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2014年10月3日金曜日

抗生剤アレルギー

抗生剤アレルギー
NEJM 2006;354:601-9

入院患者の2.2%に薬剤性皮疹を認める
 薬剤アレルギーはどの臓器に出現してもよいが, 皮膚が最多.
 3.6/1000入院患者との報告もあり, 内55%が抗生剤由来.
 アミノペニシリン, ST合剤が最もRiskが高い

抗生剤アレルギーのType
 IgEが関連するUrticarial reaction, T cellが関連するDelayed hypersensitivity reactions (Antibiotic-induced maculopapular eruption)等がある.
Coombs
Immune
Response
Pathologic
症状
Cell type
Type I
IgE
Mast cell 脱顆粒
蕁麻疹, アナフィラキシー
B cell, Ig
Type II
IgG
FcR-dependent細胞崩壊
血球障害
B cell, Ig
Type III
IgG, 補体
免疫複合体沈着
血管炎
B cell, Ig
Type IVa
Th1(IFN-γ)
単球活性化
湿疹
T cell
Type IVb
Th2(IL-4,5)
好酸球性炎症
点状丘疹, 水疱性皮疹
T cell
Type IVc
Cytotoxic T cell
CD4,8由来破壊, 細胞
点状丘疹, 水疱性皮疹, 膿疱性皮疹
T cell
Type IVd
T cell
好中球産生, 活性化
膿疱性皮疹
T cell

最も多いパターンは, Maculopapular eruption, Urticaria, Pruritus
 原因抗生剤暴露後, 数日~数週で発症する
 2回目以降は暴露後数分~数時間と短時間で発症

皮膚症状以外の症候としては,
 肝障害, 溶血, 血球減少(アモキシシリン/クラブラン酸), Drug-specific antibodyによる障害が高用量のPC, セフェムで認める
 アナフィラキシーの頻度は多くはないが, PCで5000-10000に1例.

HIV患者では抗生剤アレルギーが多い
 ST合剤に対するアレルギーは20-80%で認められる(非HIV患者では1-3%程度) 
 原因は不明だが, 薬剤の代謝に関連している説あり

Cystic fibrosis
 Cystic fibrosisの30%で抗生剤に対するアレルギーあり
 Piperacillin, Ceftazidime, Ticarcillinが多い
 IV投与 > PO投与であり, 繰り返す抗生剤投与が原因とされる

伝染性単核症
 EBV感染に対するアミノペニシリン投与が代表だが, 他の薬剤に対する反応も亢進する.
 原因は不明. Viral infectionが原因とされる.

ペニシリンアレルギーについて
 JAMA 2001;285:2498-2505, Am J Med 2008;121:572-76

ペニシリンによる各種障害は10%で認められる
 ペニシリンにてアナフィラキシーを来すのは 0.004%-0.015%
 20-49歳が最多
 アトピーは頻度上昇のRiskではないが, 重症度上昇のRiskとなる
 IgE由来(Type I アレルギー)であり, 通常1-72hr以内に発症する. 致死的なものは1hr以内が多く, 1hr以降は稀
 ペニシリンによる薬疹は1-4%
 アモキシシリンでは5.2-9.5%(EBV感染では100%)

患者本人のアレルギー既往の訴え LR(+) 1.9[1.5-2.5], LR(-) 0.5[0.4-0.6]

PCアレルギー と 他 βラクタム
 PCとセフェムの交差反応は少なく(5-10%), 投与は可能

PCアレルギー(+)の場合,  第1世代セフェムアレルギー OR 4.8[3.7-6.2]
 第2世代セフェムアレルギー OR 1.1[0.6-2.1]
 第3世代セフェムアレルギー OR 0.5[0.2-1.1] と, 第1世代セフェムのみでアレルギーRisk上昇を認める
 基本的にはPCアレルギーがある場合は第1, 2世代セフェム投与は控えるべきである(Otolaryngol-Head Neck Surg 2007;136:340-7, Meta)
 MonobactamはPCアレルギー患者への投与OK
 PCアレルギーの患者は他薬剤へのアレルギーリスクが3倍

カルバペネム系との交差反応 Clinical Infectious Diseases 2014;59(8):1113–22
PC, Cephem系抗生剤にIgE型アレルギーがある患者群でCarbapenemを使用した場合の交差反応を評価した10 trialsと12 case reports (N=854)のReview.
 854例中838例がペニシリンアレルギー, 12例がCephemアレルギー, 4例がPC, Cephem双方のアレルギー. (proven, suspected, possible IgE-mediated reaction)
 838例のPCアレルギー患者のうち, Carbapenemアレルギーを呈したのは36例(4.3%[3.1-5.9])
 上記のうちIgE-mediated reactionは20例(2.4%[1.6-3.7])

 12例のCephemアレルギー症例のうち, 3例がCarbapenemアレルギー. IgE-mediated reactionは1例のみ.

 PC, Cephem双方にアレルギーをもつ4例では 1例のみCarbapenemのIgE由来アレルギー反応(+)

 交差反応は5%に満たない程度であり、PCアレルギー歴があってもカルバペネムは投与可能なことが多い.

ペニシリンアレルギーの検査
Test Dosing
 0.1-1%より開始し, 数分~日の単位で2-10倍増量しTarget Doseへ
Skin testing
 PC specific IgEのCheck目的,  SN>90%, SP 60%程度
 全身症状が出現するRiskは低く, 0.12%程度
 アモキシシリンも併用すると, 感度は上昇する

病歴とSkin testの結果による判断
 病歴は, 本当に“I型アレルギーの病歴”か否かを意識して判断
 Skin testが陰性ならばアレルギーの可能性は10%に満たない
患者群
PV(%) for PC Allergy
Skin Test
陽性患者
PV(%) for non-Allergy
Skin test 陰性患者
PCアレルギーの病歴(+)
14%[12-16]

PCアレルギーの病歴(+) Children

>95%
PCアレルギーの病歴(+) Adults

90%[86-91]

LR(+)
LR(-)
本当にアレルギーを示唆するような,
PC
アレルギーの病歴(+)
 アナフィラキシー, Skin test陽性,
 2回目のPC投与でもアレルギー
>11
0.98[0.98-0.99]