脈比(2d)
(standard uptake value :SUV)

アウトカム:
肉眼所見による評価
所見(取り込み)
感度(%)
特異度(%)
vs. 炎症性
特異度(%)
vs. 動脈硬化
特異度(%)
vs. 健常人
血管 = 肝臓
100%
67%
37%
50%
びまん性に血管 = 肝臓
89%(100%)
88%
79%
75%
血管 > 肝臓
83%(92%)
94%
79%
75%
びまん性に血管 > 肝臓
67%(83%)
100%
95%
100%
()内はステロイド未投与群でのみ評価した感度.
肉眼所見において、血管が肝臓よりも取り込みが亢進していれば有意と考える
 特にびまん性ならばなおさら可能性は高い。

半定量による評価
各病態別のSUVmax (standard uptake value)

各指標のカットオフと感度、特異度
半定量の評価で最も診断能が高いのはSUVmax 大動脈−肝臓比 ≥1.03
ステロイド未投与群では感度 92%、特異度92%と良好。
ステロイド投与群では大動脈のSUVmax ≥3.58が有用な所見と言える

メジコン®とキニジン®は焦燥感に効く

アルツハイマー病、もしくは疑い患者で興奮症状を認める220例を対象としたDB−RCT.
(JAMA. 2015;314(12):1242-1254. )

・興奮症状はClinical Global Impressions-Severity agitation score ≥4で定義
・ADはMMSE 8-28の患者群

上記患者群を
 Dextromethrophan-Quinidine群 vs Placeboに3:4で割り付け5wk継続(stage 1)
 その後Placebo群はさらに治療群 vs Placebo群に割り付け5wk継続(stage 2).


Dextromethrophan: メジコン®, 
Quinidine: キニジン®
 初期は20mg/10mgを1日1回朝. 2−3wkで1日2回 朝夕へ増量.
 その後30mg/10mgを1日2回朝夕で維持.
レスキューとしてロラゼパム経口投与(1.5mg/d)を使用

キニジン®は粉末を0.01gで10mg. 通常使用量の10−40分の1程度
メジコン®は1T 15mgであり、4錠分2と普段使用する量程度。

アウトカム

治療群で有意に興奮症状の改善が認められる

副作用で多いものは(治療群 vs プラセボ)
 転倒 8.6% vs 3.9%
 下痢 5.9% vs 3.1%
 尿路感染症 5.3% vs 3.9%
 ふらつき 4.6% vs 2.4%

メジコン®は普段よく使用する薬剤の1つ(鎮咳薬として)。あまり過鎮静となる印象も無い。
キニジン®は抗不整脈薬であり、普段使用しないが、このStudyでの使用量は1回10mg程度。キニジン®は1錠100mgであり、2−4錠ほど使用することを考えると、その量は10−40分の1という少なさ。

認知症に伴う、興奮症状に対する薬剤としては非定型抗精神病薬やSSRIなどの抗うつ薬を使用することが多いが、高齢者への使用で問題となるのが過鎮静。
その点この合剤はそのリスクが低いのかもしれない。そのうち合剤で発売されるでしょうが、メジコン®とキニジンの粉末を使用すれば現時点でもできなくはない。

2015年9月17日木曜日

間欠性跛行の鑑別:神経性 vs 血管性

間欠性跛行は運動により下肢に疼痛やしびれ感、こむら返り、脱力感が生じる症状であり、腰部脊柱管狭窄症と末梢動脈疾患によるものが有名。

腰部脊柱管狭窄症による間欠性跛行を神経性間欠性跛行と呼び、
末梢動脈疾患による間欠性跛行を血管性間欠性跛行と呼ぶ。

両者でどのような症状の違いがあるかを評価したStudy (Can J Surg 2013;56:372-377)
間欠性跛行を伴う腰部脊柱管狭窄症, PAD患者 53例で症状を評価し, 両者の鑑別に有用な情報を評価.

