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2016年10月13日木曜日

前にそのベッドに入院していた患者への抗生剤投与も, CDIリスクになる

Receipt of Antibiotics in Hospitalized Patients and Risk for Clostridium difficile Infection in Subsequent Patients Who Occupy the Same Bed. JAMA Intern Med

2010-2015年に4つの施設にて入院していた100615例を対象とした後ろむきStudy
・最近のCDI, 入院48h以内に発症したCDI, その入院ベッドに前に入院していた患者が1日未満の入院期間であった場合は除外.
・上記のうち, 576例でCDIを診断(0.57%).

CDIのリスク因子を評価
患者因子として
 高齢者, 
 抗生剤暴露, 
 制酸剤, 
 腎不全,
 免疫抑制, 
 ICU管理がCDIのリスクとなる.

その前にそのベッドに入院していた患者が抗生剤を使用している場合もまたリスクとなる



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無症候でも感染拡大リスクは高いということは以前ブログで書いている(C. difficile無症候性キャリアについて)

抗生剤暴露はCDIのリスクとなり、また感染を拡大させるリスクにもなる. 

これを知って, 予防につながるかというとなかなかピンとこないが,
無駄な抗生剤投与は一つでも減らしたいところです。


2016年10月11日火曜日

重症敗血症 に対するステロイド投与(HYPRESS trial)

敗血症に対するステロイド投与についてはこちらを参照
敗血症性ショックとステロイド

基本的に, 「敗血症性ショック」, つまり補液負荷でも反応しない症例において, 血圧を上昇させる効果が期待できるもの, という認識になる.

それ故, 補液負荷で反応する患者群(重症敗血症)では使用しない.

2012年に行われた米国ICU医へのアンケートでも,
 Severe sepsisに対しては83%がステロイド投与を推奨せず, Septic shockに対しては81%がステロイド投与を推奨している
(Journal of Critical Care (2012) 27, 351361)

現在, ADRENAL studyという敗血症性ショック患者を対象としたステロイドの効果を評価するDB-RCTが進行中である.(Crit Care Resusc 2013; 15: 83–88)

その中で, 重症敗血症患者を対象としたDB-RCTが発表されたので紹介する
Effect of Hydrocortisone on Development of Shock Among Patients With Severe Sepsis. The HYPRESS Randomized Clinical Trial. JAMA
重症敗血症患者へのステロイド投与(HYPRESS trial)
・敗血症性ショックではなく, 重症敗血症患者 380例を対象としたDB-RCT.
・Hydrocortisone 200mg/dを持続投与 5日間, その後減量しDay 11に終了群 vs Placebo群に割り付け, 敗血症性ショック移行リスクを比較した.
・敗血症の定義は感染+SIRSクライテリア2項目以上
 敗血症性ショックの定義(十分な補液後も循環不全が持続)を満たす群は除外.
 他の理由でステロイド投与が必要となる患者群も除外.
*十分な補液とは, CVP≥8mmHg(人工呼吸器管理では≥12mmHg), CVO2 ≥70%で定義

母集団データ:
・APACHE IIやSOFAスコアを見るとやはりFrench trialあCORTICUSよりも随分低い

アウトカム: 敗血症性ショック移行率, 死亡リスクは有意差なし.
ショック移行までの時間も有意差はない

合併症の比較
・ステロイド投与群では高血糖リスクが上昇する程度.

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基本的に敗血症に対するステロイド投与はガイドライン通り, 「補液で反応しない場合に使用する」と考えておけば良い
ADRENAL trialの結果が待ち遠しい

2016年10月7日金曜日

ANCA陽性の場合, AAVである可能性は?

ANCA(MPO, PR3-)はANCA関連血管炎(AAV)で陽性となる自己抗体であるが, AAVに特異的でもない.
他に色々な疾患で陽性となるため, 注意が必要である.

ANCAが陽性となる疾患

感染症
消化管疾患
薬剤性
膠原病
結核
炎症性腸疾患
Propylthiouracil
SLE, RA
HIV/AIDS
PSC
Hydralazine
Felty’s Syndrome
Malaria
自己免疫性肝炎
Methimazole
Systemic sclerosis
HCV
PBC
Minocycline
Dermatomyositis
亜急性心内膜炎
(S aureus, Strept.)

