他に多い原因はバルプロ酸や化学療法(5-FU)
さらに稀なものとしては尿素サイクル異常が原因として挙げられる.
ICU患者で肝不全(-) 且つ高アンモニア血症を呈した患者の解析
・Mayo clinicにおいて, 2004-2015年に診療した, ICU患者のうち, 高アンモニア血症を認めたのは3908例, このうち肝不全(-)例は167例(4.5%)であった.
・肝硬変(-)群におけるアンモニア値は68µg/dL[58-87]
・関連因子は代謝性疾患, 栄養/消化管, 薬剤, 腎不全, 痙攣, 臓器移植後, 活動性の血液腫瘍が挙げられる.
(Crit Care Med 2018; 46:e897–e903)
痙攣発作でもアンモニアは上昇する
これは筋における代謝が影響していると考えられている
(American Journal of Emergency Medicine 31 (2013) 1486–1489)
肝硬変(-)の痙攣患者121例を前向きに評価した報告@台湾
(Epilepsia, 52(11):2043–2049, 2011)
・痙攣患者でER受診時に高アンモニア血症を認めたのは67.77%
・特に全般性強直間代性発作やてんかん重積でアンモニア上昇する頻度が高くアンモニアも高値となる.
上昇例と非常症例の比較
・全般性強直間代性発作では有意に上昇する.
・アルコール関連でも上昇しやすい
痙攣による高アンモニア血症は数時間で正常化する一過性の経過となることがポイント
・500分後のフォローではほぼ全例で正常化
例えば, 原因不明な意識障害患者において, 一過性の高アンモニア血症を認めた場合, それは痙攣後かもしれない.
ERにおける一過性の高アンモニア血症は, 痙攣による意識障害を示唆する
(Eur Neurol 2010;64:46–50)
・成人でERに搬送された痙攣患者と, 他の意識障害患者において, 一過性高アンモニア血症を評価.
・比較対象の意識障害症例の原因: 肝性脳症が11例含まれる
両群の比較
・高アンモニア血症の頻度は61.3% vs 19.6%であるが, 一過性なのは54.8% vs 0%と強く痙攣発作を示唆する情報となる
・痙攣群で高アンモニア血症を認めた19例全例で, 1-2h後の評価にてアンモニアは低下を認めた.
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まとめると,
・痙攣発作, 特に全般性強直間代性発作やてんかん重積では高率で高アンモニア血症を合併する
・この場合, アンモニアは数時間で低下, 正常化する.
・この一過性の高アンモニア血症を評価することで, 意識障害患者における痙攣の可能性を検討可能かもしれない.