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2016年5月16日月曜日

潜在性結核の評価: 特にIGRA

潜在性結核 Latent TBは体内に結核は持続性に存在しているが, 免疫的にコントロールされており, 活動性結核の所見, 症状を認めない病態.
潜在性結核のうち生涯に結核を発症するのは5−15%程度.
・問題は免疫不全の患者や, 免疫抑制剤を使用する患者群, 透析患者であり, これら患者では結核の発症/重症化リスクが高い.
(N Engl J Med 2015;372:2127-35.)

従って, 結核発症リスクが高い患者では潜在性結核のスクリーニングを行い, 治療を行うことが推奨される.

潜在性結核のスクリーニングと治療の適応
(Lancet Respir Med 2015; 3: 220–34)
・これからは,  HIV患者やTBとの接触歴がある人, 抗TNF-α阻害薬などbDMARDを使用する患者, 透析患者, 臓器移植患者ではスクリーニングと治療を推奨
・また, 医療従事者や囚人, 移民, ホームレスでも考慮する.

国内の指針では, 相対危険度が4を超える病態での潜在性結核スクリーニングと治療が推奨される.
・HIV患者, 臓器移植患者, 珪肺, 慢性腎不全/透析, 最近の結核感染(2年以内), 胸部XPでの肺線維結節影, 生物学的製剤の使用, 多量の副腎ステロイドの使用など.
・修飾因子としてDM, 低体重, 喫煙, 胃切除なども挙げられる
・ステロイドの場合, PSL 15mg以上ではOR 7.7,
 15mg未満ならば2.8となるため, 15mg以上を1ヶ月以上継続する場合スクリーニングと治療が推奨される. 
・15mg未満でも修飾因子があれば考慮すべき
(Kekkaku Vol. 88, No. 5 : 497_512, 2013)

潜在性結核の診断
・ツベルクリン試験(TST)は安価で行いやすいが, BCG施行地域では低感度.
 また, ステロイドや免疫抑制剤使用中の患者では, ツベルクリン試験の感度は低下.
・IGRAはツベルクリン試験よりも感度は高く, 免疫抑制状態でも感度の低下はTSTよりも少ない(完全に影響がないわけではなく, 偽陰性は増加する可能性がある点に注意)
・さらに双方とも顕性化予測能も不十分.
(N Engl J Med 2015;372:2127-35.)(Enferm Infecc Microbiol Clin. 2010;28(4):245–252)


IGRA(interferon gamma release assay)
・結核に存在する抗原に対する, INF-γの産生を評価することで, 結核感染を評価する方法
・評価方法にはELISAとELISpotの2つがある.
(Enferm Infecc Microbiol Clin. 2010;28(4):245–252)

ELISA: QuantiFERON-TB
・全血を用いて, その血液に抗原であるESAT-6, CFP-10, TB7.7を反応させる.
・抗原に反応し分泌されたINF-γの濃度を測定する.
・全血を用いるため, リンパ球数が少ない場合は偽陰性や判定保留が増加する.
 また免疫抑制状態では陽性コントロールにおけるINF-γ産生能も低下しているため, 判定保留が増加するリスクがある.
・ELISpotよりも判定保留/不可能が多い(5-40% vs 0.5-4%)
 ただし新しい世代のELISA(QFT- in tube: 別名QFT-3G)では判定保留は少ない.
・感度は96%, 特異度 70%

ELISpot: T-SPOT
・末梢血のT細胞を抽出し, それにESAT-6, CFP-10を反応させる.
・抗原に反応したT細胞の数をスポット数として評価する.
・T細胞を抽出して評価するため, 末梢血リンパ球数に影響されない.
・感度 93%, 特異度 90%


末梢血リンパ球数とIGRAの感度
230例の活動性結核患者での評価 (Inter Med 49: 1849-1855, 2010)
・ELISpotではリンパ球が低くても感度は高い状態が保たれる(それでも低下傾向はある)
・ELISAではリンパ球が低いと感度も低下する. また<500では判定保留/不可能も増加する.

