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2014年12月13日土曜日

脳梗塞の急性期治療: 降圧薬とt−PA

脳梗塞の急性期治療: 降圧薬, t−PA

脳梗塞患者の降圧療法
 脳梗塞ではt-PA使用患者ではsBP<185mmHg, 非使用感じゃでは<220mmHgを目標とする. 
 心不全や大動脈解離などが合併している場合は血圧をΔ15%まで低下させる。
 [Ann Emerg Med. 2014;64:248-255.]


Stroke(ICH, Infarction)179名をLabetalol vs Lisinopril (トランデート®) vs Placeboで降圧(RCT, ITT) (Lancet Neurol 2009;8:48-56)
 目標はsBP 145-155mmHg, ΔsBP 15mmHg
 高血圧脳症, sBP>200は除外されている, 平均NIHSS score 9[5-16]
 低血圧による症状出現時は中止とする

 経口摂取可能ならば内服, 不可能ならば舌下 or IVで投与
Outcome 降圧群(n=113) プラセボ群(n=59) RR
2wk後の死亡, 完全依存 61% 59% 1.03[0.80-1.33]
72hr以内のNIHSS 4以上の増加 6% 5% 1.22[0.32-4.54]
24hr時点でのΔsBP 21[17-25] 11[5-17] P=0.004
重大な副作用


0.91[0.69-1.12]

SCAST; 脳梗塞, 出血患者2029名のDB-RCT. Lancet 2011;377:741-50
 発症<30hrを対象とし, Candesartan 4mg(D1), 16mg(D3-7) vs Placeobに割り付け.
 当然血圧はCandesartan群で有意に低下するが, 6mo 心血管系イベントは有意差無し(12% vs 11%, HR1.09[0.84-1.41])
 他, 各Outcomeも有意差無し.
 むしろCandesartan群でStokeの進行リスクがあがる傾向 (6% vs 4%, HR1.47[1.01-2.13]) 

11 trialsのMetaでは, 死亡, 予後への影響は有意差無し(HR 1.04[0.97-1.12])

CATIS trial; 中国におけるSingle-blind RCT. JAMA. 2014;311(5):479-489.
 脳梗塞発症48h以内で, sBP 140-220mmHgを満たす4071例を, 降圧群(24h以内に10-25%の降圧, 7d以内に<140/90を達成) vs 経過観察群(降圧薬を全て中止)に割り付け, 予後を比較.
 血圧>220/120の患者, t-PA使用群は除外.
 神経学的予後, 死亡リスク, 脳梗塞再発, 血管イベントすべて両群で有意差無し.
 Subanalysisでも特に有意差のでる項目は無し.

>> 降圧しても予後の改善効果は乏しい。ただし、降圧しても予後が悪くなるわけでもない。どちらでも良い、という認識。

t−PA: プラスミノーゲンアクティベーター
発症3hr以内の投与にて
 投与量は0.9mg/kg Max 90mg (国内は0.6mg/kg)
 3MでのComplete or Near complete recover 31-50% vs 20-38%
 NNT 7
と効果大だが, 3hr以内に来院する患者は2-5%程度のみ
 副作用:脳出血 6.4% vs 0.6%
 3M, 1Yでの死亡率に差は無し (NINDS rt-PA stroke Study)
 Doseを1.1mg/kgとすると出血リスク↑↑
 ATLANTIS, ECASS IIでは脳出血 8.0% vs 2.4%
 11-13%で予後は改善するが, 
 6%で予後が増悪 もしくは死亡する可能性のある脳出血を起こす薬剤であること!

現在は発症4.5時間まで投与可能
脳梗塞後の時間とt-PAのまとめ: ECASS, ATLANTIS, NINDS, EPITHET trial
脳梗塞に対するt-PA(alteplase)治療を調査したRCTsのMeta. Lancet. 2010 May 15;375(9727):1695-703.
 8RCTs, N=3670, 脳梗塞発症から300min以内の患者.
 Outcome;発症3moのRS 0-1
時間 Alteplase Placebo OR NNT
0-90min 41.6% 29.1% 2.55[1.44-4.52] 4.5
91-180min 41.9% 28.9% 1.64[1.12-2.40] 9
181-270min 44.6% 37.7% 1.34[1.06-1.68] 14.1
271-360min 37.4% 35.6% 1.22[0.92-1.61]

 死亡率
時間 Alteplase Placebo OR
0-90min 18.6% 20.5% 0.78[0.41-1.48]
91-180min 16.8% 15.6% 1.13[0.70-1.82]
181-270min 11% 10.1% 1.22[0.87-1.71]
271-360min 15% 10.2% 1.49[1.00-2.21]
頭蓋内出血