神経性間欠性跛行を示唆する情報:

感度(%)
特異度(%)
LR+
LR−
(1)誘発因子: 立位
97[81-100]
70[47-86]
3.2[1.7-5.9]
0.04[0.01-0.34]
(2)誘発因子: 歩行
90[72-97]
4[0.2-24]
0.94[0.81-1.1]
2.30[0.12-43]
(3a)軽減因子: 座位
83[65-94]
78[56-92]
3.80[1.7-8.5]
0.21[0.08-0.44]
(4)姿勢: Shopping cart sign*
80[61-92]
52[31-73]
1.70[1.1-2.7]
0.38[0.17-0.85]
(7)姿勢: Walking uphill
23[11-43]
78[55-92]
1.07[0.39-2.9]
0.98[0.79-1.2]
(8)症状: しびれ感
75[55-89]
41[21-63]
1.30[0.84-1.9]
0.61[0.28-1.3]
(9)症状: こむら返り
53[35-71]
35[17-57]
0.82[0.52-1.3]
1.30[0.78-2.3]
(10)症状: 灼熱感
62[42-79]
52[31-73]
1.30[0.78-2.2]
0.73[0.42-1.3]
(11)症状: 脱力感
43[25-63]
59[37-79]
1.00[0.54-2.0]
0.97[0.66-1.4]
(5)部位: 膝よりも上位
80[61-92]
65[43-83]
2.30[1.3-4.1]
0.31[0.14-0.66]
改善までの時間 >10
30[15-50]
78[56-92]
1.40[0.53-3.6]
0.89[0.69-1.1]
(1)+(3a)
80[61-92]
87[65-97]
6.10[2.1-18]
0.23[0.11-0.48]
(1)+(3a)+(5)
67[47-82]
91[70-98]
7.70[2.0-30]
0.37[0.22-0.61]
(1)+(3a)+(5)+(4)
57[38-74]
96[76-100]
13.0[1.9-91]
0.45[0.30-0.68]
Shopping cart sign: 買い物カートに肘をついて前傾姿勢で押す姿勢

血管性間欠性跛行を示唆する情報:

感度(%)
特異度(%)
LR+
LR−
(2)誘因: 歩行
96[76-100]
10[3-28]
1.10[0.92-1.2]
0.43[0.04-5.3]
(2a)発症が予測できる
87[65-97]
37[21-56]
1.37[1.0-1.9]
0.36[0.11-1.1]
(3)軽減因子: 立位
78[56-92]
90[72-97]
7.80[2.6-23]
0.24[0.11-0.53]
(8)症状: しびれ感
59[37-79]
25[11-45]
0.79[0.52-12]
1.60[0.80-3.3]
(9)症状: こむら返り
65[43-83]
47[29-65]
1.20[0.78-1.9]
0.75[0.40-1.9]
(10)症状: 灼熱感
47[27-69]
38[21-58]
0.77[0.46-1.3]
1.37[0.83-2.3]
(11)症状: 脱力感
41[21-63]
57[37-75]
0.95[0.49-1.8]
1.00[0.69-1.5]
(6)部位: 下腿(ふくろはぎ)
78[56-92]
73[54-87]
2.90[1.6-5.5]
0.30[0.13-0.66]
(11a)改善までの時間 1−2
57[35-76]
57[38-74]
1.30[0.76-2.2]
0.77[0.46-1.3]
(3)+(6)
65[43-83]
97[81-1.0]
20.0[2.8-140]
0.36[0.21-0.63]
まとめると
・立位で出現し, 座位にならないと改善しない大腿部の痛みは神経性
 また, 前傾姿勢で改善するのもポイント
・歩行で出現し, 立位でも改善する下腿の痛みは血管性.
といえる

症状から検査の方向性を決める際に有用

2015年9月16日水曜日

腰椎椎間板ヘルニアに対するSLR試験、Flip試験、Slump試験

SLR試験
腰椎椎間板ヘルニアの診察で有名なのはSLR(straight leg raising)試験
これは仰臥位で膝関節を進展した状態で, 検者が受動的に股関節を屈曲させる。
 検者が抵抗を感じるか、疼痛が再現されるまで行い, そのROMを0−90度で評価する。
 疼痛が再現されれば、その状態から足関節を背屈させ, 疼痛の増強があるかも評価。
 疼痛が再現されれば陽性と判断、またはそのROMで表す。

