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2015年6月2日火曜日

Central paroxysmal positional nystagmus

CPPN: Central paroxysmal positional nystagmus
BPPVと同じような頭位変換性にめまいや眼振が認められ、安静により改善するが、中枢性病変が原因となるものをCPPNと呼ぶ。

CPPNの眼振は3パターンある。
  •  Supine roll testにより反重力方向の眼振を生じるパターン
  •  頸部の進展(座位→仰臥位)で下方向性眼振パターン
  •  頸部の屈曲(仰臥位→座位)で上方向性眼振パターン
この3パターンが全て認められることが多いが、特に座位、臥位の頭位変換による垂直性眼振は高頻度で認められる。

CPPN 17例の解析より (
Neurology® 2015;84:2238–2246 )
 垂直方向の眼振の陽性率は高い
 反重力方向は認めない例が4例。
 原因は半数が脳梗塞。他は脳腫瘍や出血、抗てんかん薬、MSAなど

病変部位

 小脳虫部を含む病変でCPPNを生じる
 
BPPVの病歴で、Supine-rollを行い、反重力方向ならば水平半規管のBPPV、と短絡的に結びつけるのも落とし穴があるということ。
この場合は座位、臥位の変換もする必要がありそう

2015年6月1日月曜日

正常圧水頭症に対する腰髄腹腔シャント

正常圧水頭症に対する治療、といえば脳室腹腔シャント(VPシャント)、、、と思っていました。

(World Neurosurg. (2015) 83, 3:387-393.)

LPシャント(腰髄腹腔シャント)が年々増加し、国内では2011年に特発性正常圧水頭症に対する治療としてLPシャントがVPシャントの件数が上回っていた。

脳室を穿刺する必要がなく、脳室内、脳内血腫のリスクが少ない点、また「頭をいじらない」ということで高齢者でも手術に同意してくれる人が多い、というのが一番の利点となる。

効果について、国内よりRCTが発表されました。

SINPHONI-2 trial: 60-85歳のiNPH症例を対象としたRCT
 歩行障害, 認知障害, 排尿障害の1つ以上の症状を認め画像上NPHを示唆する症例(Evans index >0.3, DESH)
 早期にLPシャント施行群 vs 経過観察群に割つけ, 比較
 経過観察群は3ヶ月フォローし, その後LPシャントを施行.

アウトカム
 LPシャント群で有意に神経所見、機能の改善が認められる。
 ちなみに3ヶ月後に経過観察群もLPシャントを施行し、12ヶ月後の比較では両群で有意差は無し。

正直知りませんでした。NPHはよく診断しますので、患者説明で押さえておかねばならないところです。

デスモテプラーゼ

プラスミノーゲンアクチベーターで、フィブリンに特異的に作用する新薬デスモテプラーゼ。
南米に生息するチスイコウモリの唾液に含まれるものをベースで作成されたらしい、というのはさて置いて、フィブリンに特異的に作用するため、脳出血リスクが低いのが良い点。

DIAS-3 trial; Lancet Neurol 2015: 14: 575–84 
発症3−9時間の脳梗塞(NIHSS 4−24)のうちACA, MCA(M1,2), PCAの閉塞を認める患者492例を対象としたDB−RCT. Desmoteplase 90µg/kg vs Placeboに割つけ比較
 治療開始後12−24hでのCT, MRIで梗塞巣, 出血, 再灌流を評価
 90日後の神経予後良好群(mRS 0-2)を比較.

アウトカム
 90日mRS 0−2は両者有意差なし
 NHISS≥8の改善も有意差なし
 再灌流も有意差なし
 発症≤7hならば有意に投薬群で神経学的予後良好が多い
 脳出血リスクはPlaceboと同等

発症3−9時間の脳梗塞で使用しても脳出血はプラセボと有意差なし、という点が魅力的。
神経予後は有意差ないものの、≤7hでは有意に神経予後は改善する可能性がある。

アルテプラーゼよりも適応が広がる可能性があり、血管内治療に向かない患者では良い選択となるのかもしれない。
日本人を対象とした治験 DIAS-J(Safety and Tolerability of Two Doses of Desmoteplase in Japanese Patients with Acute Ischemic Stroke)も行われており、そのうち国内でも承認されると思われる。