Parencymal hemorrhage type 2 All intracerebral haemorrhage
時間 Alteplase Placebo OR Alteplase Placebo OR
0-90min 3.1% 0% - 35.4% 29.1% 1.38[0.83-2.31]
91-180min 5.6% 1% 8.23[2.39-28.32] 34.3% 33% 1.19[0.82-1.71]
181-270min 4.3% 1.2% 3.61[1.76-7.38] 30.3% 21.6% 1.67[1.31-2.03]
271-360min 6.8% 0.9% 4.32[2.84-18.9] 34% 21.8% 2.00[1.50-2.66]
3-4.5hでのt−PA投与は神経予後改善効果がNNT14で期待でき,
死亡率を減らさない。ただし、脳出血は増加する。NNH 11程度。

9 RCTsのMeta-analysis Lancet 2014; 384: 1929–35 
 t−PA使用による神経予後良好に関与する因子を評価 (mRS 0−1)
 t−PA投与時間別, 年齢別, NIHSS別の評価
≤3.0hではNNT 10程度 3.0−4.5hではNNT 20程度. ≥4.5hでは有意差なし.
年齢は高齢者でもt−PAを行う価値はある.
初期のNIHSS別の評価でもt−PAによる予後改善効果は期待できる結果.

年齢と投与時間別の評価.
>80y群では早期の投与でのみ予後改善効果がある. 3.0h以後では有意差なし.
t−PAによる脳出血リスクは上昇. NNHは50前後となる.
これも高齢者ではNNH 30前後
初期のNIHSSが高いほど出血リスクも高い.

脳梗塞6時間以内の投与を評価したIST−3 trialと、IST−3を含んだMetaはこちらを参照
IST−3 trial
IST−3を含んだメタ

t−PAは早ければ早いほど予後が良い
58353例のt-PA症例の解析. JAMA. 2013;309(23):2480-2488
onset-tPA投与までの時間と,院内死亡率, 神経学的予後, 脳出血リスクを評価.
アウトカム; 
 投与までの時間が短くなる毎に, 死亡率, 神経学的予後は良好となる.
15分短くなる毎に,
アウトカム OR
院内死亡 0.96[0.95-0.98]
症候性頭蓋内出血 0.96[0.95-0.98]
退院時自立 1.04[1.03-1.05]
自宅退院 1.03[1.02-1.04]
ラクナ梗塞に対するt−PA
脳梗塞に対するt-PAを評価したStudyではラクナ梗塞も含まれるが, ラクナ梗塞のみで評価したものは無し
 実際適応に関しては医師により異なり, 推奨する人もしない人もいる.
 推奨しない人は, 出血が致死的になる点を注意し, 推奨する人は出血は殆ど起らず, 現在までのRCTではラクナ梗塞群も含まれているので投与を推奨している.
11例のラクナ梗塞例と33例の非ラクナ梗塞例でt-PAを使用. Eur Neurol 2006;55:70–73
 症候性出血は両群とも0例.
 無症候性出血は各群9%で合併.
 神経学的予後良好はラクナ梗塞群で27%, 非ラクナ梗塞群で60%.
 有意差は認めないものの, 非ラクナの方がt-PA後の予後は良好(p= 0.083)

t−PAと脳出血
脳梗塞に対してt-PA治療施行された985名のCohort. Neurology® 2011;77:341–348
 内195名で脳出血あり (19.8%[17.4-22.4]).
 88.7%が24時間以内に発症.

t-PA後の出血Riskを評価; HAT score Neurology 2008;71:1417-23
DM(+) or
Base Line Glu >200mg/dL
No 0pt
YES 1pt
治療前のNIHSS Score
<15 0pt
15-20 1pt
>=20 2pt
CTにて, 容易に低吸収域を確認
できない 0pt
<1/3 MCA領域 1pt
>=1/3 MCA領域 2pt

0pt 1pt 2pt 3pt >3pt
患者数(400) 153 121 84 33 9
ICH(66) 9(6%) 19(16%) 19(23%) 12(36%) 7(78%)
症候性ICH(26) 3(2%) 6(5%) 8(10%) 5(15%) 4(44%)
致死性ICH(15) 0(0%) 4(3%) 6(7%) 2(6%) 3(33%)
ワーファリン使用者に対するt−PA JAMA. 2012;307(24):2600-2608
AHA/ASAガイドラインでは, ワーファリン内服中でもINR≤1.7であればt-PAの使用は可能とされているが, 根拠は無し.
GWTG-Stroke Registryの解析; 脳梗塞にてt-PAを使用した23437名のObservational study
 内7.7%(1802名)がワーファリンを使用中, INRは1.20[1.07-1.40]
 ワーファリン使用中とは, t-PA投与時から7日以内に使用歴があることを意味
 Outcomeは36時間以内の症候性脳出血とし, ワーファリン使用群 vs 非使用群で比較.
 ちなみにワーファリン使用患者のうち, INR 1.5-1.7は269名(15%)であった.