悪性腫瘍
Carbimazole
Sjogren’s Syndrome
Carcinoma
Allopurinol
MCTD
Parvovirus B19
Lymphoma
Cocaine
Reactive arthritis
Leprosy
Liebow’s disease
D-penicillamine
Ankylosing spondylitis
Pseudomonas
(Cystic fibrosis)

CML
Phenytoin
Juvenile chronic arthritis
MDS
Levamisole
Relapsing polychondritis
Aspergillosis
Monoclonal gammopathy
Pimagedine
Eosinophilia myalgia syndrome
Leptospirosis



Amoebasis



Pulmonary sporotrichosis



血管炎(ANCA関連血管炎以外)
腎疾患
その他疾患
Polyarteritis nodosa
溶連菌感染後糸球体腎炎
Silica暴露
Horton’s arteritis
IgA腎症
サルコイドーシス
高安病
膜性腎症
Sweet syndrome
Schonlein-Henoch purpura
GBM抗体病
特発性肺ヘモジデローシス
川崎病

後腹膜線維症
ベーチェット病

Erythema elevatus diutinum
Cryoglobulinemic Vasculitis


(Lancet 2006;368:404-18)

特に結核では
20名(44.4%)がIIFでのANCA陽性(c-ANCA 16, p-ANCA 4)
・18名(40%)がELISAでのANCA陽性(c-ANCA 15, p-ANCA 3) という報告もあるため, 要注意.
(Rheumatology 2003;42:223–229)

AAVとANCA偽陽性群ではどのような違いがあるか?
オーストリアにおける後ろむき解析.
2005-2015年にANCA陽性となった全患者をReviewし, AAVと診断された症例とそれ以外(偽陽性例)を比較.
(Medicine (2016) 95:40(e5096))
・237例のANCA陽性例のうち, AAVは119例, 偽陽性例が118例であった
 偽陽性例118例のうち, 87例が他疾患を診断. 

両群の比較では, 
・ANCAの値と障害臓器数がAAV診断に寄与する情報であり,
 ANCA ≥4ULNはOR 14.16,
 2臓器以上の障害は OR 7.67でAAVを示唆する.

障害臓器の数とAAVの可能性(上)
ANCAの値(ULN)と感度, 特異度(下)

ちなみに, 
国内ではMPO-ANCAは5 IU/mL
・PR3-ANCAは3 IU/mLがカットオフ

低いならばANCA陽性は無視しろ、という日頃の教えは正しいのでしょう.

2016年10月6日木曜日

慢性腎疾患患者に対する葉酸

以前, 脳梗塞の一次予防として葉酸を使用した中国のRCTを紹介した(CSPPT)

そのサブStudyとして, 葉酸の腎機能への影響を評価したStudy (JAMA Intern Med. 2016;176(10):1443-1450. )

CSPPTにおいて, 初期のeGFR<30ml/min群, eGFR不明群を除外した15104例において, 腎予後を比較.
・Enalapril 10mg, 葉酸は0.8mg/dを使用

母集団


アウトカム

・Primary outcomeは非CKD群ではeGFRが30%以上低下 or eGFR<60
 CKD群ではeGFRが50%以上低下 or eGFR<15で定義
・Secondary outcomeはPrimary outcome + 全死亡, 急速の腎機能低下

CKD群では有意に腎不全増悪予防効果が認められる.

サブ解析
・遺伝子型ではCC, CTで有意な腎予後改善効果があり,
 脳梗塞の予防と同じ, CC, CT型ではCVDリスク軽減効果や腎予後改善効果が期待できる結果.

2016年10月5日水曜日

喘息発作にアジスロマイシンが効く?

1-3歳の小児で繰り返す喘息様症状がある患者158例を対象としたDB-RCT.
(Lancet Respir Med 2016; 4: 19–26 )
患者はマクロライドアレルギーや, 心, 肝, 神経, 腎疾患がある患者
・臨床的に肺炎を疑う患者(RR≥50, BT≥39度, CRP≥5.0mg/dL)は除外
・3日以上症状が持続した群をアジスロマイシン 10mg/kgを3日間 vs プラセボに割り付け, 症状の持続期間を比較した.

