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2019年3月11日月曜日

慢性結節性痛風

左右非対称の手・指関節腫脹, 疼痛, 膝関節腫脹, 足関節腫脹と,
体幹に有痛性の結節+周囲の紅斑・熱感
画像上腰椎の面関節の破壊+周囲の石灰化を伴う結節形成 を認めた中年男性の症例.

膝関節のエコーにてDouble contour sign(DCS)を認め, 穿刺すると針状の結晶が認められた.
指PIP伸側, 肘頭滑液包, 足関節には白色の結節を認め, 痛風結節と判断.

これら所見から慢性結節性痛風+体幹の痛風性脂肪織炎と判断.


痛風, 高尿酸血症は主に無症候性高尿酸血症, 急性痛風発作が多いが,
あと一つ, 慢性結節性痛風(Chronic tophaceous gout)と呼ばれる長期経過の痛風結節, 慢性関節炎を伴う病態がある.

痛風結節は尿酸結晶に対する慢性の炎症反応で, 異物肉芽腫を形成することで生じたもの.
・長期間(10年~)の痛風関節炎, 高尿酸血症の持続で生じるとされるが, <10年の症例でも16%で皮下結節を認めた報告もある.
結節は3層で構成され中心に尿酸結晶,周囲にリンパ球や形質細胞, Mφ, 外側に線維組織が認められる.
(Curr Rheumatol Rep (2015) 17:19)

痛風結節は皮下組織や関節・腱に生じる.
・皮膚透過性が高い部位では白色の結節に見える(結晶の影響)
 内部の穿刺により尿酸結晶が認められる.
好発部位は肘頭滑液包, アキレス腱, 第一MTP, , 指腹
 他に脊椎や神経根付近, 足根管, 膝蓋腱, 第二中手骨, 三角骨で生じ, 神経圧迫症状や筋症状を呈する症例もある
 稀ながら, 気管支に生じて気道閉塞をきたした症例や僧帽弁, 肝臓, 乳腺に生じた報告もある.

高齢者の結節性痛風症例の痛風結節の分布
(Clin Rheumatol (2012) 31:1127–1132 )

gouty panniculitis: 痛風性脂肪織炎という病態もある
・稀であるが, 痛風に関連して脂肪織炎を呈することがある.
 皮下の痛風結節とその周囲の炎症が認められる.
 痛風の診断基準を満たす症例が大半だが脂肪織炎が先行する例もある.
(Rheumatol Int (2011) 31:831–835)

結節性痛風の治療
・治療の基本は尿酸降下薬による長期間の尿酸値抑制.
 尿酸値の目標は<5mg/dL
 コホートでは, 低いほど痛風結節の改善速度は速く, 痛風結節が改善するのは<6mg/dLを達成した症例のみ
・キサンチンオキシダーゼ阻害薬を極量で使用しさらに他薬剤(ベンズブロマロンなど)を併用するとよい
・関節炎の予防投与として, NSAIDや少量コルヒチンの併用も推奨

63例の結節性痛風患者を対象とした前向きCohort
・アロプリノール, ベンズブロマロン, その併用にて血清UAを組織に析出する濃度以下に維持し痛風結節のサイズをフォロー
・痛風結節は最も大きいサイズのものを最大径で測定し, フォロー

治療薬剤別の評価:

痛風結節が消失するまで2-3年かかる
 大体 1ヶ月あたり1mm程度の縮小

血清UA値と痛風結節の縮小速度の関係.

・UAが低値なほど縮小は速い.
 <5mg/dLを目標とするとよい感じ