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2017年9月27日水曜日

マイコプラズマによる皮疹

Mycoplasma pneumoniaeは非定型肺炎をきたす原因菌の1つ.
・直径330nmの小さい細菌.
 細胞壁を持たず, この世で最も小さいFree-living organism.
・潜伏期間は2-3wk
・~50%は城気道症状のみで肺炎を伴わない.
 肺炎を認めるのは感染例の3-10%のみ.
・呼吸器感染では, 気管支壁との親和性が高く, CTでは気管支壁肥厚をよく認める.
 また, 気管支壁周囲の粒状影, GGO, 小葉中心性陰影を認める.
 咳嗽などの症状が強い理由.

マイコプラズマ肺炎では肺外症状を25%で認める.
・肺外症状は肺炎に先行, 併発, 肺炎後の発症など様々なタイミングで出現する.
・肺炎を伴わない場合もあり, 免疫反応が関連している
・肺外症状では神経, 心臓, 皮膚, 筋骨格系, 血液, 消化管で多い
 皮膚症状では丘疹, 水疱, 多形滲出性紅斑, SJS
 神経では脳炎, 髄膜炎, 視神経炎, 脳神経麻痺, GBS
 筋骨格系では関節痛, 関節炎, 筋痛. 急性感染症の14%で認める
 心臓では心外膜炎, 心筋炎があるが, 多くはない. 1-8.5%程度
 血液では溶血性貧血, TTP, 再生不良性貧血
 他には急性死優待腎炎, IgA腎症,
 中耳炎, 外耳道炎, 鼓膜炎, 難聴など様々
(Clin Microbiol Rev. 2004 Oct;17(4):697-728,)

マイコプラズマの直接浸潤による症状, 障害

マイコプラズマ感染による免疫反応による症状, 障害
(Clin Microbiol Infect 2008; 14: 105–115)

マイコプラズマによる皮膚, 粘膜障害
・Mycoplasma感染症の25%で皮膚症状が認められる.
 皮膚症状は様々であり, SJS, 多形滲出性紅斑, TENもある.
 皮膚症状を伴わず, 粘膜病変のみのSJSもあり得る(Fuch症候群)
(Clin Microbiol Infect 2008; 14: 105–115 )
・Mayo clinicにおいて, 8年間で診断したSJS27例のうち6(22%)Mycoplasmaであった
(Mayo Clin Proc. 2010;85(2):131-138 )

MycoplasmaによるSJS, EM(多形滲出性紅斑)をLiterature reviewにて評価
(J Am Acad Dermatol 2015;72:239-45. )
・95文献より202例を解析
・年齢は11.9±8.8歳.
前駆症状は悪寒や咳嗽, 発熱で前駆症状~皮疹までは1週間[平均8±5]
皮疹や粘膜所見

日本国内のMycoplasmaによるSJSの解析
(Allergology International. 2011;60:525-532 )
・1981-2009年に論文で報告された日本人のMycoplasmaによるSJS症例38例と, 2000-2009年に報告された日本人の薬剤性SJS 78例を比較
・年齢分布: MycoplasmaによるSJSは圧倒的に若年で多い.

粘膜病変の比較
・Mycoplasmaでは眼病変の頻度が高い.

臓器障害の頻度
・薬剤性では肝障害が多く, Mycoplasmaでは当然呼吸器障害が多い

発熱や呼吸器症状~皮膚/粘膜障害出現までの期間
・<20歳では数日2週間程度遅れるが≥20歳ではほぼ同時に出現している