IGRAは他の非結核性抗酸菌感染症で陽性となるか?
非結核性抗酸菌感染患者214名にQFT-2Gを施行
全体で52%でQFT-2Gが陽性.
・各細菌毎の陽性率
NTM
N
陽性率
M avium
83
2%
M intracellulare
80
M kansassi
33
52%
M marium
12
58%
M szulgai
3
33%
M abscessus
2
0%
M chelonei
1
0%
・M marium, M kansassiで陽性となることが多い.
(Intern J Tuber Lung Dis 2009;13:1422-6)

100例のNTMにおいてQFT-2Gを施行した結果
M. aviumでは8%が陽性, 8%が判定保留/不可能
・M. intracellulareでは7%が陽性, 7%が判定保留/不可能
・M. kansasiiとM. marinumでは100%が陽性となる
(Clinical Infectious Diseases 2006;43:1540–6)

判定保留の場合はどうするか?
ELISA(QFT)における判定保留/判定不可能
・陽性コントロール(M) ≥ 0.5IU/mLで測定値(A)が0.1-0.35IU/mLの場合は判定保留
・陽性コントロール(M) <0.5IU/mLで測定値(A)が<0.35IU/mLの場合は判定不可能

ELISpot(T-SPOT)における判定保留/判定不可能
・パネル抗原のスポット数が5-7の場合に判定保留
・陽性コントロール<20スポットの場合は判定不可能

基本的に判定保留/不可能な場合は再検査を行う.
再度判定保留/不可能な場合は臨床判断で治療するかどうかを考慮する.

T-SPOTとQFT-3Gにおける判定保留/不可能の頻度
・大体T-SPOTでは~5.8%程度, QFT-3Gでは~10.3%が判定保留/不可能となる.

判定保留/不可能の主な原因は陽性コントロールの陰性化
・これは患者本人の細胞性免疫の低下が関連している.
・判定保留/不可能のリスク因子は
 若年 <5歳, 高齢者 >80歳, 免疫抑制状態.
(Enferm Infecc Microbiol Clin. 2010;28(4):245–252)

ステロイド使用中の患者ではQFT-3Gの判定保留/不可能の頻度が上昇する
IBD患者における解析 (Inflamm Bowel Dis 2011;17:2340–2349) 
・PSL投与量が多いほどINF-γ値は低下し, 判定保留/不可能の割合が上昇する.
・MTXやAZAや5-ASAでは影響はPSLほど多くはない.

判定保留/不可能な場合のTB活性化リスクは?
HIV患者, 慢性腎不全, RA, 臓器移植, 幹細胞移植, 健常人を対象にELISA(QFT-3G), ELISpot, TSTを施行し, 陽性率とその後のTB発症リスクを評価.
( 2014 Nov 15;190(10):1168-76.)
ELISpotでは判定保留/不可能が125例. そのうちTB発症は1例(0.9%)と少ない.
 ELISpot陰性では0.6%, 陽性例では1.6%
・ELISA(QFT-3G)では判定保留/不可能は109例. そのうちTB発症は3例(3.0%)と多い
 ELISA陰性では0.4%, 陽性例では1.4%
(平均1.8年[0.2-3]フォロー)

TB発症リスクはELISpotでは陽性 > 判定保留/不可能 > 陰性となる傾向.
 ELISAでは判定保留/不可能 ≥ 陽性 > 陰性 というなんともな結果.

免疫不全状態の患者でのQFTの判定保留/不可能はリスクありと考えるべきなのだろうか
ELISpot(T-SPOT)での判定保留/不可能はちょうど中間リスクという感じ. この場合はやはり臨床判断ということになるか


2016年5月14日土曜日

尿路結石に対する鎮痛:NSAID IM vs モルヒネ IV vs アセトアミノフェン IV

18-65歳の尿路結石による腎疝痛患者 1644例を対象としたDB-RCT
(Lancet 2016; 387: 1999–2007)
・ジクロフェナク 75mgをIM投与群
 モルヒネ 0.1mg/kg IV群
 アセトアミノフェン 1g IV群に割り付け, 疼痛を比較.
・疼痛改善は投与30分後に50%以上の改善で有意とする

患者は疼痛スケール 4/10以上の腎疝痛を認めた患者群を対象
・患者群において, CTで尿路結石が認められたのは82%であった

解析はITT解析と, CTで結石(+)の1316例を対象としたPer-protrcol解析.

アウトカム(ITT解析):
・疼痛改善は有意にNSAID IM群で良好. 
・NSAIDではモルヒネと比較してより早期に疼痛が改善する
・モルヒネは効果が遅い傾向がある.

