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2016年11月17日木曜日

抗凝固療法中の患者におけるPCI後の抗血小板薬は?

PCIにてステントを留置後には抗血小板薬の2剤治療(DAPT)を行う.
基礎疾患に心房細動(Af)がある場合, DAPTに抗凝固療法を加えた3剤両方となるが, 出血リスクが上昇するためしばしばやりにくいことも多い.

Aspirin, Clopidogrel, Warfarinの組み合わせと, 出血RiskをデンマークのObservational Cohortより解析 (Lancet 2009;374:1967-74)
・>30yrで初発AMIを来した40812名のCohort. 
・476.5d(142.0)フォローし, 4.6%が出血により入院. 
 *1 Propensity score, *2 Adjusted HR
治療薬
出血;%/pt-yr
出血HR*1
出血HR*2
Aspirin単剤
2.6%
Reference
Reference
Clopidogrel単剤
4.6%
1.29[1.15-1.40]
1.33[1.11-1.59]
Warfarin単剤
4.3%
1.23[0.94-1.61]
1.23[0.94-1.61]
Aspirin + Clopidogrel
3.7%
1.42[1.24-1.63]
1.47[1.28-1.69]
Aspirin + Warfarin
5.1%
1.83[1.51-2.22]
1.84[1.51-2.23]
Clopidogrel + Warfarin
12.3%
3.41[2.35-4.95]
3.52[2.42-5.11]
三剤併用
12.0%
3.86[2.94-5.07]
4.05[3.08-5.33]
・併用するほど出血Riskは上昇する.
・特にClopidgrel + Warfarinの2剤を使用するとRisk増.

Af患者でPCI施行された426名のprospective cohort study
(J Am Coll Cardiol 2008;51:818-25)
・内96%が1つ以上, 80%が2以上のStroke risk(+)
・Aspirin + Clopidogrelが40.8%, Warfarin + Aspirin + Clopidogrelが50.0%, Warfarin + 1剤が5.6%, 抗血小板剤1剤のみが3.6%
・595d[0-2190]フォローし, 35%で副作用(+), Major bleedingが12.3%, MACE(Major adverse cardiac event)が32.3%.

Warfarinの有無によるOutcomeの差
Event
Warfarin(+)
Warfarin(-)
P value
Major bleeding
14.9%
9%
0.19
Minor bleeding
12.6%
9%
0.32
Embolism
1.7%
6.9%
0.02
Death
17.8%
27.8%
0.02
AMI
6.5%
10.4%
0.14
Target vessel failure
9.2%
16.7%
<0.01
MACE
26.5%
38.7%
0.01
Warfarin(+)群のほうが死亡率, MACEが有意に低い

これらからは, やはりワーファリンを加えた方が心血管系イベント抑制効果は高い.
しかしながら出血リスクは当然上昇してしまうことが推測される.

ワーファリンや抗凝固療剤を加えつつ, 出血リスクを抑えるためにはどうしたら良いか?

WOEST trial; 既に抗凝固薬を使用している患者群において, PCIを施行した573名のOpen-label RCT.
(Lancet 2013; 381: 1107–15)
・Clopidogrel単独追加群 vs Clopidogrel + ASA併用群に割り付け, 1年以内の出血リスク, 冠血管イベントリスクを比較.
・ワーファリンはINR 2.0を目標に使用.
・平均年齢は70歳. PPIは其々34-39%で併用. CHADS2 score ≥2は78%.

母集団データ

アウトカム: 出血リスク
出血リスクは有意にASA無しの群で低くなる.
 中等度以上の出血や輸血量も低下.

アウトカム: 心血管イベント
心血管イベントは両群で有意差無し.
・出血リスクが低下する分, 死亡リスクも低下.

抗凝固療法中の患者におけるDES留置後の抗血小板薬 3剤治療 vs 2剤治療のMeta
(Am J Cardiol 2015;115:1185-1193)

Major bleeding
死亡, MI, Stokeなど
Clopidogrel + OAC
3.50%
15.50%
ASA + Clopidogrel
2.50%
16.70%
3剤療法
5.50%
19-21%

Bleeding
死亡, MI, Stokeなど
ASA+Clopidogrel vs 3剤療法
OR 0.51[0.39-0.68]
OR 0.71[0.46-1.08]
Clopidogrel + OAC vs 3剤療法
OR 0.77[0.59-0.99]
OR 0.90[0.70-1.17]




すでに抗凝固中の患者ではステント留置後はDAPTではなく, 1剤のみ追加でも良い可能性が高い.
そちらの方が出血リスクは少なく, イベント抑制効果は同等となる

PIONEER AF-PCI: Af患者でPCIを施行, ステント留置を行なった2124例を対象としたRCT.
(Prevention of Bleeding in Patients with Atrial Fibrillation Undergoing PCI. NEJM 2016)
以下の1)~3)群に割り付け:
1) リバロキサバン(15mg/d*) + P2Y12阻害薬を12ヶ月継続群
 *ClCr 30-50ml/minでは10mg/d.
2) 超低用量リバロキサバン(2.5mg bid) + DAPT**を1,6,12ヶ月継続群
 ** ASA 75-100mg/d + P2Y12阻害薬
 1,6ヶ月継続群では, 残りの期間はリバロキサバン15mg/d + ASA 75-100mg/dを継続する
3) ワーファリン + DAPTを1,6,12ヶ月継続群
 INRは2.0-3.0でコントロール
 1,6ヶ月継続群では, 残りの期間はワーファリン + ASA 75-100mg/dを継続する

・患者は発作性, 持続性, 恒久性のnonvalvular AfでPCIを施行する予定がある患者群で, PCI施行の3ヶ月以上前より抗凝固を行なっている患者群
・除外項目は脳卒中の既往, 12ヶ月以内の上部消化管出血, ClCr <30mL/min, 原因不明の貧血(Hb<10g/dL), 出血リスクが高い患者群.

・PCI後 Sheathを抜去し, INR ≤2.5となった際に割り付けを行う.
 投薬開始前に主治医により投与期間(1,6,12ヶ月), 使用P2Y12阻害薬(clopidogrel 75mg/d, prasugrel 10mg/d, ticagrelor 90mg/d)を選択(実際9割はClopidogrelを選択).

母集団データ

アウトカム
1) リバロキサバン15mg + P2Y12阻害薬
2) リバロキサバン 2.5mg bid + DAPT
3) ワーファリン + DAPT

・1)と2)では3)と比較して有意に出血リスクが低く, 心血管イベント抑制効果は同等の結果.

2)と3)群での期間別での比較: 出血リスク
・6ヶ月継続群同士の比較で出血リスクの軽減効果が認められる.

2)と3)群での期間別での比較: 心血管イベントリスク
・心血管イベントリスクはどの投与期間の比較でも有意差なし.

Af患者でPCIを行う場合, ステント留置後はDAPTではなく, アスピリン or クロピドグレル1剤のみの方が出血リスクは低くて済む. 
一方で心血管イベントリスクについては有意差がない結果.

これもDAPTの投与期間についての検討と同じように, 狭心症に対するPCIか、MIに対するPCIか、再狭窄リスクが高いかどうか、という点で一概には判断ができないであろうが, PIONEER AF-PCIは要チェック文献の1つと言える

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