アウトカム
 症状はプラセボ群で7.7日間, アジスロマイシンで3.4日間と有意に改善が早い.

サブ解析では
・CRP値別では, CRP<0.8mg/dL群でより短縮効果が良好.
・発熱も<38度群で有意に短縮する.
・また細菌感染も検出されていない群の方が短縮効果を認めている.
 ただしH. Influenzaeが検出された群では抗生剤投与の方が早い
・検出されたウイルス別では,
 Rhinovirus, RSVが陰性例, Enterovirusが陽性例で有意な症状の短縮が認められた。

アジスロマイシンには抗菌作用以外に気道炎症を抑制する効果があるのではないか、と著者は推測している.

マウスで人為的に気道炎症を誘発しアジスロマイシン投与 vs プラセボ投与群で比較した研究では
 投与開始17日目での気道炎症を評価したところアジスロマイシン投与群で有意に気道炎症の改善が認められた.
 炎症は非細菌性, 感染性の炎症であり, アジスロマイシンに抗炎症作用がある可能性が示唆.
(CHEST 2009; 136:498–506) 
IL-1とnon-canonical inflammasome activationを抑制するという報告もある
(Sci Rep. 2015 Jul 8;5:12016. )


COPD急性増悪時にアジスロマイシンとAMPCを比較したRCTでは両者で差は認めない結果であった(J Bras Pneumol. 2007;33(1):43-50)

成人例における気管支喘息症例に対するDB-RCT, AZALEA trialが発表(2016.10.5 UpDate)
AZALEA trial: 成人例の喘息患者で, 喘息発作で受診し, 全身ステロイド投与を必要とする患者群を対象としたDB-RCT
(Azithromycin for Acute Exacerbations of Asthma The AZALEA Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med.)
・56-65歳では喫煙歴 ≥20 pack-yがある患者は除外, >65歳では≥5 pack-yの喫煙歴がある患者は除外
・患者は喘息発作発症48時間以内
・除外項目は28日以内の抗生剤使用歴, ICU管理が必要となる発作, PSL 20mg/d以上のステロイド長期使用歴, QT延長, 不整脈の既往, 日代償性心不全の病歴, QT延長リスクがある薬剤の併用.

上記を満たす患者群に通常の喘息治療に加えて
 AZT 500mg/dを3日間継続 vs Placebo群に割り付け, Day 5,10における症状を比較.

母集団:

アウトカム
・症状の重症度, AQLQの変化, 改善は有意差を認めず.

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成人例の喘息発作ではアジスロマイシンの優位性は認められない結果であった.

ではコントローラーとしてはどうか?
AZMATICS trial: 成人のpersistent asthma 97例を対象としたDB-RCT
( J Am Board Fam Med 2012;25:442– 459.) 
・このうち38例でアジスロマイシン群, 37例でプラセボ群に割り付け22例はopen-labelのアジスロマイシン群に割り付け.
・アジスロマイシンは600mgを最初の3日間使用し, 以後は600mgを毎週1回投与, 合計12週間継続
・アウトカムは12ヶ月後の喘息コントロールとQOL.

アウトカム:
・DB-RCT群では, アジスロマイシン, プラセボで喘息コントロール, QOLに有意差なし.

AZISAST trial: 重症喘息で発作を繰り返す109例を対象としたDB-RCT
(Thorax 2013;68:322–329.)
・患者が重症喘息で, 高用量ICS+LABAの併用が必要な群
・ICS+LABA併用に加えて少量アジスロマイシン投与群 vs プラセボ群に割り付け, 6ヶ月継続
・アジスロマイシンは250mg/日を使用
 最初の5日間は連日内服し, 以後は週3回内服を継続
・26週間以内の喘息発作, 下気道感染症リスクを比較.

アウトカム: 両者で喘息発作頻度は有意差なし.
・ただし, 非好酸球性重症喘息発作の頻度はアジスロマイシン群で有意に低下する結果であった.
・呼吸機能検査にも両者で有意差はない

とうことでコントローラーとしての効果はない

気管支喘息発作の急性期治療としてアジスロマイシンが加わるかどうかはまだよくわかりません.

