ITPにタミフル®って, なにこの組み合わせ, という感想が最初.
いくつかの後向き研究において, Oseltamivirはインフルエンザ感染に関係なく, PLTを増加させる報告がある.
また, 敗血症で血小板減少を生じた患者において, Oseltamivirを追加すると血小板改善が早いとのRCTもある.
重症敗血症で血小板減少を合併(PLT≤5万/µL)している患者を対象とし, 通常の全身管理+抗菌薬に加えて, Oseltamivir併用群 vs 非併用群に割り付け比較したOpen-label RCT
(Journal of Hematology & Oncology (2017) 10:104)
・PLTの上昇や, 改善までの期間は有意にOseltamivir群で良好, 短縮.
改善: PLT≥10万/µLで定義
症例報告やPilot studyでも, ITPに対するPLT改善を早める 効果が認められている.
そして, 2021年にPhase 2 trialが発表.
(Lancet Haematol 2021; 8: e289–98)
中国の5施設におけるOpen-label RCT(phase 2)
新規診断, 未治療の成人例ITPを対象とし, Dexamethasone + Oseltamivir群 vs Dex単独群に割り付け, 比較.
・患者はPLT<3万/µL and/or 出血症状を伴う症例.
60歳以上の症例では他の血液疾患評価目的に骨髄検査を施行.
・除外: 3ヶ月以内にGC, Oseltamivirなど治療薬を使用.
二次性の血小板減少, 悪性腫瘍既往, 重度の免疫不全, HIV, HBV, HCV, TB, 活動性感染症, 妊婦/授乳婦, 糖尿病, 高血圧, 心疾患, 重度肝障害, 精神疾患, 骨粗鬆症, IBD, VTEなど.
・治療内容:
Dexamethasoneは40mgを4日間, Oseltamivirは75mg bidを10日間使用.
・Day 10でPLT <3万/µLの群では, 両群でさらにDexを同量使用.
・D+O群において, 初期には反応(PLT>3万)したが, その後再度低下した患者群では再度Oseltamivirを10日間使用可能とした.
・アウトカムはDay 14における血小板の反応,
また6ヶ月間における反応性の維持効果を比較した.
母集団
アウトカム
・14日における反応性, 6ヶ月における反応の維持は 有意にOseltamivir群で良好.
・PLTピーク値も高いが, 反応までの日数は両者で有意差なし
・Osertamivirは19%で 2サイクル使用した.
・治療反応維持期間は, D+O群で9ヶ月間, D単独群で5ヶ月間