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2021年11月29日月曜日

RA患者における好中球減少症: Felty症候群と大型顆粒リンパ球増多症(LGL lymphocytosis)

 関節リウマチ患者で好中球減少を生じた場合, 第一に薬剤性(MTXや他のcsDMARD, トシリツマブが代表的)を疑う.

薬剤性の可能性が否定的であり, 他に原因も乏しい場合, Felty症候群やT-LGL leukemiaを考慮する.

(Joint Bone Spine. 2015 Jul;82(4):235-9.)


Felty症候群はRA, 脾腫, 好中球減少の3徴を特徴する疾患

(Acta Haematol 2021;144:403–412)(Best Practice & Research Clinical Rheumatology Vol. 18, No. 5, pp. 631–645, 2004)

・RA患者の<1-3%で認められる.


 診断から10年以上経過したRAで認められることが多い.

・Felty症候群を伴うRAでは, 関節外症状を伴う頻度が高い:
 

 91%が脾腫以外の関節外症状を伴う.
 

 リウマチ結節 76%, 体重減少 68%, 続発性Sjogren症候群 56%,
 リンパ節腫大 34%, 下肢潰瘍 25%, 胸膜炎 19%, 皮膚色素沈着 17%, 神経障害 17%, 上強膜炎 8%, 溶血性貧血など

・関節炎の活動性とは必ずしも一致しておらず, 100例のFSのうち35例は治療が不要な状態であった報告もある. 一方で, 骨破壊は高度な症例が多い.

・リウマチ因子の陽性率は95-100%であり, 高力価となる(中央値 10240[範囲640-81920]). (Medicine (Baltimore). 1986 Mar;65(2):107-12.)

 
ANAは47-100%で陽性. 抗ヒストン抗体も68-83%で陽性となる.


 報告では, 非特異的なANCAが8割で陽性となるものもある.


 免疫グロブリンは上昇し, 補体は低値となることが多い

・また, HLA-DR4との強い関連が示されている

・好中球減少の機序はSLEと同じく, 免疫機序による, 骨髄の顆粒球分化の抑制, G-CSFによる成熟化の抑制, 末梢血での血球破壊が生じている

・骨髄像では骨髄球系の過形成, Maturation arrestが多く認められる


 また頻度は少ないが, 正常骨髄や低形成骨髄となることもある.


 特異的な所見は認めないため, 基本的に骨髄検査は他疾患の除外目的で行う.


このFelty症候群と類似した病態となり, しばしばRAでの合併も多い疾患がLGL lymphocytosis(大型顆粒リンパ球増多症) [特にそのうちのT-LGLL(T細胞性大型顆粒リンパ球性白血病)]である.

・LGL lymphocytosisは慢性リンパ増殖性疾患の5-6%を占める(アジア)

Large granular lymphocyte: LGLとは

・LGL: 大型顆粒リンパ球. 

 末梢血単核球のSubsetの一つであり, 正常の末梢血にもある(<250/µL, 5-10%程度)

・直径12-20µmの細胞で, 淡青色の細胞質, 偏心した核, 顕著なアズール親和性顆粒を有する.

・酸性ホスファターゼに染まり, MPOで染まらないため, リンパ球系がオリジンと考えられる.

・CD3-NK細胞, またはCD3+活性型細胞傷害T細胞の双方に由来するLGLがある; 

 
CD3+LGL(T-LGL), CD3-LGL(NK-LGL)

A) リンパ球, 

B,C) LGL

(Hematology Am Soc Hematol Educ Program. 2017 Dec 8;2017(1):181-186.)


LGL lymphocytosis: LGL増多症

・LGLは通常<300/µL程度であるが, 6ヶ月を超えて>2000/µLとなる場合や,

 Clonalな増殖(>500/µL)が認められる場合はLGL増多症(LGL lymphocytosis), LGL白血病(LGL leukemia)と呼ぶ(LGLL).

・LGL増多症では, 好中球減少, 貧血, しばしばPLT低下を認め, 脾腫を伴う.
 

 末梢血, 骨髄リンパ球増多を認める点が特徴.
 (末梢血Ly >4500/µL, 骨髄リンパ球分画>23.8%)

・ClonalなLGL増殖はT-LGLで多く, TCR rearrangementで検出が可能. 

 非クローン性のLGL増殖は反応性に生じ, CMVやHTLV-1, HIV, EBVなどの慢性感染症に伴うものが知られている.
また, 脾摘後や骨髄移植後に認められるものもある.

・WHOの分類ではLGLは成熟T細胞/NK細胞性腫瘍に含まれる.

 T細胞の要素を持つLGLではT cell LGL leukemia (T-LGLL)

 NK細胞の要素を持つLGLではChronic lymphoproliferative disorder of NK cell (CLPD-NK)と呼ばれる. 

 稀であるが, 予後不良のAggressive NK-cell leukemiaもLGLが増殖するためにこの分類に含まれる. 主にアジア人で報告され, EBV感染症の関連がある.

 頻度はT cell LGL leukemiaが85%と最も多い (Blood. 2017;129(9):1082-1094)


LGLLの主な症状は消耗症状 

・LGLLの中央年齢は60歳であり,
 <50歳での発症は<25%のみと少ない. 小児例はまれ.

・1/3は診断時に無症候

・初発症状/所見で多いのは好中球減少(70-80%)と, 再発性の口腔内アフタ.

 好中球減少による感染症は15%程度.
 

 アジア人では好中球減少の頻度は低いが, 赤芽球瘻の頻度が高い.
 

・他に脾腫, 神経障害(特に多発単神経炎), リンパ節腫大, 
Polyendocrinopathy, 口腔内潰瘍が認められることがある.

 脾腫は20-50%, リンパ節腫大は希

・リンパ球数は4000-10000/µL, LGL数は1-6000/µL
  LGL<500/µLが7-36%で認められるため, 少なくても除外はできない

・好中球減少は重症(<500/µL)が16-48%, 中等度(<1500)が48-80%


 貧血は多く, 輸血依存が10-30%, 

 PRCAは8-19%で合併

 血小板減少は中等度のことが多く, 頻度は<25%

・LGLLではCD4+:CD8+比の逆転, CD8+CD57+の共発現, 活性型T細胞(CD3+/DR+)の出現などリンパ球の異常が認められる. 

 最も多い細胞のPhenotypeはCD2+, CD3+, CD4-, CD8+, CD16+, CD57+

(Best Practice & Research Clinical Rheumatology Vol. 18, No. 5, pp. 631–645, 2004)(Blood. 2017;129(9):1082-1094)


T-LGLLの背景疾患

・自己免疫疾患に合併する例が多く,
特に関節リウマチを背景とすることが多い

・他には自己免疫性血球減少や他の血液腫瘍, MDSの合併がある

(Blood. 2017;129(9):1082-1094)


T-LGLLとRAやFelty症候群とのOverlap

・T-LGLL患者の20%程度(11-36%)がRAを合併している

 一般人口におけるRA有病率は0.5-1%

 また, RA患者でLGLのクローナルな増加が認められるのが3.6%

・FS患者では報告によりバラつきはあるが30-40%でLGLの増加が認められる. 

