PMRと悪性腫瘍の関連はまだ議論があるところではあるが, こう立て続けに同じような症例を経験すると, 「PMRの背景としての前立腺癌の報告はどうなのか調べろ」という神の掲示と思い, 探してみた.
参考; 膠原病と悪性腫瘍
(Reumatismo, 2018; 70 (1): 23-34 )
傍腫瘍症候群としてPMRを呈した論文のReview.
・傍腫瘍症候群は以下の4項目のうち3項目以上満たすことで定義
1. 悪性腫瘍があること
2. 腫瘍や転移により直接的に障害されていないこと
3. 他の腫瘍性病変を認めないこと
4. 双方同時に進行している経過であること
導入した論文はCohort, RCT, Systematic reviewであり,
Case reports, series, case-controlは除外, また英語以外の言語も除外
合計9 論文を抽出した.
PMRと悪性腫瘍の関係は報告により様々
・5 論文は関連性はないとの結論, 2つはPMRは腫瘍のリスクを上昇させる結論
PMR診断後, ~12M(特に6M)に発見される腫瘍リスクが上昇する報告もあり
腫瘍の種類
・データ不十分であるが, 血液腫瘍, 前立腺癌, リンパ腫は最も報告が多い
・他は腎泌尿器腫瘍で報告例が多い印象.
前立腺癌と自己免疫性疾患の報告で, 台湾におけるホルモン療法と自己免疫性疾患の関連を評価したCohortがあった.
Prostate Cancer Prostatic Dis. 2019 Jan 28. doi: 10.1038/s41391-019-0130-9.
台湾のNational Health Insurance Research Databaseにおいて,1996-2013年に診断された前立腺癌症例17168例を評価.
・ホルモン療法施行群, 非施行群でPropensity score-matched analysisを行い自己免疫疾患合併リスクを比較.(各群 5590例を抽出し, 比較)
・自己免疫疾患はバセドウ病, IBD, 乾癬, SLE, RA, AS, GBS, Sjogren症候群, MG, 悪性貧血, 溶血性貧血, PN, Celiac disease, ブドウ膜炎, PMR, DM/PM, 橋本病, 過敏性血管炎, Behcet病, Alopecia areata, AAV, 類天疱瘡, MS, SSc, 抗GBS抗体症候群, GCA, Thromboangitis obliterans, 川崎病
両群における自己免疫疾患の頻度(表2)とADTによる自己免疫疾患リスク(表3)
・自己免疫疾患は5例以上報告されたもののみを評価
多い疾患はSjogren症候群, RA, IBD, 乾癬, ブドウ膜炎, バセドウ病, AS, そしてPMR
・全体ではホルモン療法群のほうが合併リスクは低い結果.
有意差があるのは乾癬, ブドウ膜炎, バセドウ病
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前立腺癌からPMR(PMR様症状)の経過というのはそれなりにありそうな印象.
ただし, 前立腺癌自体がOccultでそれなりに多い腫瘍なので, PMR患者で腫瘍精査→発見という例も少なからずありそうな印象はある.
悩ましい