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2015年1月6日火曜日

PSVT: 発作性上室性頻拍 Atrial Tachycardia(AT)

PSVT: Atrial Tachycardia(AT)

PSVTにはAVNRT, AVRTが90%を占めるが, 10%前後がAtrial tachycardia(AT)である。
AT, 特にFocal ATは他のAVNRT, AVRTと異なり薬剤が効きにくい上室性頻拍であるため, 第一選択としてアブレーション治療が推奨される。従って分けて理解する必要がある(と思う)。

Atrial Tachycardia(AT) (PACE 2006; 29:643–652) 
上室性頻脈の1つ. 心房にoriginのある頻脈性不整脈.
Regular ATにはFocal ATとMacroreentrant ATに分類される
 FATは心房の局所が起源となる頻拍であり, Macroreentrantは直径2cmを超えるリエントリーを形成するタイプ.
 心房粗動はMacroreentrant ATの1つ.
さらにFATの中にはMicroreentrant ATやTriggered activityによるAT, Automatic ATに分類される.
 起源は心房の局所的なものであるが, その機序が微小なリエントリーによるもの, 刺激があるもの, 局所細胞の自発性な発火パターンで異なる. この機序は薬剤の反応性に関連する.

非持続性のATはHolter心電図で良く見る所見で無症候性であるが, 持続性ATはPSVT精査目的の電気生理学検査の5−15%で認められる.
 FATは小児発症が多く, 無症候性も多い.
 Microreentry ATはより高齢者で多いが, 年齢で分けられるわけではない
 高齢ではよりRAがoriginとなる事が多くなる
 他のPSVTと異なり男女差はなし.

FATの心拍数は130−250bpmであることが多いが一部で<100, >300bpmとなる例も報告されている
 若年ほど頻脈になりやすい傾向がある.

症状は無症候性〜動悸, ふらつき, 胸痛, 呼吸苦など
 症状の出現はどの年齢でも生じて良いが10−39歳で症状を自覚する例が多い.
 経過は良性であることが多いが, 頻脈性心筋症のリスクとなる.
 ATの63%がLV機能が低下しており, その73%が頻脈性心筋症であった.
若年性のATは自然に寛解する可能性がある
 ≤25y発症のATでは55%が改善するが, ≥26y発症でのATでは14%のみ

FATの診断
他の不整脈同様, ECGやHolter, Loop recorderで診断するが他のPSVTとの鑑別は難しいことが多い
FATの心電図の例
洞性頻脈 vs ATの判別
 ATのP波は洞性Pと異なるためそこで判定可能であるが, Superior Crista Terminalis起源もFATではP波が洞性Pに類似している
 洞性頻脈は30秒〜数分で心拍数が増減する変動をとるが, FATでは3-4拍で変動することが多いため, その点も判断材料となりえる.
AT vs AVNRT/AVRTの判別
 最も有用な所見はR−P間隔
 AVNRT, AVRTはリエントリーを介するため, 心室収縮後すぐ, もしくは同時にP波を生じる.
 もしくはRとPが同時に生じ, P波がわからなくなる.
 ただしATの心拍数によってはR−P間隔が短縮することもありその場合は判断が難しくなる
 P波軸が陰性の場合, 心房の上部がOriginであることが示唆されるため, AVNRTは否定的となる

FAT vs Macroreentrant ATの判別
 FATでは個々のP波が基線上に明確に認められるが, Macroreentrant ATや心房粗動(Macroreentrant ATで250−300bpmとなる例)では基線が不明瞭で連続性の起伏となる点で異なる.
 ただしこの所見も頻脈の場合や心房収縮が遅延している場合は基線が不明瞭であり, 判別が困難なことがある
 電気生理学検査が判別のGold standardとなる

FATのOriginの評価 (J Am Coll Cardiol 2006;48:1010–7) 
130例の成人FAT症例のFocus部位

RAが7割, LAが3割程度
P波の波形とOrigin判別に対する感度, 特異度

Origin判別のアルゴリズム: これで93%が判別可能であった

FATの治療 (PACE 2006; 29: 769–778) 
急性期治療
 バルサルバ法は効果が乏しいが, AVブロックを誘発することでより心電図波形, P波の形状がわかりやすくなる可能性がある.
 電気的除細動も効果は限定されており, Microreentryによるもの, Triggered activityによるもののみ効果的だがAutomatic ATには効果は期待できない
 Overdrive pacingもAutomatic ATでは心拍数を抑制し得るが除細動効果までは期待できない. MicroreentryやTriggered activityでは除細動効果が期待できる.
 アデノシンやAVブロックを誘発する薬剤も同様でMicroreentryとTriggered activityでは除細動効果が期待できるが, Automatic ATでは心拍数抑制効果はあるが, 限定的な効果.

ATの長期的薬物治療
 RCTはなく, 抗不整脈薬の効果は不明.
 副作用の観点からCa-ch阻害薬やβ阻害薬が1st−lineとして推奨される.
 AVNRTやAVRTに使用される抗不整脈薬の効果は不明であるが, Class Ic(フレカイニド, プロパフェノン)で抑制できた症例報告もある
 Class III(アミオダロン, ソタロール)も効果が見込める

しかしながら長期投与における効果は不明であり, 副作用も多いことから基本的に慢性期治療の第一選択はアブレーションとなる.

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