 またClonalな増殖が認められる症例も多い(TCR rearrangement)

・アジア人のLGL leukemia患者では, 西欧人と比べてRAを発症するリスクが少ない(1/7)

・Felty症候群はRA患者における好中球減少, 脾腫を伴う病態であり, 
臨床的にはLGLLと類似する.


 また, RAに合併するT-LGLLの90%でHLA-DR4が検出され(非RA合併例では33%であり, 一般人口と同等), RA合併T-LGLLとFSは同様の病態スペクトラムと捉えらえる考えもある

(Curr Opin Hematol. 2011 July ; 18(4): 254–259.)(Best Practice & Research Clinical Rheumatology Vol. 18, No. 5, pp. 631–645, 2004)

・基本的にRA患者の原因が不明確な好中球減少において, RAに合併するT-LGLLとFSはT細胞のクローナルな増生があるかどうかで鑑別する.

 RA患者の他に原因が認められない好中球減少において, 
TCR遺伝子rearrangementが認められればT-LGLL, 認められない場合はFS

・最近報告ではさらに, STAT3 geneがT-LGLLの27-72%, STAT5b geneが2%で認められる報告があり, 両者の鑑別に有用な可能性が示唆されている.

(Rheumatology International (2021) 41:147–156)


単一施設のRA患者を後ろ向きに解析

(Rheumatology International (2021) 41:147–156)

・ACR/EULAR 2010基準でRAと判断されて, さらに末梢血好中球減少 and/or LGL上昇(>2000/µL)を満たす81例を解析.

・TCR遺伝子rearrangementの結果でT-LGLLとFSを分類し, 両群を比較した

アウトカム

・FSが25例, T-LGLLが56例


 年齢やRA罹患期間は両者で差はない.

 Erosive arthritis, RF陽性, ACPA陽性の頻度も同等.

 脾腫はFSで83%, T-LGLLで56%とややFSで多い

 白血球低下の程度はFSの方が顕著であり, リンパ球はT-LGLLで多い.


 LGLの絶対数もT-LGLLで多い

STAT3変異陽性はFSで0%, T-LGLLで39%とFSでSTAT3変異は認めない


LGL増多症の診療アルゴリズム

・リンパ球の増多やRAを伴う好中球減少, 貧血, 繰り返す感染症で疑う.

・末梢血スメアを確認し, LGLの増加の有無を評価.

 増加があればClonalな増生かどうかをフローサイトやTCRγ rearrangementで評価

・Polyclonalならば反応性LGL: 脾摘後やウイルス慢性感染症, 臓器移植後

・ClonaならばT-LGLLやCLPD-NK

・判断が困難ならば骨髄検査を行う.


LGL leukemiaやFelty症候群の治療

(Curr Opin Hematol. 2011 July ; 18(4): 254–259.)

・LGL leukemiaはIndolentな経過となり, 生存期間の中央値は10年以上.


 主に血球減少やB症状, 脾腫による腹部症状に対して治療が行われる.

・LGL leukemiaもFSも免疫抑制療法が主となる. 

・LGL leukemiaでは初期治療としてはMTX(10mg/m2/wk), CY 50-100mg/d, CsA 5-10mg/kg/dが選択されることが多い. 
 

 LGL leukemiaの50-60%で症状の緩和や血球減少の改善が期待できる
 

・FSではMTXなどDMARDにより好中球減少の改善が期待できる. 他にRTXやBioを使用した症例報告もあり.
 治療反応を評価するには4ヶ月以上経過を見ることが推奨される.

・好中球減少に対してはG-CSFやGM-CSFも効果的.

・B症状改善にはGCが有用, 効果も迅速.

・脾腫による症状が強ければ脾摘も検討. FS患者の8割で迅速な好中球減少の改善が期待できる. LGLでも血球減少の改善は期待できる


LGL leukemia症例を対象としたPhase 2 trial.

(Leukemia (2015) 29, 886–894; doi:10.1038/leu.2014.298)

・
初期治療をMTX 10mg/m2/wkの経口投与を行い,
 反応不良であった患者でCYC 100mg/dに切り替え, 反応性を評価

・患者はLGL leukemiaと診断された群で, 末梢血CD3+CD57+ cell>400/µLもしくはCD8+ cell >650/µLを満たし, さらに以下の1つ以上を満たす群
 

 ・重度の好中球減少<500/µL
 

 ・再発性の感染を繰り返す好中球減少
 

 ・症候性の貧血 and/or 輸血依存の貧血


 さらに, Bil<2.0mg/dL, GOT <1.5ULN, Cr<2.0mg/dL, ECOG 0-2, 他の悪性腫瘍がないことが条件.

・治療はMTX 10mg/m2/wk 経口投与. 4wkで1サイクル

 .
PSLは1mg/kgを30日間使用し, その後24日で減量・終了

・MTXへの反応が乏しい場合はCYC 100mg/d + 上記PSLレジメ

治療反応性の定義:

・CR: CBC正常 + LGL数やFCM結果が正常

・
PR: CRを満たさないが, ANC>500(>50%の上昇), Hb>1g/dLの上昇・輸血量の低下

アウトカム

・MTXで反応したのは
CR+PRで38%[26-53]

・CYCで反応したのは
CR+PRで64%[35-87]


2021年11月27日土曜日

関節リウマチにおける頚椎不安定症のリスク因子は?

RAにおける頚椎病変

(Current Rheumatology Reports (2020) 22: 19)

・RAは手指, 足指 末梢関節病変が主体となるが, 頚椎も多く傷害される部位である.

・RAの頚椎病変で最も炎症が多い部位がC1-C2(環軸椎)


 この部位ではAAS(Atlanto-axial subluxation: 環軸椎亜脱臼)を生じる

・C3-C7領域の亜脱臼をSAS(Subaxial subluxation)と呼ぶ

・他にRAで認められる頚椎所見は, 椎間間隙の狭小化, 椎体や椎間関節の骨融解, 骨硬化像

・RAにおける頚椎病変は無症候〜神経圧迫による神経症状, 脳幹圧迫による突然死とかなり幅広い.
 


頚椎病変の画像評価

(Current Rheumatology Reports (2020) 22: 19)

AASの画像

・C1-C2の骨びらんや腱組織の障害により, 不安定化が生じる.

・不安定化で動く方向は,
前後, 左右, 上下, 回旋と
さまざまな方向がある


前後方向の移動: XPでは, 正常位の側面像のみでは正常に見えることがあるため, 前屈させて評価することが必要.

・画像では正常位では間隔は2mmと正常であるが,
 前屈させると6mmに拡大する.

・後屈も評価し, 動揺性を評価する.

・AASは脊髄圧迫による神経障害のリスクとなる


上下方向の移動: 

・硬口蓋-後頭蓋下端を結んだ線をMcGregor lineと呼ぶ

・この線よりも4.5mm以上, 歯突起先端が上方にある場合,
上方向に亜脱臼をしていると判断する

・脳幹圧迫やStroke, 水頭症, 突然死のリスクとなる


左右方向の移動

・開口位で評価し, 左右対象性や骨びらん, 偏位を評価する.

・2mm以上偏位がある場合は亜脱臼と判断.