出血リスクが少ないt−PA、もしかすると適応時間も拡大するかも。

2015年5月29日金曜日

ワーファリンかNOACか

心房細動において、抗凝固療法は重要 (参考 心房細動に対する抗凝固薬)

新規経口抗凝固薬(NOAC)は塞栓症予防効果はワーファリンと同等で、出血リスクは低下する利点がある。ただし消化管出血リスク軽減効果はない。
薬剤
塞栓症
重大出血
消化管出血
ダビガトラン 150mg bid
0.66[0.53-0.82]
0.93[0.81-1.08]
1.50[1.20-1.89]
ダビガトラン 110mg bid
0.91[0.74-1.12]
0.80[0.69-0.93]
1.11[0.87-1.42]
リバロキサバン 20mg
0.88[0.74-1.04]
1.03[0.89-1.19]
1.46[1.20-1.79]
アピキサバン 5mg bid
0.78[0.65-0.94]
0.69[0.60-0.80]
0.88[0.68-1.79]
エドキサバン 60mg
0.87[0.74-1.02]
0.79[0.69-0.90]
0.88[0.68-1.14]
エドキサバン 30mg
1.14[0.98-1.32]
0.46[0.40-0.54]
1.22[1.01-1.48]
BMJ Open 2014;4:e004301.  2015 May;47(5):429-31. 
他にはNOACは動態が安定しており、INRフォローを必要としない利点もある、が費用は高い。

Bioavailability
腎排泄率
蛋白結合率
半減期
投与量
減量基準
禁忌
術前中止時期
費用(/日)
ダビガトラン
(プラザキサ®)
6%
80%
35%
12-17h
150mg 2回/日
110mg 2回/日
CCr 30-50, ベラパミル, アミオダロン併用, 70歳以上, 消化管出血既往
CCr30, ITCZ併用時は禁忌
24−48h前
CCr 50-80では36-72h
CCr 30-50では48-96h
545.6円
478.6円
リバロキサバン
(イグザレルト®)
100%
30-40%
90%
5-9h
15mg 1回/日
10mg 1回/日
CCr 15−49
CCr15, 中等度肝障害, 感染性心内膜炎, アゾール系, 抗HIV薬併用
24-48h前
CCr 15−30では36−48h
545.6円
383円
アピキサバン
(エリキュース®)
50%
27%
87%
12h
5mg 2回/日
2.5mg 2回/日
80歳以上, 体重60kg以下, Cr1.5のうち2つ以上
CCr15
24-48h前
CCr 15−30では36−48h
545.6円
298円
エドキサバン
(リクシアナ®)
50%
35%
55%
9-11h
60mg 1回/日
30mg 1回/日
80歳以上, CCr 30−50
CCr30, 感染性心内膜炎
不明
758.1円
748.1円
ワーファリン

55-133h
INRで調節


5日前
28.8円/1mg

ワーファリンを用いる場合、>70%の時間でINRを目標域とすることが望まれる。
 ただし、ワーファリンを常にモニタリングすることも困難であり、NOACと異なり併用薬や患者の状態で血中濃度も変化してしまう。
 
ワーファリンでもNOACと同様に安定したコントロールが可能な患者群もおり、それを評価するスコアをSAME-TT2R2スコアと呼ぶ
(The American Journal of Medicine (2014) 127, 1083-1088 )

SAME-TT2R2スコア
スコア0−1ならばワーファリンでも安定した治療目標域維持が可能な可能性が高い.
≥2ptではワーファリンによるコントロールでは変動が大きく, 治療域維持が困難である可能性が増加する.

non-valvular Afでワーファリン使用中, INR 2.0−3.0を6M維持している972例においてSAMe-TT2R2 score別のアウトカムを比較 (The American Journal of Medicine (2014) 127, 1083-1088 )
 治療域達成時間の比較

 どの群も70%を超えているが, Scoreが高いほど達成率も低下する
 スコアが上昇するほど出血リスクも増加
 特に≥4では出血リスク上昇を認める

( 2015 May 19;313(19):1950-62.) のReviewでは
SAME-TT2R2スコア 0−2ならばワーファリンで
 >2ならばNOACで治療することが推奨されている。

