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2016年8月23日火曜日

Toxic shock syndrome: 毒素ショック症候群

Toxic shock syndrome(TSS)

TSSは水溶性下痢, 日焼け様皮疹, 嘔吐, 低血圧, 多臓器不全を伴う発熱性疾患.
・Staphylococcus aureusやStreptococcus pyogenes等GPCが産生する毒素が原因となる.
・Superantigen(SAgs)はantigen-presenting cell(APCs)とT cellに作用し, T cell増生, 多量のサイトカイン分泌を誘発する.
・その結果発熱, 皮疹, Capillary leak, 低血圧を生じる
(Prim Care Update Ob/Gyns 2000;7:85–90. © 2000)(Crit Care Clin 29 (2013) 651–675)

S. aureusが産生する毒素はTSS Toxin-1, Enterotoxin A,B,C.
・TSST-1はIL-1やTNF-αの分泌を促進させる.
 通常ヒトはTSST-1に対する抗体をもっており, 不活化できるが, 抗体がない患者や, 毒素産生株が常在, 増殖する場合, TSSを発症する

S. pyogenesはStreptococcal pyrogenic exotoxins(SPE) A, B, Cを産生する.
・SPE AとTSST-1は類似した構造を有する.

これら毒素や, 他にMF, SSA, M蛋白などがT細胞とclass II MHC complexと反応することでTSSを発症する
(CMNEEJ 1997;19:33-40)

抗原、スーパー抗原とT細胞, MHCの結合のシェーマ

TSSの症状, 経過:
・前駆症状として, 2-3日前より悪寒や筋肉痛を認める.
 その後発熱が出現.
・発症早期に皮膚や粘膜症状を伴う.
・皮膚症状は日焼け様の紅斑であり, 発症5-12日後に皮膚の落屑を認める.
 落屑は細かい落屑が顔面や体幹, 四肢で認め, 手足は上皮深部までの落屑を生じる.
粘膜症状は咽頭痛や眼瞼結膜蒼白, いちご舌, 結膜炎など.
・消化管症状も早期で出現. 水様下痢は90%で認められる.
 大量の下痢による脱水, 低血圧も多く伴う
・他には腹痛や筋肉痛, 関節痛, 滑膜炎, 関節炎所見も伴う
・中枢神経症状は意識障害や意識変容, 痙攣など
・呼吸, 循環器系ではARDS, 低血圧.
 ARDSはTSSによる死因の1つとなる
(Prim Care Update Ob/Gyns 2000;7:85–90. © 2000)


Streptococcal TSS: STSS

STSSのCase definition:
Criteria

GABの検出
a
通常無菌の部位より(血液, CSF, 腹水, 組織)

b
有菌の部位より(咽頭, , 喀痰)
臨床所見
a
低血圧; sBP=<90mmHg

b
以下の2項目以上を満たす


 凝固障害; PLT=<10 or DIC


 肝障害; AST,ALT,T-bil >=2ULN


 ARDS


 全身性の紅斑, 表皮剥離あり


 軟部組織壊死(壊死性筋膜炎, 筋炎, 壊疽)
Probable; 1b + 2(a+b)を満たす(他に原因となるもの無し)
Definite; 1a + 2(a+b)を満たす
菌血症はStreptococcusで60%, Staphylococcusでは3%で認められる.

・頻度は1.5-5.2/100000 (ブ菌では6.2-12.3/100000)
症状は原発巣の症状 + 全身症状
 20%でFlu-like symptomを伴う
 80%で軟部組織症状
 猩紅熱は10%程度のみ
 合併症; DIC, Waterhouse-Friderichsen Syndrome
 特異的な症状は特になし
 血培は60%で陽性
 死亡率は23-44%
(Lancet Infect Dis 2009;9:281-90)

Staphylococcal TSS: いわゆる古典的TSS
Staphylococcal TSSのcase definition
Criteria

Major
1
発熱; >=38.9
(4/4を満たす)
2
皮疹; Diffuse Macular eryhtroderma

3
落屑; 発症1-2wk後に生じる. 手掌, 足底が主

4
低血圧; sBP<90mmHg, 起立性低血圧
多臓器
5 a
GI; 嘔吐, 下痢を認める
(>=3項目)
   b 
; 筋肉痛, CK上昇(>=2ULN)

   c
粘膜; 陰部, 口咽頭, 眼球結膜の充血

   d
; (BUN, Cr) >=2ULN, UTI(-)だけど, U-WBC >=5/HPF

   e
; (T-bil, AST, ALT) >=2ULN

   f
血液; PLT=<10マン/mcL

   g
CNS; 局所症状(-), 意識障害(+)
6 a
血液, CSF, 咽頭培養は普通は陰性. (血液培養はS aureusで陽性となることも)
6 b
Rocky Mountain spotted fever, Leptospirosis, MeaslesTiterは正常
Probable; 6項目中5項目を満たす
Confirmed; 全6項目を満たす
(Postgraduate Medicine 2001;10:55-62)

S. aureusによるTSSは2つに分類される
・Menstrual(月経関連): 月経期の2日以内に生じるTSS.
 月経関連のTSSの原因はほぼ全てS. aureus
 タンポンの使用と関連性が高い.
 通常膣は無酸素状態であるが, タンポンを挿入すると有酸素となり, 毒素産生(TSST-1)が生じる.
 このタイプのTSSの大半でTSST-1が関連する.
 Polyacrylate rayon-containingのタンポンが使用されてからは頻度は低下したものの, 長期に使用することでそれでもリスクとなる.