Subaxial subluxationの画像例


・前方偏位が多い. 3.5mmを超える偏位を有意とする


 神経障害のリスクとなる


RAにおける頚椎病変の頻度


・報告により頻度は差があるが
最近の報告でも頻度は4割以上であるものも多い

・致命的なこともある一方, 無症状も多いため, しばしば評価自体忘れやすい

 どのタイミングで評価すべきかも定まっていない. 

・頚椎病変を認める患者のRA罹患期間は2.5-30.1年, 平均12.3年間.


RAにおける頚椎不安定症のリスクは?

生物学的製剤が治療の基本となった現代の頻度を評価した
国内のSingle-center cohort

(Mod Rheumatol, 2014; 24(6): 904–909)

・220例でMRI, 頚椎XPを評価したところ, 42%で頚椎不安定所見(+).

・頚部痛がなくても頚椎不安定性リスクは変わらない.

・リスク因子としては, 

 罹患期間が10年以上, 


 Steinbrocker stage III以上,


 頚椎椎間板狭小化 3部位以上 
が挙げられる

・治療薬: MTX, 生物学的製剤の使用有無は
頚椎不安定性のリスク因子とはならない


他の報告によるリスク因子のまとめ

地域, N

有病率

リスク因子

文献

イラク, 
RA患者 203

7.4%
AAS単独が73%と最多

発症期間
疾患活動性
BMI(肥満)
末梢関節所見

Journal of Clinical Orthopaedics and Trauma 11 (2020) 876-882 

韓国, 
RA+頸部痛 1120例

28.6%
AASが90%

手指XPの骨病変 OR 2.2[1.5-3.4]
45歳以下のRA診断 OR 2.3[1.5-3.5]

Rheumatol Int (2011) 31:1363–1368 

韓国,
AASで手術治療を受けた62例とControl RA患者12667例を比較

-

AASのリスク
血清CRP値
手指XPの骨病変
AAS進行リスク
RA診断~骨病変までが短期間
RA診断時年齢が若い

J Korean Neurosurg Soc 59 (6590-596, 2016 

多施設
RA患者を10年間前向きにフォロー
(503例中, フォローは143例のみ)

基礎 41.3%
→ 10年後 76.9%(重度の不安定 0→24.5%)

基礎のムチランス変形 HR 19.2[4.0-92.6],
GC投与 HR 4.0[1.8-9.1]
過去の関節手術歴 HR 2.0[1.0-3.9]

Spine (Phila Pa 1976). 2017 Apr 15;42(8):556-564.

日本
RA患者で頚椎XPと骨密度検査を評価した185例

106例(57%)

AAS 79, VS 21, SAS 41

GCの使用 2.8[1.3-6.0]

bDMARDの使用 OR 2.5[1.1-5.7]
RA活動性(III-IV) OR 5.0[2.0-12.3]

BMC Musculoskelet Disord. 2021 May 3;22(1):408.

スペイン多施設
無作為に抽出されたRA 736例

AASは12%[9.7-14.2]

Larsen 50 OR 4.0[2.0-8.2]
50歳前の発症 OR 2.4[1.2-4.6]
DMARDの使用 OR 1.3[1.1-1.6]

Clinical and Experimental Rheumatology 2004; 22: 427-432. 

RA罹患期間とAAS有病率

(スペインの多施設研究[上記表の最後]より Clinical and Experimental Rheumatology 2004; 22: 427-432.)


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RAの頚椎病変の有病率は高い可能性があるが, 無症候性も多くしばしば評価もされていないことも多い.

どのタイミングで評価すべきか, フォローすべきかは明確に決まっているわけではないが,

症状がある患者やリスクがある患者での評価は忘れないようにしたい.

・頸部痛や症状がある患者

・罹患後10年以上経過したRA

・疾患活動性が高く, 末梢関節の骨病変が顕著である患者群

は少なくとも必ずチェック, フォローしておいた方が良い.

2021年11月22日月曜日

溶連菌感染後 反応性関節炎

咽頭炎を罹患した後, 10日前後経過して急性に膝関節疼痛, 腫脹が出現した症例.

膝関節炎を認め, 咽頭培養より溶連菌が陽性, またASOも高度上昇が認められた.

他の考えられる疾患も除外され, 最終的に溶連菌感染後ReAと判断された.


溶連菌感染後反応性関節炎: Poststreptococcal Reactive Arthritis(PSRA)

・溶連菌感染後のReactive Arthritis.

・連鎖球菌感染後, 10日以内(2wk以内)に発症する無菌性関節炎.

・年齢ピークは2峰性で, 8-14歳, 21-37歳に多く,
成人で発症したPSRAではより長期間持続する傾向がある

・関節炎は下肢の大関節(主に膝関節)で多く, 単関節〜多関節とさまざま.

 持続期間は2ヶ月前後.(範囲1週間〜8ヶ月)

・関節炎は侵襲性は低く, 関節変形を呈することは稀


 腱鞘炎は1/3で認められる

(Current Rheumatology Reports (2021) 23: 19)(Rom J Morphol Embryol 2017, 58(3):801–807)


古典的ReAとPSRAの違い

・感染後〜発症までの期間がPSRAでは短く(1-2wk)


 軸関節の侵襲は稀.


 関節炎は通常2ヶ月程度で改善する例が多い.

・HLA-B27の関連はPSRAは少ない

(Current Rheumatology Reports (2021) 23: 19)


26名のRetrospective cohort  (J Clin Rheumatol 2010;16:3-6)

・アラブ人18, アジア人8名, 男女比は12:14. 年齢は11-41yr.

・関節炎の前に上気道症状を認めたのは61%.


 上気道症状〜関節炎発症までの期間は 10d-4wk. 2wkが最多.

・80%が左右非対称の症状を示す.


 単関節炎が7.6%, Oligoarthritisが30.8%, 多関節炎が42.3%.
 

 腱炎, 腱滑膜炎, 腱付着部炎のみを示すのが19.2%.

・ASOの平均値は624.8と高値. ESRは44mm/Hであった.

・NSAIDへの反応したのは84.6%. 15.4%がステロイド投与を要した.

関節炎の部位

PSRA Caseレポートのまとめ;

(Current Rheumatology Reports (2021) 23: 19)


同様に溶連菌感染後に関節炎を呈する病態として, リウマチ熱(ARF)がある.

両者の違いはどのようなところだろうか?

リウマチ熱についてはこちらも参照: http://hospitalist-gim.blogspot.com/2015/08/blog-post_5.html

PSRA, ARFの比較
 

(Current Opinion in Rheumatology 2002, 14:562–565)

・PSRAはARFよりも感染後短期間で発症し,
 左右対称性の小関節病変が主となる点でARFと異なる.


・PSRAの関節炎は持続性, 非遊走性で, 2ヶ月[1wk-8M]持続.
 NSAIDへの反応性は緩徐.

 ARFの関節炎は遊走性でNSAIDが著効. 2日程度で軽快する

・PSRAでも弁膜症は6%であり得るが, これには議論がある(後述)

(Perm J 2019;23:18.304)


日本国内の323施設からの後向きCohort.

