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2014年1月21日火曜日

たこつぼ型心筋症なのか、心筋梗塞なのか

ICU管理において, 心臓壁運動が低下し, ST上昇や陰性T波なんぞあると,
ストレスによるストレス性心筋症(たこつぼ型心筋症)か、STEMIなのか非常に迷う。

例えば心電図で見分けるとすると, それはQT延長の有無が重要となる.
たこつぼ型心筋症ではQTが延長することが多く, 平均QTcは 450-500msecとなる.
(Ann Intern Med 2004;141:858-65)

ただし, STEMIでも延長しないかというと, そうでもなく,
QT延長 = MIではないとは言えない. これはむしろ, 感度が高い所見であり,
QT延長が無い = MIを先ず疑うべき という様に捉える必要がある所見.

ちなみに, 心電図変化はどんなものがあるか, どの誘導で変化が出やすいかというと,

Study(n)
[1] (88)
[2] (30)
[3] (17)
[4] (16)
[5] (13)
[6] (9)
[7] (7)
ST上昇
90%
100%
82%
81%
46%
100%
86%
前壁ST上昇
85%
97%
81%
38%
100%
86%
異常Q wave
27%
6%
31%
31%
QTc 平均
500ms
501±55ms
450ms
HF, 肺水腫
22%
3%
44%
46%
29%
感情ストレス
20%
17%
18%
38%
23%
22%
14%
身体ストレス
43%
17%
77%
44%
46%
33%
71%

[1] J Am Coll Cardiol 2001;38:11-8
[2] Am Heart J 2002;143:448-55
[3] J Am Coll Cardiol 2003;41:737-42
[4] Am J Cardiol 2004;94:343-6
[5] Heart 2003;89:1027-31
[6] Jpn Circ J 2000;64:156-9
[7] QJM 2003;96:563-73

Leads
ST elevation
T-wave inversion
入院時
48hr
入院時
48hr
I
48%
0
14%
62%
II
3%
0
3%
59%
III
3%
0
0
0
aVR
0
0
0
0
aVL
48%
0
17%
62%
aVF
3%
0
0
0
V1
0
0
0
3%
V2
17%
0
0
28%
V3
24%
0
14%
59%
V4
59%
0
24%
62%
V5
59%
0
24%
62%
V6
59%
0
24%
62%

J Cardiovasc Med 2008;9:916-21

こんな感じであり, 前側壁で多く, これも大した鑑別点とはならない.

心原性酵素はどうかというと,
たこつぼ型心筋症の86.2%[79.0-91.2]でトロポニンは陽性となり,
CKの上昇は56%, CK-MBの上昇は73.9%で認められるため,
酵素上昇の有無でも見分けることは困難.
ただし, 酵素上昇は通常軽度で済むことが多いことが1つのポイント.

たこつぼ型心筋症 59例と, 同時期に受診したSTEMI 60例を比較したRetrospective study
(Am J Cardiol 2014;113:429-433)
 タコツボ型心筋症ではより女性が多く, 高齢者. 
 また, Troponin I値は双方で上昇するが, STEMIで有意に高値となる.
 LVEFはタコツボ型心筋症の方が低下する.
タコツボ型心筋症では, EFがより低く, Trop Iも低い.

Troponin-EF product(TEFP) = [Peak Trop I] x [LVEF]で評価すると,
TEFP ≥250は, 感度95%, 特異度87%STEMIを示唆する.
またTEFPはTrop I単独よりもSTEMIの診断能は良好.

このStudyではValidationが無いため, このまま臨床に応用するのは危険だが,
"Tropや心原性酵素上昇が, EF低下の割にショボい" という印象は1つのたこつぼ型心筋症を疑う切っ掛けとなるのではないか.

また, EFが40%台と軽度の低下程度はSTEMIの方が多いかもしれない. という嗅覚.

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