髄液糖が低下するのは感染症, 特に細菌性髄膜炎を連想するが,
他にはどのような疾患で低下するのだろうか?
CSF-glu<40mg/dL 且つ 血清/CSF-glu <0.6を満たす成人症例89例の原因疾患を評価した報告.
[Am J Med Sci 2014;348(3):186–190.]
・このうち79例で診断が判明.
・最も多いのは細菌性髄膜炎で24%. 真菌性髄膜炎が15%, 脳卒中が13%, 癌性髄膜炎11%, ウイルス性髄膜炎6%, 神経サルコイド3%
・患者背景でも異なる.
市中発症の髄液糖が低下する疾患
(International Journal of Infectious Diseases 39 (2015) 39–43 )
・市中発症の髄膜炎(CSF細胞数増多)で, CSFシャントや1ヶ月以内の脳外科手術歴がない620例の解析.
・このうち116例(19%)で髄液糖の低下が認められた.
・原因疾患は,
特発性が40例, 細菌性27例, クリプトコッカス26例, ウイルス性15例, 結核性4例.
髄液糖低下の程度と原因疾患
・細菌性は全例で<30mg/dLとなる
髄液糖が低下する疾患のまとめ
[Am J Med Sci 2014;348(3):186–190.]
・多い非感染性の原因としては癌性髄膜炎, SAHがある.
癌性髄膜炎の髄液糖はどの程度低下する?
組織や画像で証明, もしくは癌性髄膜炎として治療された50例
(Clinical Neurology and Neurosurgery 115 (2013) 19–25 )
・髄液糖は低下するものから正常まで様々.
細胞診の感度は62%程度.
70例の解析
(Cancer 2009;115:381--9. )
・髄液糖は48mg/dL[1.3-143]
髄液蛋白は240mg/dL[15-2580]
癌性髄膜炎34例の評価では,
・初圧の上昇(20-40cmH2O以上)は21例,
<6cmH2Oと低下しているのが2例, 正常範囲が8例
・細胞数の増加は23例で認められた(10-202/mm3)
髄液蛋白上昇は25例(45-800mg/dL)
・髄液糖の低下は17例
癌性髄膜炎では髄液糖が著名に低下することもある.
頻度は様々ではあるが, 半数程度で低下を認める可能性
神経サルコイドーシスでは?
神経サルコイドーシスのMetaにおいて, 1088例を評価.
(BMC Neurology (2016) 16:220)
・サルコイドーシス全体の5%で神経サルコイドーシスを合併
・CSFを評価したうちの14%で髄液糖の低下が認められる
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