(Allergology International 66 (2017) 617e620)


・2010-2015年に診断されたARF 44例とPSRA 21例のデータを解析

 小児例が主

・炎症反応はARFで高く
PR間隔延長が認められる

・ASOは双方とも1000台

・関節炎は
ARFでは遊走性が6割.
 分布は膝が多く,
それはARFもPSRAも同等

・治療はAbx, NSAID, GC

 PSRAの大半はGC無しで改善する.
 2ヶ月を超えて関節炎を認めるのが3割弱

 二次予防としてAbxを長期的に使用する例もある


68例のARFと159例のPSRA症例を比較 @イスラエル

(J Pediatr 2008;153:696-9)

・発熱を伴う頻度はARFの方が多い


 関節炎の部位もARFでより多関節となり,
 遊走性関節炎が79%と多い(vs 33%)

・炎症反応はARFで高くなる

・治療への反応性は
ARFで迅速. 2日で改善する

 
PSRAでは1週間程度とより緩徐.

・PSRAでは再燃が21%と多い

・罹患関節の部位

 主に下肢の大関節が両者ともにメインとなる.

 ARFでは上肢の大関節にも生じやすい.


よりARFを疑う/否定する因子

・炎症が高いのはARFを疑うヒントとなる

・一方で関節症状がなかなか改善しない症例や,
 再発する場合はARFよりもPSRAを考慮する

・NSAIDへの反応が良好で, 数日で改善するならばARFを疑う.

 なかなか改善しない, 緩徐な経過となるならばPSRAの可能性が高い.


PSRAと心筋炎の関連

・PSRAはARFとは異なる疾患と考えられており, 
心筋炎や弁膜症の合併も多くはない.

・弁膜症の合併についてはさまざま報告があり,


 ・イスラエルのPSRA 146例を3.6年フォローした結果, 心筋梗塞は認めず. 20例は心エコーにて軽度異常あり(mild-moderate MR 17, mild TR 2, mild AR 1) (Clin Exp Rheumatol. 2015;33:578–82.)


 ・イタリアの小児例PSRA 52例で, 6-10年後のフォローで心エコーで弁膜症は認められず. (Arthritis Rheum. 2009;60:3516–8)


 ・成人のPSRA 75例を平均8.9年フォローし, 心臓の異常は対象群と比較して有意差なし (Arthritis Rheum. 2009;60: 987–93)

 関連性はいまいち分かっていないのが現状.


PSRAの治療

・溶連菌性咽頭炎の迅速な診断と治療はPSRAの予防となる

・関節炎に対するNSAIDへの反応性は低い.
 この点はARFとの有用な鑑別点となる.

・SASPやTNF阻害薬の効果はまだ明確ではない

・基本的に希少疾患であり, RCTの組み立ては難しいため,
 経験的治療が主となっているのが現状.

 NSAIDで治療が難しければ短期的なGC投与, DMARDの使用が考慮される.

2021年11月18日木曜日

SLEの疾患活動性の指標: SLE-DAS

SLEの治療目標は寛解, 低疾患活動性(LLDAS)であり,

LLDASは以下を満たすことで定義される

LLDAS: Lupus Low Disease Activity Stateで, 以下を満たす

・SLEDAI-2K ≤4で主要臓器の障害がなく, 且つ溶血性貧血や胃腸障害を認めない.
 

・主要臓器障害: 腎, CNS, 心肺, 血管炎, 発熱

・以前と比較して新しい臓器傷害を認めない

・SELENA-SLEDAI physician global assessment ≤1 
(PGAはVAS: 0-3で評価)

・PSL投与量が≤7.5mg/d

・維持療法の免疫抑制剤投与量が安定している

・SLEDAI-2Kは過去10日以内の9臓器における障害を評価し計算.

(Ann Rheum Dis 2016;75: 1615–1621.)

LLDASは長期間維持することで, 新規臓器障害のリスクや再燃リスクは低下することがわかっている. (Arthritis Rheumatol. 2018 Nov;70(11):1790-1795.)(Lancet Rheumatol 2019; 1: e95–102)


2019年にSLEの活動性の指標として, 新たにSLE-DASが提唱された

(Ann Rheum Dis. 2019 Mar;78(3):365-371.)

2箇所の専門施設において, SLE 520例を評価.
 

PGA(Patient Global Assessment), SLEDAI 2Kと
Cohortより作成したSLE-DASの有用性を評価

・SLEDAIと異なるところは,


 皮膚粘膜障害のスコアが全身性血管炎よりも低く設定


 皮膚障害も局所と全体でスコアを区別している


 また, 稀だが重要な臓器障害をSLE-DASは含んでおり, 具体的には眼障害(Neuropsychiatricに含む), 心血管/肺障害, 消化管障害(Vasculitisに含む), 溶血性貧血が含まれているところ.


SLE-DASの各項目と計算式:

項目

内容

関節炎

28関節における腫脹関節を評価

局所的皮疹

頭頸部に限局した急性/亜急性/慢性経過の皮膚ループスによる皮疹(SLICC分類基準に含まれる)

全身性の皮疹

頭頸部に限局しない上記皮疹

脱毛

局所的, 全身性の脱毛

粘膜潰瘍

口腔内, 鼻腔内潰瘍

全身性血管炎

大型, 中型血管炎, ループス腸炎

皮膚粘膜血管炎

皮膚粘膜血管炎全て. 凍瘡性ループス

神経精神障害

SLICC分類基準に含まれる神経精神症状:新規発症の痙攣, 精神症, 器質的脳障害, 急性意識障害), SLEによる網膜症, 末梢神経障害, 脊髄症, ループス頭痛, 脳血管障害, 無菌性髄膜炎

心臓/呼吸器障害

縮小肺, 間質性肺炎, びまん性肺胞出血, 肺高血圧症, 心筋炎, 弁膜症, Libman-Sacks心内膜炎

漿膜炎

無菌性の腹膜炎, 胸膜炎, 心外膜炎

筋炎

CKやアルドラーゼ上昇, 筋電図, 筋生検で筋炎が示唆される, 近位筋の筋痛/筋力低下

蛋白尿

PCR, 24時間蓄尿における蛋白尿 >500mg/g, >500mg/24h

低補体血症

C3 and/or C4の低下

抗ds-DNA抗体陽性

陽性

血小板減少

PLT <10万/µL

白血球減少

WBC <3000/µL

溶血性貧血

直接クームス試験陽性, LDHの上昇, ハプトグロビン低下を伴う貧血

計算式

計算はココで可能: http://sle-das.eu


SLE-DASとSLEDAI-2Kの臨床的判断に対する感度, 特異度

・SLE-DASの変化 ≥1.72は, SLEDA-2Kの変化 ≥4と比較して, 臨床的に改善, 増悪を判断する感度は良好であった結果.


このSLE-DASの疾患活動性, 寛解状態に対応するカットオフを調査した報告

(Ann Rheum Dis 2021;80:1568–1574. doi:10.1136/annrheumdis-2021-220363)

SLE-DASにおける寛解のカットオフと
SLE-DASの疾患活動性を評価するカットオフを
多施設Cohortにて評価した報告

・Padova Lupus Clinic(@伊), Cochin Lupus Clinic(@仏)におけるSLE症例(前向き)と, BLISS-76 trial(後ろ向き)における患者群を評価.

・検者は過去30日におけるPGAとSLEDAI-2K, SLE-DASを評価

・また臨床的寛解をDORISとDoriaにて評価(PSL ≤5mg/dにおいて)

 
Gold standardはDORIS基準とした.

