新しくITPの治療の選択肢となったFostamatinib
Spleen Tyrosine kinase(Syk)阻害薬である.
・SkyシグナルはITPにおいて抗体を介した血小板破壊の中心的な役割を担う. このSykを阻害することで血小板破壊の抑制効果が期待できる.
・Fostamatinibは経口Sky阻害薬であり, FIT1, 2 trialsにおいて有意に血小板の改善が得られている.
FIT 1,2: 持続性, 慢性ITP患者を対象
(Am J Hematol. 2018 Jul;93(7):921-930.)
・Fostamatinibを1日2回内服群とプラセボ群に割り付け比較
投与量は100mgを1日2回, または150mgに増量が可能.
・アウトカムはPLT >5万/µL達成, 維持率
・5万以上を維持できた症例は 投与群で18%, プラセボ群で2%と 有意にFostamatinib群で良好.
・12wk以内にPLT ≥5万達成率は43% vs 14%であった.
FIT 1,2の長期フォロー
(Am J Hematol. 2019 May;94(5):546-553.)
・28ヶ月間において, 44%でCRを達成.
TPO製剤が無効であった症例の34%でCR
・有害事象は下痢や高血圧, 嘔気嘔吐, 肝機能異常があったが, 軽症や中等症が主.
ということで, FostamatinibはTPO製剤が無効であったITP症例の1/3でCRが期待できる, 新たな治療の選択肢となる薬剤と言える.
そして, このSky阻害薬がRAでも効果が期待できる.
MTX投与下の活動性RA患者457例を対象とし, Fostamatinib 100mg bid, または150mg/d(1日1回)群, Placebo群に割り付け, 比較したDB-RCT
(N Engl J Med 2010;363:1303-12.)
・MTXは7.5-25mg/wkを3ヶ月以上使用している状況で,
TJ, SJが6箇所以上, 炎症マーカー上昇を認める群.
・他のcsDMARDの併用は可. PSL ≤10mg/dの使用は可.
bDMARDはWashout期間を経ている場合は使用歴があっても良い.
アウトカム
・Fostamatinib群では有意にACR20, 50, 70達成率が良好.
特に100mg bid群(200mg/d)で効果は良い
副作用の頻度
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しばしばRA患者に合併するITP症例はある. またその逆も.
そういった症例で, 難治性ITPでTPO製剤を使用するくらいならば, このsky阻害薬の選択は双方にとってよいかもしれない.
選択肢として覚えておく価値はありそう.