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2018年11月14日水曜日

幼若血小板

幼若血小板分画: IPF(immune platelet fraction)

幼若血小板は末梢血にRNAが残存している血小板で血小板減少の評価において, 骨髄不全か血小板の破壊亢進かの鑑別に有用な検査の1
・正常値は自動機械カウントで1.3-9%
 韓国人の評価では, 男性で0.5-3.2%, 女性で0.4-3.2%程度とばらつきが多い
 大体<10%程度と考えておく.
・DICTTP, ITPなど末梢血での血小板破壊が亢進している病態では, IPFは上昇する.
 血小板減少症例の評価ではITP群で16.3%, ITP7.6%
 小児例では>9.4%は感度88%, 特異度85.7%ITPを示唆する報告がある
(Front. Med. 4:146. doi: 10.3389/fmed.2017.00146 )

2ヶ月~21歳までのPLT<5万を満たす小児患者のReview.
(PediatrBloodCancer.2017;e26812. )
・ITP97, 骨髄不全が11, 悪性腫瘍が126, 他の血小板減少が38
IPF>5.2%ITPと骨髄不全を感度93%, 特異度91%で鑑別可能

また, IPFは重症出血リスクにも関わる.
重症出血リスク因子
PLT<1万はリスクだが
 さらにIPFが低い場合(IPF≤10%)は高リスクとなる

化学療法後のPLT減少56, 骨髄不全22, ITP105, 先天性巨大血小板症(HM)27例でIPFを評価した報告
(Sci Rep. 2017 Jun 13;7(1):3355.)
・各患者群の年齢, PLT, MPV

IPFの分布: ITPHMではIPFは高値となる.

・ITP患者群では12.3%[2.4-65.6]
 HM群では29.8%[4.6-65.9]
さらにIPF<17.4%は感度70%, 特異度90%ITPHMの鑑別に有用

骨髄不全(白血病, MDS, AA) 58, ITP 47, Control 97例において, IPFと網状PLT(rPT)を前向きに評価した報告
(Br J Haematol. 2017 May;177(4):612-619.)
・骨髄不全, ITP患者ではPLT<7万を満たす
IPF
Control群で2.6%[0.9-8.5]
ITP群で16.2%[2.6-45.9], 
骨髄不全群で9.9%[2.4-34.1]
・骨髄不全でも10%近くなることはある. 

血小板減少を呈した231(ITP 62例と非ITP症例169)IPFを評価した報告
(Pak J Med Sci. 2016;32(3):575-579.)
・各群におけるMPV, IPFの分布

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いつの間にか院内検査の血算機械が新しくなり, IPFも院内で評価可能になっていました.
いままでMPVで代用していましたが, 血小板数が少ない場合には評価困難なことも多かったです.
・IPFの正常値は大体<10%程度. 
 血小板減少で>10%となる場合は骨髄産生の亢進, 末梢血での消費・破壊を考慮 →大体ITPのことが多い.
 低値の場合は骨髄抑制, 骨髄不全を考慮する.
・若いPLTは止血機能も高いため, 血小板低下+IPF上昇よりも血小板低下+IPF低下が最も出血リスクが高いため注意が必要. あくまでも簡便な評価の1つですけども.