・2施設では, SLEの専門医がDASや寛解状態をBlindした状態で, 検査所見や臨床所見より

 (1)寛解, (2)軽度活動性, (3)中等度/高度活動性に分類(Clinical judgement)

・SLE-DASはオンラインで計算:  http://sle-das.eu


DerivationはPadova Lupus Cohortのデータを用いて行い
, 軽症, 中等症/重症活動性におけるSLE-DASのカットオフを評価.

・臨床的寛解は2つの定義を設定して評価

 
A) Index-based: PSL≤5mg/dにおいて, 専門医の臨床判断に対するSLE-DASのROC曲線から導き出せるSLE-DASの寛解上限値を満たすことで定義

 
B) Boolean-based: PSL≤5mg/dにおいて, SLE-DASのds-DNA抗体と低補体を除く全項目が陰性で定義

ValidationはCochin Lupus Cohortにおいて

・SLE-DASの臨床的寛解(A), (B)をDORIS基準をGold Standardとして評価

・SLE-DASの疾患活動性のカットオフを, 臨床評価をGSとして評価

BLISS-76のPost hoc analysisにおいて

・SLE-DASのカットオフにおける中等度/重度活動性疾患予測能を評価


 GSはBILAG indexとし, BILAG domain ≥1B and/or  ≥1Aで定義.


各母集団のデータ


アウトカム

・寛解で用いるSLE-DASのカットオフは2.08


 中等度/重度活動性で用いるカットオフは7.64

・SLEの疾患活動性として, 

 寛解 ≤2.08, 軽度活動性 2.09~7.63, 中等度以上活動性 ≥7.64と設定すると良い


寛解の定義

・SLE-DASにおける臨床的寛解評価の感度, 特異度は良好.

・PSL ≤5mg/dの使用量において, SLE-DAS ≤2.08を寛解と判断することは合理的と言える.




2021年11月17日水曜日

Lymphogranuloma Venereum(LGV)

 (Clinical Infectious Diseases® 2015;61(S8):S865–73)(Can Fam Physician. 2016 Jul;62(7):554-8.)

Lymphogranuloma Venereum(LGV)

LGVは侵襲的血清型(L1, L2, L3)のChlamydia trachomatis感染により引き起こされる病態.

・Serovar Lは所属リンパ節へ浸潤しやすいタイプであり,
 Serovar A~Kとは異なる臨床症状を呈する(後述).

・LGVには3 phaseあり,
 

 先ず無痛性の丘疹や潰瘍が感染部位に生じる(陰茎や直腸)
 

 その後所属リンパ節へ浸潤する: 鼠径LNや直腸周囲・骨盤, 後腹膜LN.
  

 最後に不可逆性の組織障害を生じる
: 深部組織の膿瘍形成や絞扼, 裂孔, 慢性疼痛

・古典的なLGVは陰部からの感染, その後鼠径LNへの浸潤となる経過であるが, 近年 先進国で診られるLGVはMSM患者における直腸炎, 直腸結腸炎に合併するLGVのパターンが多い

 直腸潰瘍, 出血, テネスムス, 下腹部痛を認め, 長期的には孔門周囲膿瘍, 裂肛, 発熱や倦怠感などの全身症状を認める. HIV感染症との合併例の報告が多い


Chlamydia trachomatisには15種類のSerovarがある

・主に3つに分類される;
 

 トラコーマ(眼球結膜感染): Serovars A, B, Ba, C
 

 陰部, 生殖器感染症: Serovars D~K
 

 LGV: Serovars L(L1-3)

・Serovar A~Kは粘膜表面の感染が主となる.


・Serovar Lは粘膜表面の感染から, 単球やマクロファージに感染し, 粘膜下組織や所属LNへ播種する.

・Serovar D~Kは無症候性が多く, PIDや精巣上体炎は生じることはあるものの, 稀である.

 
一方でSerovar Lは症候性が多く, 前述の通り3つのPhaseで進行する
 Primary stage, Secondary stage, tertiary stage


LGVのStage:

Primary stage: 患者が気づかないことも多いが,
 感染後3-30日を経て暴露部位(生殖器や直腸, 咽頭)に局所的な炎症を認める.

・一過性の丘疹であることが多い. 潰瘍を生じることもある

・直腸に感染すると直腸炎症状を生じる(肛門痛や出血, 粘血便, テネスムスなど). 

 ヘルペスや淋菌, 痔核, 細菌性腸炎, ベーチェット病, IBDなどとの鑑別が重要となる.


Secondary stage: primary stageの2-6wk後に生じる.
 所属リンパ節や粘膜下組織への侵襲と, 消耗症状を伴う(発熱や悪寒, 筋痛, 関節痛)

・一部では無症候のこともある

・鼠径リンパ節浸潤例では, 片側性, 有痛性の硬いリンパ節腫大となり,
 鼠径リンパ節や大腿リンパ節で生じる. 

 “Buboes"と呼ばれる
 

 化膿したり, 潰瘍化したり, 皮膚に裂孔を生じ, 膿を排泄することもあり

・直腸から浸潤する症例では, 直腸炎や骨盤/後腹膜リンパ節への浸潤により下腹部痛や背部痛を生じる.


 体表からリンパ節腫大はわからず, 画像上認められることが多い

・リンパ節の組織所見はリンパ組織球, 形質細胞の高度な浸潤を認め,
 肉芽腫形成は稀


Tertiary stage: 無治療で経過すると, 不可逆的な組織障害を生じる.

・慢性的なリンパ管炎によりリンパ流の障害を生じ, リンパ浮腫が生じる

・直腸障害例では, 直腸周囲膿瘍や痔瘻, 腸管狭窄が生じる可能性がある.


LGVの診断

・Chlamydia感染症の診療と同様に,
 感染部位から採取した検体のPCRを評価することは重要.
(尿道, 膣, 直腸, 咽頭など)

・血清学的検査の位置づけはGuidelineにより意見が分かれており,
 

 カナダのガイドラインでは推奨されない: 低値でも否定できないため. また血清学的検査ではSerovarの判定もできないため.
 

 米国や欧州のガイドラインでは補助診断として推奨されている: LGVでは他のSerovarと異なり深部の感染となるため, その分抗体産生も亢進していることが示唆されている. 

 Immunofluorescence titer >1:256はLGVを強く示唆する所見とする報告もある.


LGVの治療

・経口ドキシサイクリン100mgを1日2回, 21日間投与を推奨


 代替として, エリスロマイシン500mgを1日4回, 21日間
 

 またはアジスロマイシン1gを週1回, 3週間.

・これはLGV以外のクラミジア感染よりも長期間となる
(アジスロマイシン1gを1回, または100mgのDOXYを1日2回, 7日間)

・臨床症状や所見が改善するまでしっかりフォローすることが重要


 PCR陽性となった症例では, 陰性化を確認することも推奨される.

・パートナーの検査, 治療も重要.
 

 LGV患者とコンタクトがあったパートナーの場合, 無症候でもLGVと同様の治療が推奨される(MSMのLGVの25%は無症候).

・HIVリスクがある場合はHIVの評価も.

