寝たきり, 施設入所中の男性. 食欲低下, 腹部膨隆にて入院.
腹部所見では, 軽度腹部は膨隆あるも, 腹壁はSoftで圧痛もなし. 腸管蠕動も問題なし.
腹部エコーでは小腸内のFluidが軽度貯留あるが, 腸閉塞というほどの拡張もなし.排便・排ガスもあり.
血液検査も明らかな異常なし.
ふと1ヶ月前に撮影した腹部CT(大動脈瘤フォローで撮影されていた)を見てみると, 何か違和感があり, さらに細かくみると上腹部にFree airあり.
そこで今回も再評価すると, 同程度のFree air(+). 他の以前のCTには確認した限りは認められず.
腸管虚血を示唆する所見もなく, 腹水もなし.
さてこのFree Airは...?
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腹腔内のFree air: 気腹症の9割は消化管穿孔によるもの(Surgical pneumoperitoneum).
・それ以外のNon-surgical pneumoperitoneumには術後, 内視鏡後, PEG増設後, 特発性細菌性腹膜炎。。。などの頻度高い(Crit Care Med 2000; 28: 2638 –2644)
さらに他の原因:
・胸部病変・呼吸器使用に伴うものや骨盤内の処置によるものが多い
・コカイン使用, 強皮症(腸管気腫を伴わない)によるものもある
特発性気腹症14例のまとめ(Surgical Case Reports (2015) 1:69)
・既往歴に強皮症やRaynaud現象があるのが3例.
他はNSAID使用やTB, Stroke後など.
強皮症では腸管気腫症との関連が報告されており, 以前少しまとめたのでそこも参照してほしい.
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この患者さんは, おそらく強皮症では?
と思い再度診察すると, 年齢の割には顔面のしわが少なく, 光沢を帯びている. 軽度毛細血管拡張もあり.
と思い再度診察すると, 年齢の割には顔面のしわが少なく, 光沢を帯びている. 軽度毛細血管拡張もあり.
手指のPuffyな腫脹も認められ, Nail-fold capillaryの消失, 拡張所見もあり.
背景に強皮症があり, それにより気腹を繰り返している可能性が示唆される.
便秘や内服も評価し, リスクがあれば介入する方針となった.