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2021年10月6日水曜日

COPD急性増悪において, 肺血栓塞栓症を積極的に探す必要は?

 COPDの急性増悪症例の一部に, 肺血栓塞栓症が紛れている可能性がある.

参考: COPD急性増悪の背景に肺血栓塞栓症

 原因がよくわからないCOPDの急性増悪は肺血栓塞栓症かも

これらの報告からは,

・明らかな誘因のないCOPD急性増悪症例の16%程度.

・診療医の印象として, PEの可能性があると判断された群では10%程度

・可能性がないと判断された群でも3%程度でPEが合併している.


では, COPD急性増悪症例において, PEを積極的に評価する必要があるのだろうか?


スペインにおける多施設(18施設)RCT. 

・COPD急性増悪で入院した患者を対象.

・臨床的にPEが疑われる症例(Studyと関係なく, 主治医がPEの検査が必要と判断した症例)や妊婦, CTPAが禁忌, 肺炎や気胸, 下気道感染症, 入院時に侵襲的人工呼吸器管理が必要となる症例は除外


上記患者群を,
 

 積極的PE評価群(D-dimerを評価し, 陽性ならば造影CT)
  

  vs 通常の治療群に割り付け, 比較.

・Primary outcomeは非致死的VTE, 90日間COPD再入院, 死亡


全患者で通常のCOPD急性増悪に対する治療を施行.

O2投与, SABA, SAMAの使用, ステロイド, 抗菌薬, VTE予防


・積極的評価群では, D-dimerを入院12h以内に評価.


 陰性ならばPEを除外

 陽性ならば(Cutoffは施設の基準)CTPAを行う.


 孤発性のSubsegmental PEの症例では下肢静脈圧迫エコーが推奨.

・PEが認められた場合, VTE治療量の抗凝固療法が開始される.


母集団


アウトカム

・PEの頻度は積極的評価群で0.5%, Control群で2.5%と, いままでの報告に比べると低頻度. 

・複合アウトカム(非致死的VTE, 90日再入院, 死亡)は両者で有意差なし

・VTEは積極的評価群で2例, Control群で9例認められた(有意差なし)


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この報告では, COPD急性増悪において, 臨床的に疑わない場合, PEを積極的に評価する必要は乏しい結果.

これまでの報告と比べて, PEの合併例は少なく, そこも結果に関連している可能性はある.

今後はリスク因子を評価して, どの群においてPEを狙いにいくか, という点がもう少し詰められるとよいのかもしれない.