(JEADV 2019, 33, 1821–1828)

2021年11月16日火曜日

COPD急性増悪時のステロイドの投与量

 (Chest. 2021 Nov;160(5):1660-1669. doi: 10.1016/j.chest.2021.05.024.)

COPDの急性増悪では, PSL 30-40mg/dのステロイドを, 5-14日間投与することが各種ガイドラインより推奨されているが, 実際どの程度の投与量が適切かは不明確である


中国におけるOpen-label RCT.

40歳以上のCOPD急性増悪で入院した患者群を対象とし, ステロイドの投与量と予後を評価

・急性増悪はCOPD患者における呼吸器症状の増悪で定義

・除外項目は喘息, 1ヶ月以内のGC使用, 画像上肺炎, 気胸, 肺血栓塞栓症を認める症例, 左心不全, コントロール不良の高血圧, 人工呼吸器が必要となる病態

・ステロイドはPSL 40mg/dを投与するControl群と,

 
各患者の因子により調節する群に割り付け, 治療成功率, 予後を比較.

・ステロイドは5日間使用する

・抗菌薬やSABA吸入は両群で通常の治療として行われる


PSL計算式

・0.5mg x 体重(kg) x (1+点数)

 最低は点数-1で, PSL 0mg

 最大は点数+4で, 2.5mg/kg

・Anthonisen typeは,
 呼吸苦増悪, 喀痰増量, 膿性喀痰の
3項目を評価し,
 

 Type 1が3項目すべて認める
 

 Type 2が2項目認める
 

 Type 3が1項目認める 
(症状が少ないほどPSLを増やす?)


母集団


アウトカム

・治療失敗リスクは 有意に個別化したGC投与群で低い結果

 短期的な治療失敗リスクが低下し, 中期的には有意差はない

・院内治療失敗: 死亡, 人工呼吸器使用, GCの追加, アミノフィリン使用, 抗菌薬のUpgrade, 呼吸苦の持続, 気管攣縮, 他の呼吸器症状の増悪

・短期治療失敗: 院内治療失敗+1ヶ月以内の再入院, 死亡

・中期治療失敗: 死亡, COPD増悪による再入院(退院後≤180d)


この母集団における個別化したPSL投与量はおよそ55-60mg/d

・PSL投与の総量は, 個別化群で318mg[0-880], Control群で309[160-1800]

・Rescue Doseの必要総量が, Control群で有意に多く,

 
個別化群で140mg[80-395] vs Control群で380mg[150-730]


 Control群ではより長期間のRescue doseとなりやすい


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従来のPSL 30-40mg/dではCOPD急性増悪時の対応としては少ない可能性がある.

各患者の因子で調節した, 個別化したPSL投与量調節を行うことで, 短期的なアウトカムを改善させる可能性がある.

2021年11月14日日曜日

再発性口腔内アフタ Recurrent Aphthous Stomatitis

しばしばベーチェット病などを疑われて繰り返す口腔内潰瘍の紹介があります.

その時に常に考慮するこの疾患. 改めてReviewをいくつか読んでみました.

(Minerva Stomatologica 2018 June;67(3):125-8)(Dent Clin N Am 58 (2014) 281–297)(Arch. Immunol. Ther. Exp. (2014) 62:205–215)

Recurrent Aphthous Stomatitis

・頻度の高い口腔内潰瘍性疾患であり,
有痛性, 浅く, 辺縁明瞭な紅斑を伴う, 灰黄色の偽膜を伴う潰瘍

・アフタ出現前2-48時間に前駆症状として焼けるような疼痛を自覚する

・特に基礎疾患のない健常人に生じ, 主に頬粘膜や口唇粘膜, 舌に生じやすい

・一般人口の5-25%でRASが認められるとされる.

 
疾患定義や人種により頻度はばらつきがある.

・両親にRAS既往があると, 子供にも90%で認める報告がある
(既往がない場合は20%)

・後発年齢は10-19歳であり, 成人や高齢者で生じる場合は全身疾患に付随したものや免疫不全, 血液疾患, CTDを考慮する.

・同様に口腔内粘膜病変を生じる疾患として,
 ベーチェット病や周期性好中球減少症, 再発性のヘルペス,
 HIVによる口腔内潰瘍, IBDに伴う口腔内潰瘍が鑑別として重要


RASはMinor, Major, Herpetiform ulcerの3つに分類.

・Minorが80-85%を占める. 10mm未満の潰瘍で, 瘢痕を伴わず改善する. 別名Mikuliczアフタ

・Majorは1cmを超える潰瘍で, 数週〜数ヶ月持続し, 瘢痕を伴う


 全体の10%程度
別名Sutton病, Periadenitis mucosa necrotica recurrensとも呼ばれる

・Herpetiformは口腔粘膜全体に集塊状に多発する潰瘍. 潰瘍は2-3mmと小さい潰瘍だが, 大きいものも稀ではない. 
全体の1%程度と稀. ヘルペス感染との関連はない.


RASのEtiologyは未だ不明確である.

・免疫機序, 遺伝的機序, アレルギー, 栄養, 感染など複合的な要因が指摘されている. 

 また薬剤の関連もあり(カルシニューリン阻害薬など)

・HLAは,
HLA-A2, B5, B12, B44, 
B51, B52, DR2, DR7, DQの
関連が報告あり

・RASにおけるサイトカインの変化


RASの臨床経過, 特徴

・潰瘍出現の2-48h前に前駆症状として焼けるような痛みを自覚

・その後潰瘍が出現. 潰瘍は中心は浅く, 周囲の発赤は明瞭.
潰瘍部は黄灰色の偽膜を形成する.

・Minorは<10mmで, 10-14日の経過で瘢痕を伴わずに改善する
 

 アフタは最初の4-5日は非常に痛く, 食事摂取ができないこともある


・Majorは>10mmで, 数週〜数ヶ月持続. 瘢痕を伴う.

・BDやHIVに伴う口腔内潰瘍はMajorアフタに類似する

・病理所見は非特異的. 

 粘膜下の炎症性単核球の浸潤と肥満細胞浸潤
結合織の浮腫, 好中球の浸潤

・RAS病変の発症は細胞介在性免疫反応, T細胞の産生, TNF-αの産生と関連していると考えられる.

 RAS患者の末梢血単核細胞より多量のTNF-αが分泌されていることをも明らかになっており, TNF-αはRASの病因に重要な役割を果たしている可能性がある.


RASの対応, Management

Minorで頻度も少なければ外用薬で対応する


・NSAIDや鎮痛作用のある口腔内外用薬,
リドカインビスカスなど.

・症状が強く, 頻度も多い場合は外用ステロイドを考慮


 早期に使用することで潰瘍の持続期間の短縮や大きさの縮小効果が期待できる.

・抗菌薬の外用(テトラサイクリンなど)も鎮痛や治癒までの期間の短縮効果が報告されているが, アレルギーや口腔カンジダリスク上昇もあり, 注意が必要

 
(テトラサイクリンによる抗菌作用+抗炎症作用が期待できる)


外用治療はほぼ全てのRASで有効であるが, 
新規病変の予防効果はなく, 
Majorや頻回のMinorには不十分であることが多い

・上記患者群では内服治療考慮するが, リスク-ベネフィットを十分考える必要がある.

