Roflumilast: Phosphodiesterase-4阻害薬
・PDE4阻害薬は気道内皮細胞内のcAMPを増加させ, 気道炎症を抑制する作用が期待できる.
・COPD group Dで使用が推奨されている.
・Roflumilastが米国では使用可能であるが, 日本国内では未承認
M2-124, 125 trials: Roflumilastの効果を評価した2つのRCTs
(Lancet 2009; 374: 685–94)
・40歳以上, 20 pack-yの喫煙歴, COPDの診断がされている患者で, FEV1≤50%, 過去1年間でステロイド投与もしくは入院加療が必要な急性増悪を1回以上経験している患者を対象.
・COPD治療に加えて, Rofluminalst 500µg/d vs Placebo群に割り付け, 52週間継続.
母集団
アウトカム: 肺機能検査
・RoflumilastによりFEV1は有意に改善を認める結果
急性増悪への効果
・中等症の急性増悪はRoflumilastで減少する
重症の急性増悪の減少効果はない
ACROSS: アジア人(中国)を対象としたRoflumilastのRCT
(CHEST 2014; 145(1):44–52)
・Severe, very severe COPD 626例をRoflumilast 500µg/d経口投与 vs Placeboに割り付け, 24wk継続.
・吸入はICS+LABA, もしくはLAMA単剤を継続.
アウトカム
・Roflumilastは有意にFEV1, FVCを改善させる.
副作用頻度
・下痢, 食欲低下の頻度が高い.
REACT trial: 重症COPDで1年以内の急性増悪発作 2回以上の1945例を対象としたDB−RCT.
(Lancet 2015; 385: 857–66)
・Roflumilast 500µg vs Placebo群に割りつけ, 比較.
コントローラーはICS+LABA, LAMAの使用は可としている
・薬剤を1年間継続し, 急性増悪発作頻度を比較.
アウトカム
・急性増悪頻度は低下する傾向
ただしITTでは有意差無し
per protocol では有意差あり
重症の急性増悪頻度は低下
呼吸機能も改善効果あり
RE2SPOND: LABA/ICS併用療法を行っている患者を対象としたDB-RCT.
(Am J Respir Crit Care Med Vol 194, Iss 5, pp 559–567, Sep 1, 2016)
・40歳以上で, 重症〜最重症COPD, 慢性気管支炎患者で, 過去1年間で2回以上の急性増悪, 入院を繰り返し, ICS/LABA ± LAMAを3ヶ月以上使用している群を対象.
・Roflumilast 500µg vs Placeboに割り付け, 52wk継続.
アウトカム: 急性増悪頻度に有意差は認められず.
ただし, 年に3回以上急性増悪を認めた群, 重症急性増悪を1回以上認めた群では, 有意な急性増悪抑制効果が認められる結果.
-------------------
PDE4阻害薬(Roflumilast)は重症COPDにおいて呼吸機能の改善効果は期待できる.
一方で急性増悪予防効果は限定的なのかもしれない.
新しく発表されたRE2SPONDから, 年3回ほど入院やステロイド投与が必要な発作を繰り返す症例や, 重症の急性増悪を経験した症例ではRoflumilastによる急性増悪予防効果が期待できるかもしれない.
ICSやLABA, LAMAをしっかり使用しても急性増悪を繰り返してしまう患者での, 一つの選択肢, として覚えておこうと思う.
まだ国内では使えません.