18歳以上の待機的手術を予定している患者で, 術前のHb 7-12g/dL 且つ フェリチン ≤100ng/mLもしくは鉄飽和度 ≤20%を満たす201例を対象.
(Lancet Haematol 2016; 3: e415–25)
・上記患者群を通常の管理群 vs Ferric Carboxymaltose投与群に割り付け, 術後のHbの経過をフォロー.
・Ferric Carboxymaltoseは15mg/kg, Max 1000mgを15分以上かけて, 添付文章に準じて術後に投与する.
参考: 国内で使用可能な鉄静注薬 フェジン®40mgでは体重50kg換算でHb 7-12g/dLの場合, 総推奨鉄投与量は1390mg〜2070mg, 1日最大120mgまで.
母集団のデータ
・術後Hb値は10g/dL 台
・フェリチンは100後半~200程度
アウトカム
各パラメータの変化
両群における比較: パラメータ
・術後4wkでのHb値は, 鉄剤投与群で有意に高く, 0.78g/dL[0.38-1.19]程度上昇
・フェリチンも上昇するが, 過剰となるほどでもない.
・12wk後にはHbの差はなくなる
輸血必要例は減少
・<1% vs 5%, RR 0.10[0.01-0.85]
・QOLには影響はない.
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貧血があり, フェリチンが100以下、もしくは鉄飽和度 20%以下となる症例では術後に鉄剤を投与するマネジメントはありかもしれない.
Hb上昇効果は長期的には差はなくなるし, QOL改善効果もないが, 輸血必要例の減少は見込める. 輸血リスクがありそうな患者では行っても良いと思う.
国内ではフェジン®が使用可能であるが、添付文章から、1日の投与量は120mgまで
となると、60kgとした場合900mgを投与するならば, 約1週間かかる...
めんどいし, そこまで入院しない患者も多い.