・短期的なPSLの使用はMajor RASで考慮される.


 長期的投与は副作用の観点から避けた方が良い.

・予防目的ならば, PSLではなく, 他の代替薬を考慮する.

 コルヒチンやダプソン, サリドマイドの報告がある

2021年11月10日水曜日

水泳による肺水腫: Swimming Induced Pulmonary Edema

(CHEST 2021; 160(5):1789-1798)

 Swimming Induced Pulmonary Edema. 水泳による肺水腫

・開放水域(主に冷水内)での水泳や潜水をきっかけとして, 
肺水腫を生じることがある

・急性の呼吸苦, 咳嗽を認める. 
さらに稀ではあるが, 著明な喀痰の増量や血痰を伴う例もある

・水泳の中断で症状は改善するが, 
ダイビング中に生じて事故につながる例もある.

・SIPEは典型的には基礎疾患のない健常人で生じる

SIPEの機序や病態生理, リスク因子はまだ完全に解明されてはいない.

・主な機序としては: 
冷水内での運動により, 末梢血管が収縮し, 中枢の血液プールが増加する.
その結果肺動脈圧の上昇, 毛細血管のダメージが生じ, 肺水腫が生じる


SIPEの頻度

スウェーデンの大規模Open-water swimming eventである Vansbrosimningenにおいて, SIPEの頻度を前向きに調査した報告

・このイベントでは, 15-20度の川で, 1000m, 1500m, 3000mの水泳を行う.


 参加者は>10歳の男女. 毎年11000人が参加する.

・2016-2019年に開催されたこのイベントにおいて,
 移動式医療ユニット(MMU)に咳嗽や呼吸苦で受診した患者を評価し, SIPEの頻度を調査.

・2016年はPilot studyとして, 本格的な調査は2017-2019年に行われた.


 症状, 経過, 身体所見よりSIPEを評価. 

 2018-2019年では肺エコーも施行し肺水腫を評価した.


アウトカム

・18歳以上の参加者の合計は45913名. 男性47%と男女はほぼ同等

 
水温の平均は17.3±1.5度, 気温の平均は18.3±6.8度

・MMUに受診した成人は405名. 322(80%)が呼吸器症状

・SIPEと判断されたのは, 2016-2019年を通して211例.
 頻度は0.44%[0.39-0.51]


 2016年は0.34%, 2017年は0.47%, 2018年は0.41%, 2019年は0.57%と年間で大きな差はない

SIPEの90%が女性(190例). 参加者に男女差はなく, 女性はリスクが高い.

 
女性参加者では0.75%, 男性参加者では0.09%

・また, 高齢者ほどリスク.

 
18-30歳では0.08%, 31-40歳では0.26%, 
41-50歳では0.65%, 

 51-60歳では0.76%, ≥61歳では1.1%


男女別の評価

・男性はMMUに受診する閾値が高いかも


 咳だけで受診する例はなし.

・喀痰に増量や血痰は3割近くで認める



2021年11月9日火曜日

SLE患者の骨髄所見って? 自己免疫性骨髄線維症とは

これはかなり以前に診療した症例:

20台の女性. 3年前にSLEを診断され, PSL, CyAにて治療されていた.

PSL減量とともに再燃し, その際汎血球減少が認められた.

炎症反応増加, 亜急性経過の血球減少, 皮疹の増悪, 軽度の脾腫などがあり, Macrophage activation syndrome, 血球貪食症候群の可能性も考慮し, 骨髄穿刺を行うとDry tap.

そのまま骨髄生検を行ったところ, Reticulin線維の増生が高度に認められ, ”骨髄線維症”という診断であった.


自己免疫性骨髄線症と判断し, ステロイドの増量, 再度寛解導入を試み, その後血球は改善.

数カ月後施行した骨髄穿刺ではDry tapは改善しており, 線維症所見も改善が認められた.


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SLE患者の骨髄所見ってどのような所見が多いのだろうか?


SLEと血球減少

・SLEでは溶血性貧血やITP, 自己免疫性好中球減少, リンパ球減少など血球減少を伴うことは多く経験する.

SLEと白血球減少では,  未治療のSLEではリンパ球減少が主体.
 好中球減少では自己免疫性好中球減少症の関連が知られている

 治療中のSLEのWBC減少では薬剤性, SLE再燃, Viral infection, 
敗血症, 血球貪食症候群, MAS, Evans syndromeを考慮する.

 SLE + 血球減少(+)患者115名の解析では,

 
Leukopenia(<4000/µL) 57.4%

 
Neutropenia(<1800/µL) 20.0%

 
Lymphopenia(<1500/µL) 81.7%  (Hematology 2007;12:257-61) との報告もある

SLEに伴う貧血はACDが最多で約40%


 溶血性貧血はSLE患者の5-10%で合併する

 他には出血, 鉄欠乏性貧血, TTP, 
赤芽球癆など様々な原因がある

 SLE+Anemia患者の
原因頻度

Group

SLE+anemia *1

SLE + Anemia + α *2

Design

Prospective cohort


N

132(38.3%)

115

母集団

345




貧血は89.6%

ACD

49(37.1%)

46.1%

鉄欠乏性

47(35.6%)

16.5%

AHA

19(14.4%)

27.8%

その他

17(12.9%)


 βサラセミア

3


 Cyclophosphamide

2


 慢性腎不全

8


 TTP

1


 PRCA(赤芽球癆)

1


 悪性貧血

1

3.48%

*1 Ann Rheum Dis 2000;59:217-22


*2 Hematology 2007;12:257-61


SLEと血小板減少症

 自己免疫性血小板減少性紫斑病, 抗リン脂質抗体症候群, 
TTP, 再生不良性貧血, 血球貪食症候群, DIC, 出血, 薬剤性と様々ある

 自己免疫性血小板減少はSLEの20-40%で合併するが, 
重度の血小板減少は<5% (Rheumatology 2003;42:230-4)

 SLE + 血球減少(+)患者115名の解析では,
 

 PLT<150k/µL 40.0%


 PLT<100k/µL 26.1%

 
PLT<50k/µL 8.0%  (Hematology 2007;12:257-61)

SLEと汎血球減少症

 SLE+ (Evans syndrome, DIC, 出血+血小板消費)

 Vit B12欠乏, 悪性貧血

 血球貪食症候群, MAS, 骨髄線維症 で汎血球減少を生じる.


SLE患者の骨髄所見はどのような所見があるのだろうか?


SLE患者で血球減少(+)があるCaseの骨髄所見

(Clin Rheumatol 1998;17:219-22)

・Hb<10g/dL and/or WBC<4000/mcL and/or PLT<150kのSLE患者21名で骨髄生検


骨髄生検前2mo間の間はどの症例も免疫抑制療法は行っていない.
また, 11名(52.4%)は今まで一度も免疫抑制療法を行っていない患者.

・骨髄所見

・Reticulinの増加は16/21(76.2%)で認められた

 Mildが12例, Moderateが3例, Severeが1例.

・Dry tapは4例で認められ, その全例がreticulin増生が認められた.

 後に骨髄線維症と診断されたのは1例のみであり,
 その症例では軽度の脾腫とPancytopeniaを認めた.