・コクランにおけるSLRの感度は92%[87-95], 特異度 28%[18-40]と感度は良好だが特異度は低い(Cochrane Database Syst Rev. 2010 Feb 17;(2):CD007431. doi: 10.1002/14651858.CD007431.pub2.)
・Crossed SLRという, 健側の挙上にて患側で坐骨神経痛が増強する所見は、感度28%[22-35]と低いが、特異度は90%[85-94]と高い(Cochrane Database Syst Rev. 2010 Feb 17;(2):CD007431. doi: 10.1002/14651858.CD007431.pub2.)

座位で評価する方法として、Flip試験とSlump試験というものがある。

Flip試験 (Spine 2009;34:1585-1589)
・端座位において膝関節を進展させると, 体幹が後ろに倒れる、もしくは手を後ろについて刺させる所見が得られれば陽性と判断する。

画像検査において, 腰椎ヘルニア所見(+), 神経根圧迫所見(+)の67例でFlip testを試行したところ,
・膝関節の伸展で疼痛(-)が33%
 疼痛あり, 完全に伸展可能が39%
 疼痛あり, 伸展も不完全が28%
・Flip test陽性は1/3のみであった.
・Flip testによる疼痛誘発の有無, 膝関節進展の程度はSLR試験における下肢挙上角度に相関する。
Flip試験の感度は30%程度であるが, 疼痛誘発とすれば感度は70%程度までは上昇する。
かといってSLRに取って代わるものでもない。

Slump試験

端座位で頸部を屈曲した肢位で, 手は背部に置きその姿勢を維持する.
 受動的に膝関節を進展させ, 抵抗を感じるか, 疼痛が再現される角度を評価
 そのまま足を背屈させ, 疼痛が増強するかを評価 (膝関節90屈曲位を0度として評価する)
(J Manipulative Physiol Ther 2009;32:184-192) 

MRIにてヘルニア所見(+)の38例, Control 37例においてSLRとSlump testを試行.
・Slump testは感度 84%, 特異度 83%で腰椎椎間板ヘルニアを診断
・一方でSLR testは感度 52%, 特異度 89%と感度はSlump testの方が良好な結果
(J Clin Rheumatol 2008;14: 87–91) 

腰部, 下肢痛でMRIを評価した34例でSLRとSlump testを施行
・腰椎椎間板ヘルニアに対するSLRの感度 87.5%[69-95.7], 特異度 42.9%[15.8-75.0]
・Slump testは感度 80.0%[60.9-91], 特異度 71.4%[35.9-81.8]
この評価ではSLRの方が感度は良好であるが, 特異度はSlump testが良好な結果
(Cent Afr J Med. 2012 Jan-Apr;58(1-4):5-11.)

腰背部痛で受診した45例でSLRとSlump testを施行
・陽性所見は角度によらず, 疼痛が再現されれば陽性と判断する.
・SLR陽性例が23/45, Slump test陽性例が22/45, 双方陽性例が19例であり, 両者の一致率(κ)は0.69[0.43-0.84]
(J Manipulative Physiol Ther 2009;32:184-192) 

座位で簡便にできる検査として、Flip試験やSlump試験は日常外来で重宝する。
SLR試験で拾えない腰椎椎間板ヘルニアもSlump試験では拾い上げられる可能性もある。
かといって過信すると見落とすので注意。

2015年9月14日月曜日

アミオダロンによる甲状腺障害

アミオダロンはその長い半減期から様々な副作用を呈する.
 有名なのは甲状腺機能異常, 肝障害, 皮膚色素障害, 肺障害, 眼障害(視神経含む)
(Endokrynol Pol 2015; 66 (2): 176–196) 