症候性の脳出血, 致死性の出血合併症, t-PAによる合併症, 死亡率全て有意差無し.
 ワーファリン使用群の方が高齢, 基礎疾患も多く, 非調節ORではリスクは増大するように見えるが, 調節後は有意差無し.
<75歳, ≥75歳の解析も, INR値 1.5-1.7群の解析もワーファリン使用による合併症増加は認められない.
INR 1.7程度までならば出血リスクは増加しない.
日本人ではそもそも海外と比較してINRのターゲットが低く設定されており,これを適応すべきかは不明.

Meta-analysisではINR<1.7でもワーファリンによる出血リスクは上昇する結果
Neurology® 2012;79:31–38

アスピリン投与はt-PA療法の翌日から 
t-PAで再灌流後も14-34%で再狭窄を生じる.
 血小板作用の活性化が原因と言われており, 抗血小板薬の有用性が期待
ARTIS trial; 脳梗塞にてt-PA療法を施行する患者群のRCT. Lancet 2012; 380: 731–37
 発症4.5時間以内でt-PAを適応としている.
 t-PA投与後90分以内にASA300mg IV群 vs 24hr後から経口投与開始群に割り付け, 症候性脳出血, 神経予後を比較. (両群とも24hr後からは経口に切り替えている)
 このTrialはN=800を予定していたが, 642名の時点で中止.
 早期ASA IV群で有意に出血リスクが増加し, 予後は有意差無いため.
 アスピリンはt-PA投与後 平均67分で投与されている.
Outcome; 
 3ヶ月後のmRS 0-2達成率は54.0% vs 57.2%, OR 0.91[0.66-1.26]
 死亡率は11.2% vs 9.7%, p=0.54
 症候性脳出血 4.3% vs 1.6%, AD 2.8%[0.2-5.4]
 症候性脳出血は特に予後不良群で多く認められている.

t−PA後の予後の予測
ASPECTS score : Alberta Stroke Programme Early CT Score
 MCA領域を10カ所に分け, CT上虚血を認める部分を評価.
 所見正常; 10pt, 虚血部位毎に-1ptで計算.
 MCA領域; C, L, IC, M1-6, 島皮質
203名の脳梗塞でt-PA施行した患者のProspective study Lancet 2000;355:1670-74

 内156名がAnterior circulation ischemia, 117でCT上虚血(+)
 117名でASPECTSを評価し, 脳出血Risk, 3mo後神経予後を評価
 Cutoff=<7としたとき,
 予後不良(mRS 3-5, 死亡)に対するSn 78%, Sp 96%, OR82[23-290]
 脳出血に対するSn 90%, Sp 62%, OR14[1.8-117]

CTではなく, MRI-DWIで評価した場合, Neurology 2010;75:555-61
 477名のRetrospective study(from Japan)
DWI-ASPECT >=7ptは.
 Sn88%, Sp33%でmRS 0-2を示唆. OR 1.85[1.07-3.24]
DWI-ASPECT>=9ptは,
 Sn62%, Sp56%でmRS 0-1を示唆
DWI-ASPECT=<5ptは,
 Sn40%, Sp87%で頭蓋内出血を示唆.
 Sn38%, Sp88%で3mo死亡を示唆.

DRAGON score; Neurology® 2012;78:427–432
脳梗塞でt-PA療法施行した群の予後を推定
 1319名でderivationを行い, 333名でvalidation施行.
 Outcomeは3mo後の神経学的予後(mRSで評価)
 DRAGON score; 0-10ptで評価
D
hyperDence sign, early CT sign 1pt
R
発症前のmRS >1 1pt
A
Age ≥80yr 
 65-79yr
2pt 
1pt
G
Glucose >144mg/dL 1pt
O
Onset-treatment time ≥90min 1pt
N
NIHSS >15 
 10-15
 5-9
 0-4
3pt 
2pt
 
1pt
 
0pt

脳梗塞発症後 4.5h以内にt-PAを使用した228例で, DRAGON scoreのValidationを施行.
 前のStudyと同様, score>7では予後良好例は無し. Stroke. 2013;44:1323-1328

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