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2018年7月25日水曜日

症例: 90歳男性、謎の空気.

 寝たきり施設入所中の男性食欲低下腹部膨隆にて入院.
 腹部所見では軽度腹部は膨隆あるも腹壁はSoftで圧痛もなし. 腸管蠕動も問題なし.
 腹部エコーでは小腸内のFluidが軽度貯留あるが腸閉塞というほどの拡張もなし.排便・排ガスもあり.
 血液検査も明らかな異常なし.

 ふと1ヶ月前に撮影した腹部CT(大動脈瘤フォローで撮影されていた)を見てみると何か違和感がありさらに細かくみると上腹部にFree airあり
 そこで今回も再評価すると同程度のFree air(+). 他の以前のCTには確認した限りは認められず.

 腸管虚血を示唆する所見もなく腹水もなし
 さてこのFree Air...

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腹腔内のFree air: 気腹症の9割は消化管穿孔によるもの(Surgical pneumoperitoneum).
・それ以外のNon-surgical pneumoperitoneumには術後内視鏡後, PEG増設後特発性細菌性腹膜炎。。。などの頻度高い(Crit Care Med 2000; 28: 2638 –2644)

さらに他の原因:
・胸部病変・呼吸器使用に伴うものや骨盤内の処置によるものが多い
・コカイン使用, 強皮症(腸管気腫を伴わない)によるものもある

特発性気腹症14例のまとめ(Surgical Case Reports (2015) 1:69)

・既往歴に強皮症やRaynaud現象があるのが3.
 他はNSAID使用やTB, Stroke後など.

強皮症では腸管気腫症との関連が報告されており以前少しまとめたのでそこも参照してほしい

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この患者さんはおそらく強皮症では?
と思い再度診察すると年齢の割には顔面のしわが少なく光沢を帯びている
軽度毛細血管拡張もあり
手指のPuffyな腫脹も認められ, Nail-fold capillaryの消失, 拡張所見もあり.

背景に強皮症がありそれにより気腹を繰り返している可能性が示唆される.
便秘や内服も評価しリスクがあれば介入する方針となった.