2016年10月4日火曜日

NOACではダビガトランの方がリバロキサバンより出血リスクが低いかも

Stroke, Bleeding, and Mortality Risks in Elderly Medicare Beneficiaries Treated With Dabigatran or Rivaroxaban for Nonvalvular Atrial Fibrillation. JAMA Intern Med より

Nonvalvular AFで新規にダビガトランもしくはリバロキサバンを開始した118891例を後ろ向きに評価
・患者は65歳以上, もしくは<65歳でESKD, 障害がある患者群(Medicareの適応となる患者群のデータを解析.)
・両群をstabilized inverse probability of treatment weights based on propensity scoreで調節し, 両者における血栓症予防効果, 出血リスクを比較.
・ダビガトランは150mg bid, リバロキサバンは20mgを使用.

アウトカム


・ダビガトランの方が頭蓋内出血, 消化管出血, 死亡リスクが低い.
・塞栓症は有意差はないが, リバロキサバンでやや予防効果が良好な傾向がある.

サブ解析


・どのサブ解析でも結果はそう変わらない.

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後ろ向き解析であり, RCTではないものの,
抗凝固作用はリバロキサバンの方が良好であり, その結果出血リスクは上昇してしまう様子

出血リスクが高い患者や, 出血の既往がある場合はダビガトランの方がより安心かもしれない.

2016年10月3日月曜日

Clinically suspect arthralgia(CSA) → RA発症のリスク因子は?

RAの初期として関節痛のみを認めることがあり, 臨床上関節炎を認めず, RAを考慮する関節痛がある病態をClinically suspect arthralgia(CSA)と呼ぶ.

CSA患者のうち44%がMRIで小関節炎所見を認め, 臨床所見や血液検査では炎症が検出できないという報告がある
・ただし, MRI所見の特異性を評価した報告はない(RA発症や関節炎のリスクとなるかどうか)
(Ann Rheum Dis 2016;75:1824–1830.)

CSA患者150例を6ヶ月間以上フォローしたProspective study
・CSAは1年未満の小関節の疼痛が認められ, RAに進行する可能性があると専門医が判断した症例で定義.
 臨床的関節炎が認められる場合や, 他に関節痛の原因となるものが認められた場合は除外される.
・CSA患者はフォロー中DMARDやステロイドは使用しない.
・上記患者群において, MRI検査, 血清学的検査(ACPA, RF)を評価し, 臨床的関節炎進展リスクを評価.

CSAにおけるMRIの評価
・193例の健常人におけるMRI所見のデータから評価項目を作成.
・疼痛が強い側(左右同等ならば利き手側)のMCP2-5, 手関節, MTP1-5を評価する.
・MRI撮影の24時間以内はNSAIDの使用を禁止
・MRIは造影を用いて, RAMRIS(RA MRI scoring system)に準じて撮影
 MCP, 手関節, MTPにおいて, 滑膜炎所見, 骨髄浮腫所見をOMERACT RAMRISに準じてスコア化.
・CMC-1(carpometacarpal) は除外.
・MRIにて関節炎所見ありは, 以下で定義.
 1) 2名の臨床所見Blindの読影者が炎症ありと判断
 2) スコアが同年齢の健常者の95%信頼区間を超える.

参考: OMERACT RAMRISによる評価
(Ann Rheum Dis 2005;64 (Suppl 1):i3–7.)

母集団のデータ


アウトカム
・150例中1例が痛風を発症したため除外.
 149例を75週間[41-106]フォローし, 臨床的関節炎を発症したのは30例.
 そのうち23例がRAと診断, 6例が分類不能関節炎, 1例が乾癬性関節炎
・発症までの期間は7週間で, 20週以内に87%が関節炎を発症.

発症のリスク因子:
・小+大関節痛, CRP高値, ACPA陽性, MRIで炎症所見ありは有意なリスク因子となる.

CSAにおけるACPA, MRIの症候性関節炎進展に対する感度, 特異度
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RAっぽいけど, 痛みだけ. という人はたまに目にします.
そのような患者群から症候性の関節炎, RAとなるのは30/150 (20%)
 その大半が半年以内に進行する.

MRIとACPAは同等の関節炎進行予測因子.
しっかり予測するならば造影MRIもやるべきでしょうが, 半年〜1年程度フォローするのでもよいのでは? とかも思ってしまう.