Per-protocol解析でも同じような結果

別の小規模Studyではアセトアミノフェンとモルヒネの効果は同等との結果
 Renal colic(+)でEDを受診した患者165名を Acetaminophen 1000mg IV, Morphine 0.1mg/kg, Placeboに割り付け30min後の疼痛レベルを評価 (RCT, DB, 追跡88%) (Ann Emerg Med 2009;54:568-74)
Outcome
Acetaminophen
Morphine
Placebo
VAS
Baseline
73[55-87]
78[64-98]
73[53-87]
(0-100)
15min
21.5[9-38]
40[20-68]
57[29-57]

30min
19[5-42]
23[4-59]
33[15-66]
ΔVAS
Base-15min
44.5[23-66]
30[7-51]
11[-3~29]

Base-30min
41.5[24-63]
43[7-73]
24[5-45]
・15min時点ではΔVASはAcetaminophenのほうが良好(13[0.1-25])
・30min時点では両者に有意差なし(2[-13~16)
・1つ以上の副作用を認めたのはMorphineで33%, Acetaminphenで24%, Placeboで16%.
 多いのは悪心嘔吐, 非特異的症状であった.

また, アセトアミノフェン、ジクロフェナク、鍼灸で比較したRCTでは
結石による腎疝痛患者 121例を対象としたRCT.
(American Journal of Emergency Medicine 33 (2015) 749–753 )
・IV アセトアミノフェン(1000mg)群
 鍼灸群
 IM ジクロフェナク(75mg)群に割り付け, 疼痛改善を評価.
・疼痛はVAS, VRS(verbal rating scale)で評価した. 10分, 30分, 60分, 120分で評価
・疼痛改善が最も早いのが鍼灸群とNSAID群
・アセトアミノフェンの鎮痛効果は良好だが効果がやや遅い印象

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以上まとめると,
腎疝痛に対して最も効果が早く, 良好なのはNSAID.
次いでアセトアミノフェンやモルヒネということになる.
 これらの効果はNSAIDよりもやや遅い傾向がある.

腎疝痛に対して、まずモルヒネをERで使用することはなく, 普通はまずNSAID坐薬というのが現実的.
それで効果がない場合、弱オピオイドを併用するのが多いマネージメントと考えられるが, その前にアセトアミノフェンをかぶせるというのも良い選択肢と言えよう.



2016年5月13日金曜日

小児における経口補液は希釈リンゴジュースと好きなものを

カナダ トロントにおける3次小児救急施設でのSingle-Blind non inferiority trial.
(JAMA. 2016;315(18):1966-1974.)
・急性胃腸炎で軽度の脱水がある6-60ヶ月の患児647例を対象とし, 
 2倍希釈したリンゴジュース+好きな水分摂取群 vs. リンゴフレーバーの経口補液製剤群(色も同じ)に割り付け, 脱水補正の成功率を比較.
・患者は6-60ヶ月で, 24時間で下痢, 嘔吐が3回以上認められ, 軽度の脱水があり, さらに発症96時間未満で体重は8kg以上の患児を対象とした.
 軽度の脱水は4-item, 8-point Clinical Dehydration Scaleで評価.
 Scale <5でCapillary refill <2secで軽度の脱水と判断.
・慢性消化管疾患や糖尿病などの基礎疾患がある場合は除外

経口補液プロトコール:
・ERでは5mLを2-5分毎に摂取
・帰宅後は通常どおり食事は摂取してもらい, 
 その際の水分摂取は経口補液群では製剤のみとする. 
 希釈リンゴジュース群ではリンゴジュースやミルク, スポーツ飲料などが許可.
・また下痢1回あたり10mL/kg, 嘔吐1回あたり2mL/kgを追加摂取するように指導. 
・希望者は帰宅後72-84時間後に再診可能とした.

脱水補正失敗は7日以内に以下のいずれかを満たすことで定義:
・補液の経静脈投与や入院加療が必要となる場合, 
・予定外に外来やERを同じ症状で再受診する場合(症状改善後24時間以内も含まれる)
・症状が長期化する場合(7日以降も3回以上/日の嘔吐下痢)
・両群をクロスオーバーする場合(ジュース ←→ 経口補液)
・3%以上の体重減少や著明な脱水所見(Scale ≥5)がある場合

母集団

アウトカム
治療失敗リスクは有意に経口補液群で高い結果
特に希釈リンゴジュースでは点滴の必要性が低くなる

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これは外来というよりも自分の子供でよく使う知識となりそうです.
特に54-60ヶ月の子供で差が大きいのはそもそもNが少ない点と, あとはやはり ”味” なのではないのかと思ったりします.
うちの長男は経口補液は不味がって飲みません.