アミオダロンによる肺障害, 視神経障害は別項を参照
 アミオダロンの肺障害
 アミオダロンの視神経障害(すみません手抜きです)

アミオダロンの副作用としては甲状腺機能異常が最も多い
アミオダロンによる副作用を呈した 2216例中に占める割合
(Br J Clin Pharmacol 2008;66:82-87)

アミオダロンによる甲状腺機能障害
(参考としたReview: The American Journal of Medicine (2005) 118, 706-714)

アミオダロンにはヨードが多量に含まれている
・200mg錠中に75mgの有機ヨード(ヨウ素)を含む
・薬剤の代謝にて, 1日に血中へ放出されるヨウ素は6mg程度で, これは必要量の20−40倍の量.
・アミオダロンの半減期は100日と長いため, 蓄積する可能性も高い

アミオダロンによる甲状腺障害は, 甲状腺機能低下症, 甲状腺中毒症双方ある.
・含まれたヨードの過剰摂取によるものと,
・薬剤そのものが甲状腺組織を障害する機序の2つある.

Wolff-Chaikoff効果は, 大量のヨード摂取で一過性に抑制された甲状腺ホルモンが, その後元に戻る現象.

先天性心疾患患者でアミオダロンを使用している日本人成人症例 131例のフォローでは,
44ヶ月のフォローにおいて, 甲状腺機能亢進症は18%, 甲状腺機能低下症は12%で認められた.
・投与開始〜発症までの期間は,
 甲状腺機能亢進症で39ヶ月[18−110]
 甲状腺機能低下症で10ヶ月[3−80] (Circ J 2015; 79: 1828 – 1834) 

アミオダロンの甲状腺への作用

・T4の細胞内移行を阻害
・T4→T3への変換を阻害
・組織におけるT3受容体の感受性を低下させる作用
・下垂体におけるT4→T3の変換を阻害する.

アミオダロンの甲状腺ホルモン数値への影響
・薬剤開始後 ~3ヶ月と3ヶ月以降でホルモン数値のパターンは異なる.
 急性期, 慢性期双方とも, FT4は上昇し, T3は低下する. TSHは急性期のみ上昇する.
・変動値は急性期のほうが顕著.

アミオダロン使用中の甲状腺機能スクリーニング
・アミオダロンを開始する前に甲状腺機能はチェックする
 TSH, FT4, FT3と抗TPO抗体も評価.
 抗TPO抗体は甲状腺機能低下症のリスク因子となる.
・開始後3ヶ月程度で甲状腺機能はフォローし,
 その際の値を「アミオダロン投与下の基礎値」として把握. (前述のような変化が生じているはず)
・その後は3−6ヶ月毎にフォローしてゆく.

アミオダロンによる甲状腺機能低下症
AIH: amiodarone-induced hypothyrodism
・アミオダロンに含まれるヨードの過剰摂取により生じるAIHはヨード摂取が多い地域で多く, 頻度は5−22%と幅がある.
・自己免疫性甲状腺炎によるAIHもある.
 特に橋本病などの基礎疾患がある場合は, 甲状腺機能が正常でもアミオダロン開始によりAIHを発症するリスクが高くなる.

AIHのリスク因子
・TPO抗体陽性ではRR 7.3, 女性例ではRR 7.9とAIHのリスクとなる.
・また, 基礎のTSH値が高いほどAIHのリスクは上昇する.
・投与量と発症リスクには関連性は見いだせず

AIHはアミオダロン開始後 6−12ヶ月で生じる事が多い
 臨床症状や経過は通常の甲状腺機能低下症患者と同じ
 粘液水腫性昏睡も症例報告はある.
 甲状腺腫はAIHでは稀

AIHの対応, 治療も通常の甲状腺機能低下症と同じ
・アミオダロンが中止できない場合はチロキシンを使用する.
・中止可能な場合, 投薬中止する事で2−4ヶ月で改善する可能性あり
 改善するまでチロキシンを併用し, その後減量する.
・TPO抗体陽性例などでは, 改善後もフォローが必要

