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2021年3月16日火曜日

稀な肩痛の原因: Quadrilateral Space syndrome(QLSS, 四辺形間隙症候群)

30歳代の男性. 慢性経過の肩痛を主訴に受診.

右肩側面〜後方にかけての疼痛が持続し, 特に腕を上げると増悪する.

ROM制限や関節腫脹は認めない. 上腕には軽度の痺れも認めているとのこと.

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上記のような比較的若い患者の肩側面〜後面の疼痛では, QLSSを鑑別に加えることは大事.

QLSSは四辺形間隙症候群といい, しばしば見逃される肩痛の原因.

Quadrilateral Space syndrome(QLSS): 四辺形間隙症候群 (Medicine 2021;100:10(e24976). )

・QLSは上腕骨, 大円筋, 小円筋, 上腕三頭筋長頭で構成される四辺形の間隙で, 間を腋窩神経と後上腕回旋動脈(PCA)が通過する

・稀であるが20-40歳台の肩痛の鑑別で重要

・腕を上げるようなスポーツ(バスケットや投球など)リスク因子となる

・利き手側が多い

肩の側面, 後面の疼痛を訴えることが多く肩を挙上すると増悪する. また夜間に増悪することが多い

・肩の側方や上腕の感覚障害, 痺れを自覚することもある


QLSSの評価にはエコーが有用である可能性がある

・腋窩神経とPCAの横断面積の左右差. 患側の腋窩神経は腫大し, PCAは扁平化している(画像は右側が患側)

PCAの流速の低下も認められる

対応はNSAIDや安静, 難治性の症例では除圧術などが行われるが, エコー下での神経ブロックも有効であったとの報告もある

・この論文の症例ではエコー下で神経ブロックを2回行い症状が消失3ヶ月後には神経の腫大も改善した