2016年5月11日水曜日

結核による腎障害

1年未満の経過で急激に腎機能の増悪を呈し, 透析導入となった患者.
腎不全増悪の原因は不明で, スクリーニング検査でも原因は不明.
経過中に原因不明の発熱が持続し, 精査の結果 結核感染が判明.

結核と腎不全には関連があるのか?

結核の0.5-0.9%で腎臓に肉芽腫形成を合併する (Medicine 2007;86:170–180) 
・腎, 泌尿器の結核感染は抗生剤に反応しない細菌尿, 培養陰性の膿尿などで疑う
・背部, 鼠径部痛を認める例もある
・胸部XPの異常を伴うものは1/3のみ

腎結核では, 慢性間質性腎炎, 腎組織内の肉芽腫形成が認められる
・腎萎縮を伴わない末期腎不全, 腎内の石灰化などを呈する.
・また, 慢性炎症に伴うアミロイドーシスによる腎障害や稀ながら, 糸球体腎炎を合併する報告もある
・1991年のヨーロッパの統計では, 透析導入となった腎不全の0.65%が腎結核によるものであった.
(J Am Soc Nephrol 12: 1307–1314, 2001)

結核による糸球体腎炎
結核感染では稀ながら糸球体腎炎を併発することがある
・粟粒結核に合併した免疫複合体による急速進行性糸球体腎炎の症例報告 (Saudi J Kidney Dis Transpl 2014;25(4):872-875)
・結核感染があり, 血尿, 蛋白尿(+)で結核治療により所見が改善
 且つ 尿や腎検体からTBが陽性, 乾酪性肉芽腫を認める46例の解析ではIgA腎症所見が72%で認められた. (Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2012 May;31(5):775-9.)
・他には半月形成糸球体腎炎や膜性腎症などの症例報告もある

TB感染に伴う糸球体腎炎の報告例のまとめ
(Kaohsiung Journal of Medical Sciences (2013) 29, 337-342)

糸球体腎炎のパターンとしては膜性増殖性糸球体腎炎, IgA腎症, 半月形成糸球体腎炎が多い
結核感染が糸球体腎炎を来す機序は色々考えられる
・腎泌尿器への結核の直接感染による障害
・慢性間質性腎炎やアミロイドーシスによる腎障害
・免疫複合体による糸球体腎炎(もっとも多いのはIgA腎症)
・抗結核薬(リファンピシン)による腎炎も報告されている

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冒頭の症例における末期腎不全の原因として、結核の関連は十分に考えられる.
腎結核であったのかもしれないし, 感染に関連した糸球体腎炎であったのかもしれない.
組織検査が不明であり結論をつけることは困難であるが,
原因のわからない腎不全や糸球体腎炎では, 頭の片隅に結核は置いておいたほうがよいのだろうか. 特にそういう地域では.

2016年5月10日火曜日

食後低血圧(Postprandial hypotension)

Postprandial hypotension
(The American Journal of Medicine (2010) 123, 281.e1-281.e6)
食事に関連して血圧が低下し, 失神を呈する病態.
高齢者の失神の原因としてコモンであるものの, あまり気づかれていない.
・高齢者の25-38%で食事に関連した血圧低下が認められる報告もある
 多い報告では67%で認められるとも.
・Postprandial Hypotensionは, 食後2時間以内にsBPが20mmHg以上低下するか, 元々100mmHg以上ある血圧が<90mmHgとなる場合で定義
・血圧低下に伴い失神や転倒, 冠動脈イベント, 脳梗塞のリスクにもなる
・高齢者で失神や転倒で受診した患者の23%でPostprandial hypotensionが認められる報告もあり.

低血圧となる機序は未だ明らかではない.
・食事に伴い臓器血流が増加し, 通常血圧は若干低下する.
 Postprandial hypotensionでは, その低下した血圧へ身体が正常に反応できないため生じる可能性が高い(HRやSVの増加, 末梢血管抵抗の亢進などの変化)
・高齢者において, 食後の循環動態の変化へ対応するためには交感神経活動が200%に上昇する必要がある

Postprandial hypotensionのリスク因子
・Polypharmacyや利尿薬の使用
・炭水化物が多い食事, 暖かい食事, 朝食
・自律神経障害を呈する基礎疾患などがリスクとなる.
・特に朝食と昼食時に血圧低下が高度となりやすい

炭水化物の量と血圧の変動:

12例の診断のついたPostprandial hypotension患者に対して, 炭水化物量 25g, 65g, 125gの3種類の栄養剤をランダムに3日間に分けて摂取し, 血圧を評価.
(J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2001 Dec;56(12):M744-8.)
血圧は食前20分〜食後75分の間, 5分ごとに評価.