AIHの診療の流れ

アミオダロンによる甲状腺中毒症
AIT: amiodarone-induced thyrotoxicosis

AITにはtype 1 AITとtype 2 AITに分類される. 
・type 1はヨード過剰摂取により生じるAITであり,
・type 2は薬剤による甲状腺組織の破壊により生じるAIT.

type1 AITはヨード摂取が少ない地域で多く, 頻度は2−9.6%程度.
 Nontoxic goiterや無症候性のバセドウ病が背景にある患者でヨード過剰摂取が引き金となりAITを発症する.

type 2 AITは特に甲状腺に基礎疾患のない患者でも生じる
 破壊性甲状腺炎による甲状腺中毒症となる.

・type 1はヨード摂取量が少ない地域で多い一方
・type 2はヨード摂取量が多い地域で多い.

日本国内におけるアミオダロン使用患者 225例のうち5.8%でAITと診断. その全てがType 2であった.
・AITのリスク因子は年齢のみ. HR 0.93[0.89-0.96]
 若年ほどリスクが高い. (International Journal of Endocrinology Volume 2014, Article ID 534904)

type 1も2も臨床症状, 経過は同じ.
・アミオダロンはβ阻害作用があるため, 頻脈や動悸の頻度は低い
 甲状腺眼症も通常合併はしない
・type 2も発熱や疼痛の頻度は低い.
・type 1では2よりも甲状腺腺腫や腫大を伴う頻度が高い.
・アミオダロン使用中の患者で, 心房細動を繰り返す場合はAITの可能性を考慮する.

type 1とtype 2の比較.
・両者では治療方針も異なるため, 鑑別には注意が必要. (一方では薬剤の中止, 他方ではPSLやリチウムの使用)
・type 2は薬剤開始後 長期経過して生じる


200例のAITの解析. 
Type 1が42例, type 2が158例.
・AIT 1の方が甲状腺容積は大きく, 抗TPO抗体も陽性となる.
・AIT 2では甲状腺容積は正常で抗TPO抗体は陰性. 甲状腺ホルモンはより高くなる.
薬剤開始〜発症までの期間は
 AIT 1で 9.9±11.8ヶ月
 AIT 2で 28.7±16.1ヶ月
(European Journal of Endocrinology 2014;171:363-368)

AITの治療
Type 1 AITの治療
・アミオダロンの中断が推奨されるが, 中断不可能な場合は抗甲状腺薬の使用を考慮する.
・アミオダロンにはβ阻害作用, T4→T3変換阻害作用があり, 中止する事が甲状腺中毒症の症状の増悪リスクとなる可能性もある.
・中断できても半減期が長いため, その間は抗甲状腺薬が必要となる可能性もある.

type 1 AITに対する抗甲状腺薬
・経験的にMethimazole 40-80mg/dやPTU 400−800mg/dと高用量が用いられる.
・甲状腺内に多量に蓄積したヨードにより, 薬剤の作用が低下するため. 副作用にも十分注意が必要.

2−3ヶ月投与しても甲状腺ホルモンが正常化しない場合
・過塩素酸カリウムを使用. これは甲状腺へのヨード取り込みを阻害する.
 投与量は 200−1000mg/dを数週〜数カ月投与
 副作用は再生不良性貧血など. 日本国内では製剤なし.

取り込みは低下しているものの, 小線源治療も選択肢となる

Type 2 AITの治療
・軽度の甲状腺炎(FT4, FT3の軽度上昇のみ)ならば経過観察のみで自然に改善する可能性が高い.
・type 1と異なり, アミオダロンの中断は必須ではなく, PSLの使用にてアミオダロン投与下でも改善する可能性がある.
 PSLは40−60mg/日を使用し, 早期に改善を示す(1週以内).
 PSLはそのまま1−2週間維持し, その後減量する
 減量速度が早いと再燃する可能性がある.

Type 1と2の混在したMixed AITもありその場合片方の治療のみでは改善が不十分となる.

AIT診療の流れ
(J Clin Endocrinol Metab 95: 2529–2535, 2010)