Mayo Clin Proc. 2013;88(11):1284-1293
Monoclonal Gammopathyは, それを合成するB cellもしくは形質細胞のClonalな増殖による
B cellの増殖がリンパ腫/リンパ球性白血病であり, 形質細胞の増殖が多発性骨髄腫, MGUS.
Monocloanl Gammopahtyによる糸球体腎炎の機序は2つ
① Immunoglobulinの増加により補体のClassical pathwayが活性化し, Ig-C3複合体を形成し, 糸球体に沈着する機序.
② 補体のAlternative pathway, Terminal pathwayの活性化により, Igと結合していない補体(C3)が沈着する機序(C3 glomerulopathy)
①の機序による糸球体腎炎
IgGの沈着[B]と, C3の沈着[C]を認め, さらにκ鎖陽性[D]でλ鎖が陰性[E]とMonoclonal IgGを示唆する.
②の機序による糸球体腎炎
C3の沈着のみで, Igの沈着が認められない.
増殖性糸球体腎炎症例において, SLEとHBC, HCVを除いた61例中, 28例(46%)でM蛋白が検出
28例中20例(71%)がmonoclonal immunoglobulinの糸球体への沈着(+). IgはIgG, IgMが大半で, 1例のみIgAであった.
補体はC3,4共に低値.
基礎疾患は, MGUSが57%と最多で, CLL, lymphoplasmacytic lymphoma/Waldernstrom macroglobulinemia, Low-grate B cell lymphoma, MM
Igの沈着が無いC3 glomerulopathyもあるため,
明らかな原因のない補体低下を伴う糸球体腎炎ではM蛋白のチェックも必須.
組織でIgの沈着がなくとも可能性は否定はできないことに注意.
M蛋白陽性ならばMM or リンパ腫かを判断し, 必要な治療を行うことが予後に繋がる.
原因が多発性骨髄腫であれば治療適応となり, Bortezomibを含めたレジメを, リンパ腫や他疾患ならばそれにあわせた治療が推奨される.
まとめると,
自己免疫疾患やHBV, HCV, 感染症による糸球体腎炎が否定的な場合,
組織においてMonoclonalなIgの沈着の有無 or C3 glomerulopathyを評価.
上記に引っかかるならば血中のM蛋白をチェックし, 陽性ならばMMとして治療を開始.
もしくは, 腎組織でMonoclonal Igの沈着が証明されているが, 血中のM蛋白が陰性ならばリンパ腫等をチェックし, 治療へ繋げるという流れ.