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2018年6月13日水曜日

IgG4関連疾患以外のIgG4上昇をきたす疾患/病態

IgG4関連疾患以外にIgG4が上昇する疾患には以下のようなデータがある

疾患
IgG4上昇例(%)
疾患
IgG4上昇例(%)
Sjögren症候群
7.7%
好酸球増多症
12.5%
膵癌
5.2%
間質性肺炎
33.3%
SLE
13.9%
Behcet病
10%
関節リウマチ
14.5%
EGPA
71.4%
胆管癌
6.2%
喘息
14.3%
慢性膵炎
4.4%
炎症性筋症
16.7%
全身性硬化症
6.8%
抗リン脂質抗体症候群
20%
肝硬変
9.1%
MCTD
0
慢性肝炎
4.8%
MPA
20%
Castleman病
43.7%
健常人
1.3%
(Mayo Clin Proc. 2015;90(7):927-939 )

他に国内から
札幌医大, 手稲, JR札幌病院におけるStudy
(Mod Rheumatol (2012) 22:419–425)
・IgG4-RD患者と, 自己免疫疾患患者のIgG4値を評価.(Mikulicz’s disease 66, Kuttner’s tumor 17, dacryoadenitis 11, AIP 8) 

CSS, APS, RA, PM/DM, MCD, 好酸球性疾患肝炎, 肝硬変ではIgG4が高値となるので注意.

primary Sjogren syndrome(pSS) 102, SSc 102SLE 100, PBC 59, 健常人 40例における評価では,
(Medicine 94(2):e387) 
IgG4>135mg/dLとなったのは
 pSS3%, SSc7%, SLE 11%, PBC 3%, 健常人では5%

見方を変えて, 
IgGのサブクラスがどれか単一で上昇を認めた552例のReview
(Seminars in Arthritis and Rheumatism 47 (2017) 276–280 )
・IgG422.1%で上昇
IgG4上昇例は自己免疫性膵炎, アスピリン誘発性呼吸器疾患Celiac, 鼻ポリープ, 好酸球増多に関連する.

と, 色々な疾患でIgG4の上昇は認められる.
特に好酸球上昇に関連しているような印象.

最近喘息とIgG4上昇の関連を評価した報告が出ているので紹介

2006-2015年に難治性喘息と判断された患者群123例において血清IgG4を評価.
(Respiratory Medicine 112 (2016) 39-44 )
・このうち25例でIgG4/IgG >10%を満たし, 非上昇例98例と比較
IgG4上昇群では好酸球増多も多い
FeNO>100ppbも有意に多い(気道炎症のマーカー)

喘息のPhenotypeIgG4
・Non-atpic, non-eosinophilicではIgG4陽性例はいない
EGPAを満たす場合やEo上昇を伴う喘息ではIgG4の関連があるかも

IgG4関連疾患における好酸球増多の合併は?
MGHにおける病理で診断されたIgG4-RD 70例の解析
(Allergy 2014; 69: 269–272. )
・IgG4-RD診断時のIgE, 好酸球数を評価.
アトピー性皮膚炎の既往は22/70(31%)で認められた.
・IgE上昇は35%. 平均値523IU/mL[範囲129-1869]
 末梢血好酸球増多は27%. 平均1062/µL[範囲600-2000]
アトピー性皮膚炎合併例の方がEoIgEは高い

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IgG4関連疾患以外にIgG4の上昇を認めるものは多数あり,
特に好酸球増多との関連はありそうである

EGPAや難治性喘息で好酸球増多を伴うタイプ, 好酸球増多症ではIgG4も高値となりやすく
さらにIgG4関連疾患患者でも好酸球増多やIgE増多を伴うことも多い.

IgG4-RD自体新しい疾患概念であり, 今後さらに分類化される可能性もあるが,
現時点では、IgG4と好酸球増多・アレルギー疾患を関連づけて考えておくとよいだろう

2018年6月9日土曜日

インフルワクチン後2週間はMTX中断を考慮

(Ann Rheum Dis 2018;77:898–904.)
Pilot studyではワクチン前4wkでの中断では抗体価上昇を改善させる効果はなく, ワクチン後2,4wkの中断で抗体価上昇を改善させることがわかっている.

MTXにて安定しているRA患者を対象としたRCT.
・MTXDose変更なく6wk以上継続している患者群
・インフルエンザワクチン(H1N1, H3N2, B-Yamagata, B-Victoria)を接種し, その後MTX2wk中断群 vs 継続群でワクチンへの反応を比較.
反応は4wk後の各株(4種類中2種類以上)に対する抗体価(Hemagglutination inhibition: HI)4倍に上昇していることで定義.

母集団

bDMARD使用率は<10%

ワクチンへの反応性
・2株以上で4倍の抗体価となったのは継続群で55%, 中断群で76%, 有意に中断群で良好

株別, MTX投与量別の評価

・MTX≤7.5mg/wkでは中断する意義は乏しいが≥10mg/wkではワクチン後2wkの中断でワクチンの効果が上昇

また, MTX中止に伴うRAの増悪は有意差なし

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経過が安定していればワクチン後2wkのMTX中断はワクチンの効果を上昇させ, RAへの不利益も少ない. とくに≥10mg/wkの投与量では

2018年6月6日水曜日

挿管困難要素があればブジーを第一選択とする方が良い

BEAM trial: (JAMA. 2018;319(21):2179-2189. )
ERにおいて喉頭展開を行い, 気管挿管が行われる患者を対象とし,
ERで挿管する際にブジーを用いて行う群 vs. 通常のスタイレット付きチューブを用いる群に割付け挿管成功率を評価

