NEJM 2006;354:601-9
入院患者の2.2%に薬剤性皮疹を認める
薬剤アレルギーはどの臓器に出現してもよいが, 皮膚が最多.
3.6/1000入院患者との報告もあり, 内55%が抗生剤由来.
アミノペニシリン, ST合剤が最もRiskが高い
抗生剤アレルギーのType
IgEが関連するUrticarial reaction, T cellが関連するDelayed hypersensitivity reactions (Antibiotic-induced maculopapular eruption)等がある.
Coombs
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Immune
Response |
Pathologic
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症状
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Cell type
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Type I
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IgE
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Mast cell 脱顆粒
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蕁麻疹, アナフィラキシー
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B cell, Ig
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Type II
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IgG
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FcR-dependent細胞崩壊
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血球障害
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B cell, Ig
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Type III
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IgG, 補体
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免疫複合体沈着
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血管炎
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B cell, Ig
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Type IVa
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Th1(IFN-γ)
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単球活性化
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湿疹
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T cell
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Type IVb
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Th2(IL-4,5)
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好酸球性炎症
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点状丘疹, 水疱性皮疹
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T cell
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Type IVc
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Cytotoxic T cell
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CD4,8由来破壊, 細胞
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点状丘疹, 水疱性皮疹, 膿疱性皮疹
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T cell
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Type IVd
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T cell
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好中球産生, 活性化
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膿疱性皮疹
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T cell
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最も多いパターンは, Maculopapular eruption, Urticaria, Pruritus
原因抗生剤暴露後, 数日~数週で発症する
2回目以降は暴露後数分~数時間と短時間で発症
皮膚症状以外の症候としては,
肝障害, 溶血, 血球減少(アモキシシリン/クラブラン酸), Drug-specific antibodyによる障害が高用量のPC, セフェムで認める
アナフィラキシーの頻度は多くはないが, PCで5000-10000に1例.
HIV患者では抗生剤アレルギーが多い
ST合剤に対するアレルギーは20-80%で認められる(非HIV患者では1-3%程度)
原因は不明だが, 薬剤の代謝に関連している説あり
Cystic fibrosis
Cystic fibrosisの30%で抗生剤に対するアレルギーあり
Piperacillin, Ceftazidime, Ticarcillinが多い
IV投与 > PO投与であり, 繰り返す抗生剤投与が原因とされる
伝染性単核症
EBV感染に対するアミノペニシリン投与が代表だが, 他の薬剤に対する反応も亢進する.
原因は不明. Viral infectionが原因とされる.
ペニシリンアレルギーについて
JAMA 2001;285:2498-2505, Am J Med 2008;121:572-76
ペニシリンによる各種障害は10%で認められる
ペニシリンにてアナフィラキシーを来すのは 0.004%-0.015%
20-49歳が最多
アトピーは頻度上昇のRiskではないが, 重症度上昇のRiskとなる
IgE由来(Type I アレルギー)であり, 通常1-72hr以内に発症する. 致死的なものは1hr以内が多く, 1hr以降は稀
ペニシリンによる薬疹は1-4%
アモキシシリンでは5.2-9.5%(EBV感染では100%)
患者本人のアレルギー既往の訴え LR(+) 1.9[1.5-2.5], LR(-) 0.5[0.4-0.6]
PCアレルギー と 他 βラクタム
PCとセフェムの交差反応は少なく(5-10%), 投与は可能
PCアレルギー(+)の場合,
第1世代セフェムアレルギー OR 4.8[3.7-6.2]
第2世代セフェムアレルギー OR 1.1[0.6-2.1]
第3世代セフェムアレルギー OR 0.5[0.2-1.1] と, 第1世代セフェムのみでアレルギーRisk上昇を認める
第2世代セフェムアレルギー OR 1.1[0.6-2.1]
第3世代セフェムアレルギー OR 0.5[0.2-1.1] と, 第1世代セフェムのみでアレルギーRisk上昇を認める
基本的にはPCアレルギーがある場合は第1, 2世代セフェム投与は控えるべきである(Otolaryngol-Head Neck Surg 2007;136:340-7, Meta)
MonobactamはPCアレルギー患者への投与OK
PCアレルギーの患者は他薬剤へのアレルギーリスクが3倍
カルバペネム系との交差反応 Clinical Infectious Diseases 2014;59(8):1113–22
PC, Cephem系抗生剤にIgE型アレルギーがある患者群でCarbapenemを使用した場合の交差反応を評価した10 trialsと12 case reports (N=854)のReview.
854例中838例がペニシリンアレルギー, 12例がCephemアレルギー, 4例がPC, Cephem双方のアレルギー. (proven, suspected, possible IgE-mediated reaction)
838例のPCアレルギー患者のうち, Carbapenemアレルギーを呈したのは36例(4.3%[3.1-5.9])
上記のうちIgE-mediated reactionは20例(2.4%[1.6-3.7])
12例のCephemアレルギー症例のうち, 3例がCarbapenemアレルギー. IgE-mediated reactionは1例のみ.
PC, Cephem双方にアレルギーをもつ4例では 1例のみCarbapenemのIgE由来アレルギー反応(+)
交差反応は5%に満たない程度であり、PCアレルギー歴があってもカルバペネムは投与可能なことが多い.
ペニシリンアレルギーの検査
Test Dosing
0.1-1%より開始し, 数分~日の単位で2-10倍増量しTarget Doseへ
Skin testing
PC specific IgEのCheck目的, SN>90%, SP 60%程度
全身症状が出現するRiskは低く, 0.12%程度
アモキシシリンも併用すると, 感度は上昇する
病歴とSkin testの結果による判断
病歴は, 本当に“I型アレルギーの病歴”か否かを意識して判断
Skin testが陰性ならばアレルギーの可能性は10%に満たない
患者群
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PV(%) for PC Allergy
Skin Test 陽性患者 |
PV(%) for non-Allergy
Skin test 陰性患者
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PCアレルギーの病歴(+)
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14%[12-16]
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PCアレルギーの病歴(+) Children
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>95%
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PCアレルギーの病歴(+) Adults
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90%[86-91]
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LR(+)
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LR(-)
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本当にアレルギーを示唆するような,
PCアレルギーの病歴(+) アナフィラキシー, Skin test陽性, 2回目のPC投与でもアレルギー |
>11
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0.98[0.98-0.99]
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