・Nonmenstrual(非月経関連): 非月経関連のTSSの半分がS. aureus, もう半分がStreptococcus(GAS)
 創部感染, 乳腺炎, 副鼻腔炎, 骨髄炎, 関節炎, 熱傷, 皮膚, 軟部組織感染症, インフルエンザ感染後の呼吸器感染症に伴うTSS.
(Crit Care Clin 29 (2013) 651–675)

ミネアポリスで2000-2006年に報告されたStaph TSS 61例.
(PLoS ONE 2011;6:e22997)
・月経由来 33例, 非月経由来 28例.
・頻度は100000あたり, 
 TSS全体 0.52[0.32-0.77], 
 月経性 0.69[0.39-1.16], 
 非月経由来 0.32[0.12-0.67]
・女性 13-24歳で最も高頻度 1.41[0.63-2.61]となる.
・MRSAは全体の7%.
・Superantigen geneの検出率; tst-1は全体の80%. 
 特に月経由来のTSS例で多い(89% vs 50%)
 他にsea, seb, secは非月経例で多い(100% vs 25%, 60% vs 0%, 25% vs 13%)

TSSの鑑別疾患
(Prim Care Update Ob/Gyns 2000;7:85–90. © 2000)

TSSの治療: 全身管理 + 感染巣のデブリと抗生剤 ± IVIG
抗生剤の選択
細菌
Option 1
Option 2
Option 3
備考
GAS
PCG + Clindamycin
Macrolide or FQ
 + Clindamycin
Linezolid or
daptomycin or
tigecycline
Macrolide,
FQ
耐性が増加中
MLS-resistant
GAS
PCG
 + Vancomycin
 or teicoplanin
Vancomycin
 or teicoplanin
Linezolid or
daptomycin or
tigecycline
Clindamycin耐性による
Macrolide
耐性あり
MSSA
Cloxacillin or
nafcillin or cefazolin
 + Clindamycin
Clarithromycin
 + Clindamycin
Rifampicin
 + linezolid or
 daptomycin or
 tigecycline

MRSA
Clindamycin or
linezolid
 + vancomycin or
 teicoplanin
NA
Rifampicin
 + linezolid or
 daptomycin or
 tigecycline

Glycopeptide
 -resistant
  S aureus
Linezolid
 + clindamycin
NA
Daptomycin
 or tigecycline
頻度は増加中
地域性強い
(Lancet Infect Dis 2009;9:281-90)

Clindamycinを併用する理由
S. pyogenes TSS, 軟部組織感染症においてClindamycinが好まれる理由は以下
1) 細菌の増殖におけるどのPhaseでも効果がある
2) Toxin産生を抑制する
3) M-protein産生を阻害し, Phagocytosisを促進させる
4) Penicillin-binding protein産生を抑制する
5) Clindamycinはβ-lactumよりもPostantiboitic effectが長い.
6) LPS(Lipopolysaccharide)によるmonocyteのTNF産生を抑制する

・S. pyogenesを筋肉内に注射したマウスを使用した実験では, β-lactumやErythromycin治療群では2h治療が遅れると死亡率が高いが, Clindamycinでは6hの遅れで80%, 16.5h遅れても70%は救命可能であった
(Emerging Infectious Disease 1995;3:69-78)

IVIGは, S. aureusによるTSS, STSSにおいて, 死亡リスクの軽減効果が示されている.
・TNFα, IL-1α, IL-6の産生を低下させる
・また, SAgsやM-proteinに対する抗体も含まれている点で効果的.
(Crit Care Clin 29 (2013) 651–675)

STSS患者でIVIGで治療された21例(1994-1995)と, IVIGを投与されなかった32例(1992-1995)を比較.
(Clinical Infectious Diseases 1999;28:800–7)
・IVIGは2g/kgを使用.(0.4g/kgを5日間)

30日生存に関連した因子を評価すると,
IVIG, Clindamycin, 外科手術, Faciitisは有意に生存に関連する因子であった

STSSに対するIVIGを評価したDB-RCT
(Clinical Infectious Diseases 2003;37:333–40)
・IVIGは1g/kg Day 1, 0.5g/kg Day 2-3.
・抗生剤はβ-Lactum + Clindamycin 600mg q8h
・患者の集まりが遅く, N=21の時点でStudyは終了となった(IVIG群10例, Control群11例)

中断時点でもIVIG群で死亡が少ない傾向.

SOFA scoreの有意な低下もIVIG群で認められた.

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