評価は挿管困難要素+群で施行した.
・喉頭展開は喉頭鏡, ビデオ喉頭鏡双方使用しても良い
・挿管困難要素は以下:
 喉頭展開時に体液が多く見にくい
 気道閉塞・浮腫
 肥満,
 短頸
 小顎
 巨舌
 顔面外傷
 頸椎固定が必要な患者
・これら評価は主治医の主観により評価
・妊婦や喉頭の異常が分かっている患者(腫瘍など)は除外

母集団. N=757, このうち挿管困難要素+380
・口腔内体液, 肥満, 頸椎固定が特に多い

挿管プロセスの比較

アウトカム
・挿管困難要素+群において挿管成功率は有意にブジー群で良好. 14%上昇する
 1回目で成功する可能性も高い

特に頸椎固定や肥満患者での成功率が顕著に上昇
・ビデオ喉頭鏡(C-MAC)使用群でもブジーを用いた方が成功率は高い
・Cormack-Lehane view別では, Grade 2-3では有意にブジーで良好。Grade 4はNが少なく評価できない. Grade 1は双方とも成功率が高い.

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救急Settingでの挿管ではブジーがいつでも使えるようにしておいた方が良いかも.
特に外傷.

2018年6月1日金曜日

一過性にインスリンが枯渇する糖尿病: Ketosis-prone DM

DPP-4阻害薬のみで血糖コントロール良好長年HbA1c 6%前半で推移していた患者
ある日突然口渇感など増悪し来院時DKAであった. HbA1c 13%(3ヶ月前は6.8%, その前は6%前半で推移)

よくよく病歴を調査すると,
15年前(50歳台)DKAで発症. HbA1c 16%. その際インスリン分泌能を評価され低下していると判断インスリンが導入された.
その数年後にコントロール良好となり離脱で、受診を自己中断.
初回DKAから10年後に再度DKAありその際もインスリン分泌低下あり、導入.でその3年後にインスリン離脱し、以後内服のみで安定.そして、今回のエピソードと。

これで3回目のDKA, いずれもインスリン枯渇状態であったが, 数年でインスリン離脱
この病態は一体なんなのだろうか?

これは非典型的なDMの一つ. Ketosis-prone DM: KPDと呼ばれるタイプ
典型的なType 1 DMではないのにDKAを生じるタイプ
・通常DKAはインスリンの枯渇により生じるため, DKAを来す患者では大抵がType 1 DMでインスリン導入となるが中には経過中にインスリン分泌能が改善し, 導入の必要が無い患者もいる.
このような患者群では長期間のフォローでインスリン枯渇(増悪)と分泌正常(寛解)を行き来する症例がある.
 寛解期には軽度の高血糖のみか, 薬剤を必要としなくなるレベルまで改善.

 このようなタイプをKetosis-prone DMと呼び, 自己抗体をもつタイプ(GAD抗体, IA-2抗体)A+β+, もたないA-β+と表記する.
 β細胞機能の改善がえられない, 不十分なものをβ-と表記.

人種により差があり, Afro-Caribbean, Hispanicで多い. Asia人では少ない.

Ketosis-prone DMの特徴
臨床特徴
Labの特徴
誘因の無いDKAを来す.
DKA時にDMが診断されることもある
Afro-Caribbean, Hispanicで多い.
インスリン非依存性と依存性±DKAの期間がある
Type 2 DM-likeな要素が多い
(肥満, 耐糖能障害, Metabolic syndrome)
β細胞機能の変動でHbA1cもバラツく
DKAを来たす患者群では男性が多い(2.6:1)
初期治療としてインスリンが推奨される
β細胞抗体は28%で陽性
C-ペプチドはDKA時には低値.
その後は>60%で改善する.
空腹時C-ペプチド(nmol/L)/glu(mmol/L) >11はインスリン中断可能を示唆.
Type 1 DMのHLAパターンならば1-2年で
インスリン依存性となる
それぞれのタイプの特徴
(J Clin Endocrinol Metab 88: 5090–5098, 2003 )
・β+群では, 6ヶ月でインスリンを中断できるのが約半数
12ヶ月時点で投薬中止できるのが1-2.
 経口血糖降下薬のみで管理可能なのが3-4となる

KPD 111例の解析(Sub-Saharan African)
(Diabetes 53:645–653, 2004 )
最終的にインスリン離脱できたのが75.7%
インスリン投与が必要な期間は離脱群では14.3±25.9wk

KPDの再燃, インスリン依存のリスク
・3-5年にかけて再燃のリスクが高い.
また経過ごとに徐々にインスリン依存のリスクは増大する.

再燃時のHbA1c, 体重の変化

・A,B: 寛解のままの患者のデータ
C,D: 再燃をきたした患者のデータ. 半年~3ヶ月前よりHbA1cは上昇
  その前から若干体重が増加する経過をとる

他の報告では, 
106例のKPD患者をDKA後半年間フォローした報告では, インスリンを中止できたのは50例と約半数. (Diabet. Med. 22, 1744–1750 (2005) )

新規に診断されたDMKPD(A-β+)を疑う患者11例を前向きに1年間フォローした報告
C-peptideの変動
・半年以上かけて分泌能は改善する経過. 反応性も改善する

1年後の投薬、管理内容
・SUやMetforminのみ, 併用, 生活療法のみと改善を認める.

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アジア人では少ないが, β細胞機能が低下〜回復を繰り返し, DKAを繰り返す症例があることは覚えておくと良い.
なんかおかしい2型糖尿病のDKAではKPDの可能性も念頭に