・炭水化物が多いほど, 血圧の低下, 低下時間が増悪する結果.
・症状も炭水化物が多いほど頻度が高くなる.

グルコースの摂取速度と血圧
・グルコースの投与速度を生理食塩水(S), 1kcal/分(G1), 2kcal/分(G2), 3kcal/分(G3)とした時の血圧の変動
(JAMDA 15 (2014) 394-409)

血圧の変動は朝がもっとも大きい
(J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2000 Sep;55(9):M535-40.)

Postprandial hypotensionの診断
・高齢者における失神や, 転倒では必ずこの疾患を考慮すべき
 さらにパーキンソン病や糖尿病, 末期腎不全患者では特に疑う
・評価は血圧の持続的な測定.
 朝食, 昼食時〜食後2時間以上血圧をモニタリング.
 24時間の持続的なモニタリングも重症度を評価するために行う
・血圧測定の間隔は10分程度が良い
・血圧の低下は食後35分〜1時間以内に認められることが多い
・食事における血圧の変動は診断に有用(特異性が高い)が感度は低いため, 正常でも除外が困難. 複数回評価する必要もある.
・血圧低下のカットオフはsBP20mmHg以上であるが, これもEvidenceがあるわけでもない. 
 症状があり, 血圧低下があれば有意と考えても良い

Postprandial hypotensionの治療
・非薬物治療では, 飲水や炭水化物制限, 1回の食事量の減量, 姿勢などの指導
・飲水は100mlよりも500mlの方が血圧低下予防効果は良好 (Clinical Nutrition 34 (2015) 885-891)
・間欠的な運動習慣も血圧低下予防に有用(JAMDA 16 (2015) 160e164)
・薬物ではカフェインやα-GIなどが試されるが効果が明確なものはまだない


2016年5月7日土曜日

化膿性脊椎炎の抗生剤投与期間

化膿性脊椎炎における抗生剤投与期間は基本的に6週間.

化膿性脊椎炎患者359例を対象としたopen-label RCT
(Lancet 2015; 385: 875–82 )
・抗生剤投与期間を6wkとする群 vs 12wkとする群で割りつけ, 1年後の治癒率を比較.

母集団のデータ
アウトカム;

治癒率は双方とも90%と有意差なし
・炎症反応、腰痛も有意差無し.

化膿性脊椎炎の治療期間は6wkでOKといえる

再発リスクと投与期間別の再発リスクを評価した後ろ向きStudy

血行感染による化膿性脊椎炎患者 314例を後ろ向きに解析
(Clinical Infectious Diseases® 2016;62(10):1262–9)
・再発リスク因子を抽出し, 1項目でもあれば高リスク群と定義.
・リスク群別の抗生剤投与期間と再発リスクを評価した.

母集団

再発リスク因子は以下のとおり:
・MRSAによる感染: OR 2.61[1.16-5.87]
・ドレナージされていない椎体周囲膿瘍, 腸腰筋膿瘍: OR 4.09[1.82-9.19]
・ESRD: OR 6.58[1.63-26.54] の3項目.

リスク群と抗生剤投与期間別の再発率
長期間(≥8wk)ほど再発率も低い.
・特に高リスク群では8wk以上の投与が推奨される
・低リスク群でも長期間ほどよいが, 少なくとも6wk以上の投与でよいかも.

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化膿性脊椎炎における抗生剤投与期間は基本的に6週間であるが,
MRSAによるもの, 透析中の患者, ドレナージされていない椎体周囲の膿瘍や腸腰筋膿瘍を合併している場合は再発リスクが高く, 少なくとも8週以上の投与期間の方が良いと考えられる.

2016年5月2日月曜日

突発性難聴に隠れているかもしれない疾患

突発性難聴と診断され, 頭部MRIを施行された291例を評価した後ろ向きコホート研究
(Medicine 95(17):e3557)
平均年齢は45.7歳(11-81), 女性が153, 男性が138例
・全例で神経学的所見が評価されており,
・MRIは発症後10日以内に評価されてい(1例のみDay 18)


MRIにて突発性難聴に関連する異常が検出されたのは13例(4.5%)
・Vestibular Schwannoma(前庭神経鞘腫)が9例と最も多い
 他は迷路内鞘腫, 迷路内出血など.

前庭神経鞘腫 9例
・大きさは1.5cm未満が6例と多い
・評価するとしても, 脳幹部をThin sliceでチェックする必要がある