・Teardrop cell, Leukoerythroid reactionは認めず, 
骨髄所見ではAtypical megakaryocyteの集積が認められた.

・Necrosisは4例(19%) その全例でReticulin増生を認める.


原因が明らかではない血球減少を伴うSLE症例 40例の骨髄所見を評価. Controlとして不応性貧血を認めるMDS患者10例の骨髄所見と比較した.

(Am. J. Hematol. 81:590–597, 2006.)

・血球減少の定義はHb≤12g/dL, Neu ≤1500/µL, PLT ≤10マン/µL.

・原因が明らかではない: 鉄欠乏, 葉酸, Vit B12欠乏, 薬剤正, 自己免疫性, 微小血管内溶血が否定的と判断された症例を対象.

骨髄所見: 正形成〜過形成骨髄が42.5%, 低形成が半数以上.
 

 ALIP(abnormal localization of immature precursors)は67.5%
 

 骨髄壊死が90%(軽度57.5%, 中等度22.5%, 高度10%)

 赤芽球や巨核球の異形性も多い

・Retibulinは全体的に増加し,
 

 軽度増加が47.5%(Bauermeister 2+)


 著明に増加が30%(3+)

 
微妙に増加が20%(1+)


フランスのCohort “lupus marrows”の解析

(QJM. 2017 Nov 1;110(11):701-711. doi: 10.1093/qjmed/hcx102.)

・SLEを診断され(SLICC基準), さらに骨髄の異常が認められた患者群で, 且つ他の原因による骨髄異常が否定された患者群を評価

・30例が登録された. 
年齢中央値は36歳[範囲18-71歳]

 
SLEと同時に診断された例が12例. SLE診断後に診断された例が18例

骨髄所見は,


 骨髄線維症が57%(17), 赤芽球癆が27%(8), MDSが10%(3),
 

 再生不良性貧血が1例, 無顆粒球症が1例ずつ.

・脾腫は6例で認められ, 骨髄線維症症例では5/17で脾腫(+)であった


タイのSrinagarind Univ. Hosp.における前向きCohort

(Clinical and Experimental Rheumatology 2012; 30: 825-829.)

・2009-2011年に診療した16-60歳のSLE患者で, 
以下の2つ以上を満たす血球減少を認めた患者を対象.
 (a)Hb<10g/dL, (b)WBC<4000/µL, (c)PLT<10マン/µL

・除外項目: 妊婦, ウイルス性肝炎, HIV感染, 肝硬変, 脾腫, 血液疾患の既往がある患者.

・上記を満たす患者で骨髄穿刺, 生検を施行

・41例で骨髄検査を施行. このうち20例で異常所見を認めた


 10例が低形成骨髄, 7例が形質細胞浸潤
, 6例が血球貪食, 2例が赤芽球異形成
, 2例が再生不良性貧血, 1例が骨髄繊維症

 Reticulin線維の増加は5例で認められた.


・血球減少の程度と骨髄異常所見の頻度:

 血球減少が高度なほど骨髄に異常所見を認める例が多い


血球減少を伴うSLEでは, 

骨髄異形性や骨髄線維症に類似した所見,

低形成骨髄, 再生不良性貧血といった骨髄不全を呈する所見

形質細胞浸潤を伴う所見

赤芽球癆

骨髄壊死所見が認められることが多い.


SLE患者における骨髄線維症が認められる例があり,
 AIMFと呼ばれる.

・AIMF: Autoimmune Myelofibrosis. 主にSLEやpSS, まれに強皮症で合併することがある.

 特発性のPrimary AIMFもある. (SpringerPlus 2014, 3:349)

骨髄異形性は免疫抑制療法により改善する例も多い(Inter Med 47: 737-742, 2008 )


AIMF: Autoimmune Myelofibrosisとは

(Am J Clin Pathol 2001;116:211-6)

・SLE, SLE-like disease, 稀にSjogren, Progressive SScに
合併する2次性のMyelofibrosis

・Primary Myelofibrosisでは治療は骨髄移植やJAK阻害薬であるが, AIMFではステロイド治療, 免疫抑制療法が治療となり得る.

・女性に多く, 報告されたCaseの大半が<40歳で発症している.

・自己免疫性疾患を示唆する自己抗体, 低補体を認め, 
直接Coomgs testが陽性となることが多い.


1966-2000年に報告された25例のLiterature review
(Am J Clin Pathol 2001;116:211-6)

骨髄所見

頻度

ステロイド投与前後の骨髄所見

頻度

Hypocellularity

10/21

骨髄線維所見は不変

7/15

Hypercellularity

8/21

上記のうち5/7は血球数は改善を認めた

Normocellularity

3/21

骨髄線維所見は改善

8/15

Megakaryocytic hyperplasia

13/18

線維組織量減少

4

Megakaryocyte cluster

4/4

完全寛解

2

Fibrosis

全例

完全寛解+血球数も改善

2


AIMFとCIMFの違い:

(Am J Hematol 2003;72:8-12)

・CIMF: Chronic Idiopathic Myelofibrosis. 一般的な骨髄線維症

・CIMFではMassive splenomegalyを認める場合が多く, しばしば診断根拠ともなるが,
 AIMFでは触知できるほどの脾腫は少ない.

 CIMFの62.5%で, 肋骨弓下6cmに達する脾腫を認める.

・AIMFでは, 脾臓での造血が行われていないことが多いため,
 脾腫が軽度であり, 末梢血所見も目立たないと説明されている.

・AIMFでは骨髄内に浸潤したリンパ球によるCytokinesが骨髄の線維化に関与していると考えられており,
 AIMF, CIMF双方とも, リンパ球の骨髄内浸潤は認め得る.

・AIMFではT cell, B cell双方の浸潤が認められるが,
 B cellはpolyclonalであるため, その点でLymphomaとの鑑別が可能.

特徴

CIMF

AIMF

脾腫

中等度〜著明

触知できる脾腫は稀

末梢血所見



Teardrop poikilocytosis

特徴的な所見

認めるが少数のみ

Leukoerythroblastosis

特徴的な所見

少ない

骨髄所見



集合した異型Megakaryocyte

90%で増加

Rare

Eosinophilia

Common

Rare

Basophilia

Common

Rare

Osteosclerosis

54%で認める

Rare

Lymphocyte集合

Common

Common


SLEとAIMF

(Leukemia and Lymphoma 2000;39:661-5, 
Clinical rheumatology 1989;8:402-7, 
Medicine 1994;73:145-52)

・SLEに合併するAIMFが最も報告例が多い.

 SLEの診断を満たさないまでも, SLEに類似した疾患に合併することもある.

・SLEと同時に診断される例もあれば, SLE診断後1-9yrでAIMFを発症することもある

・直接Coombs testは40-50%で陽性となる.

・低補体血症は80-90%で認める

・他のAIMF, Primary AIMFと同様, 脾腫は軽度であることがほとんど.

・骨髄所見も他のAIMFと同様の所見. 低形成〜過形成まで様々.


 SLEに伴うAIMFでは, Hypercellularであることが多い.

・ステロイドへの反応性が良好であり, 
改善速度は緩徐ながら, ほぼ全例が改善を認める.

・血液検査では肝酵素上昇は通常認めない.
また, 発熱はあってもMild Fever程度であることが多い.