某自己免疫性疾患の精査をしていると, バセドウ病が発見された.
自己免疫性甲状腺炎(橋本病)とバセドウ病は, 自己免疫性甲状腺疾患であり,
最も多い自己免疫性疾患の1つ .
T細胞関連臓器特異性自己免疫性疾患に分類される.
バセドウ病2791例, 橋本病495例の通院患者において, 併存する自己免疫性疾患を評価した報告では,
(The American Journal of Medicine (2010) 123, 183.e1-183.e9)
・バセドウ病の9.67%, 橋本病の14.3%で自己免疫性疾患が併発.
・最も多いものはRA. 他は悪性貧血, 白斑といったものが多い
1993-2010年の外来診療より3209例のGD患者を前向きに評価
(Autoimmun Rev. 2019 Mar;18(3):287-292.)
・対象群として, 年齢, 性別, ヨウ素摂取量がほぼ同じ 一般人口より無作為にマッチさせた3つの対称群を導入
対象群Iは同じ地域の一般人口. 甲状腺スクリーニングを行い, 甲状腺障害がある患者は除外.
対象群IIは一般人口から無作為に抽出した自己免疫性甲状腺炎(AT)群
対称群IIIは一般人口から無作為に抽出された非中毒性多結節性甲状腺腫(MNG)群
・自己免疫性疾患の合併率は,
GD患者群で16.7%, 一方でAT群で18.5%と高く
一般人口群では3.3%, MNG群では3.5%と, GDとATで頻度が高い.
・ATとGDでは各疾患の合併率に差はない.
・GDで最も多い自己免疫性疾患の合併は, 白斑症 2.6%, 慢性自己免疫性胃炎 2.4%, RA 1.9%, PMR 1.3%, MS 0.3%, Celiac disease 1.1%, 1型糖尿病 0.9%
他はSLEやサルコイドーシスが<0.1%, Sjogren症候群 0.8%
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膠原病ミミッカーとして甲状腺疾患は重要で, 有名なので
通常スクリーニングとして甲状腺機能は評価されることが多い.
大体がその時に気づかれるので見落とすことがないとは思われるが,
今回PMR患者でバセドウ病が隠れていたのでそういうことがあるのか, と思い調べてみた次第