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2019年2月1日金曜日

ビタミンB12欠乏性貧血におけるフェリチンの値

2月の京都GIMカンファレンスで出た症例に関連して,

ビタミンB12欠乏に伴う汎血球減少, 巨赤芽球性貧血において,
ビタミンB12補充を行なっても貧血の改善が不十分な場合, 考えるべきは鉄欠乏性貧血の合併や銅欠乏の合併である.

その中でも鉄欠乏の合併の頻度は高く, 初期に鉄欠乏がなくても後に生じてくることは有名.
ビタミンB12欠乏が生じる状況では鉄や銅の吸収も低下していると考えておく必要もある.

では, フェリチン値はどの程度なのか?

これに関しては論文のデータが少ない. 自分が知っているのは2015年の論文くらい.

Indian J Hematol Blood Transfus. 2015 Jun;31(2):255-8. 

Vit B12欠乏 + 鉄欠乏の合併例 37例と非合併例 38例のLabを評価.
・鉄欠乏は全てVit B12補充後に合併した症例.

両者のLabは以下の通り: 左が鉄欠乏合併, 右が非合併例

・フェリチンは鉄欠乏合併例でも初期は124.3±107.3と高い.
 非合併例では208.3±101.3ある. 
 そして, Vit B12補充後は両者で低下する. 鉄欠乏合併例では25.6±32.9と低下するものの, 鉄欠乏といえるフェリチン<30ng/mLまで低下するかと言われると, 全例でそうではない.

・それに比べると, 鉄飽和度の方がフェリチンよりもしっかり低下する
 鉄欠乏合併例では治療後の鉄飽和度10.7±5.0%であり, ほぼ全例で<20%を満たす.

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データが少ないながら, 巨赤芽球性貧血の場合にいえることは,
フェリチンは初期は高い.
治療に従って低下するが, 鉄欠乏の評価はフェリチンよりも鉄飽和度の方が使いやすい.
治療反応性が悪いならば鉄を併用する癖をつける.

ということ. 大体普段からそうしてます.