日本人の時点で2点となってしまうものの、
SAMe-TT2R2スコアのオリジナルでは、人種は”マイノリティー”となっている。
(Chest. 2013 Nov;144(5):1555-63.)
確かに日本人ではワーファリン量が少なくてもINRが伸びやすいため、慣れている、慣れていないという点はコントロールに関与する。
我々が日本人を相手にワーファリンを使用する場合は、2点は無視してもよいのかもしれない、となるとSAMe-TT2R2スコアは有用かも。

2015年5月21日木曜日

腹腔内感染症の抗生剤は感染巣コントロールがついていれば5日間程度でOK

(N Engl J Med 2015;372:1996-2005.)
複雑性腹腔内感染症で感染巣コントロールがついた518例を対象としたRCT.
 解熱, 白血球増多(<11000/µL), イレウス改善後2日間(最大10日間)の抗生剤投与群
  vs. 4±1日間の抗生剤投与群に割つけ, 比較.
 アウトカムは30日以内の再発, 創部感染, 死亡リスク.

母集団
アウトカム
 抗生剤投与期間が5日程度でも創部感染症, 再発, 死亡リスクは両群で変わらず.
 感染巣のコントロールがやはり超重要。

2015年5月15日金曜日

セフトロザン/タゾバクタム

そのうち発売されると思われます、新しい抗生剤
第四世代セフェム + βラクタマーゼ阻害薬の合剤であるCeftolozane-tazobactamの2つのRCT.

ASPECT−cIAI (Clinical Infectious Diseases® 2015;60(10):1462–71 )
複雑性腹腔内感染症で入院中の患者993例を対象としたDB−RCT(非劣性試験).
 複雑性腹腔内感染症で腹腔ドレナージ, 開腹手術を24h以内に施行している患者群を対象

 ceftolozane/tazobactam(1.5g) + metronidazole(500mg) q8h投与群とMeropenem(1g) q8h投与群に割り付け, 4−14日間継続.

患者群の診断は以下のとおり

アウトカム
 両者で臨床的治癒, 細菌学的治癒に有意差無し.

ASPECT−cUTI (Lancet 2015; 385: 1949–56 )
複雑性下部尿路感染症, 腎盂腎炎 1083例に対してLVFXと効果を比較したDB−RCT(非劣性試験)
 ceftolozane-tazobactam 1.5g q8h vs LVFX 750mg/dを7日間継続
患者群
アウトカム

治癒率は76.9% vs 68.4%とLVFXよりもceftolozane/tazobactamの方が有意に良好であった

菌種別の評価を見ると
 腸内細菌群では有意にceftolozane/tazobactamで治癒率は良好。特にESBL産生株やProteusなどで差がついている。
 非ESBL産生の腸内細菌群でも10%近い差がついているが、LVFX耐性の腸内細菌群が増加しているのは実感としてもある(外来における濫用のせいであろう)。

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というわけで、
新薬はLVFXよりも効果的で、メロペンと同じくらいで、、、、という売り文句となるのだろうか。。。

比較するならPIPC/TAZだろうがっ、と心の中で思いつつ、
僕はそんな状況ならばやはりPIPC/TAZか、もしくはグラム染色をしつつ、あえてNarrowでいきながら調節するのでしょうね。
 

2015年5月6日水曜日

ピロリ除菌のレジメに整腸剤は入れておくべし

H. pylori除菌を行う患者804例を対象としたDB−RCT (Medicine 94(17):e685)
 通常の治療 + 整腸剤を併用 vs Placeboに割り付け14日間継続. 治療に伴う消化管症状, 除菌成功率を比較.
 整腸剤はLactobacillus rhamnosus GG(LGG), Bifidobacterium(BB-12)を108−1010含有したカプセルを、抗生剤使用の2時間前〜使用後のいずれかのタイミングで1日2回投与。

アウトカム: 追跡率は80%.
 除菌成功率は整腸剤併用群で87.4%[84.3-90.2] vs 72.6%[69.7−75.8], OR 2.62[1.71-4.02], NNT 7[5-12]と有意に整腸剤使用群で良好.

抗生剤に由来する症状リスクは
 有意に整腸剤併用群で少ない結果.
LactobacillusはミヤBM®, ビオスリー®, ビオラクチス®
Bifidobacteriumはラックビー®, ビオフェルミン®, ビオスミン®, レベニン®に含有。
LGGはヨーグルトだけ。

どれを使うかは迷いますが、整腸剤の併用はこれから増やそうとおもいます。