新規経口抗凝固薬(NOAC)は塞栓症予防効果はワーファリンと同等で、出血リスクは低下する利点がある。ただし消化管出血リスク軽減効果はない。
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薬剤 | 
塞栓症 | 
重大出血 | 
消化管出血 | 
| 
ダビガトラン 150mg bid | 
0.66[0.53-0.82] | 
0.93[0.81-1.08] | 
1.50[1.20-1.89] | 
| 
ダビガトラン 110mg bid | 
0.91[0.74-1.12] | 
0.80[0.69-0.93] | 
1.11[0.87-1.42] | 
| 
リバロキサバン 20mg | 
0.88[0.74-1.04] | 
1.03[0.89-1.19] | 
1.46[1.20-1.79] | 
| 
アピキサバン 5mg bid | 
0.78[0.65-0.94] | 
0.69[0.60-0.80] | 
0.88[0.68-1.79] | 
| 
エドキサバン 60mg | 
0.87[0.74-1.02] | 
0.79[0.69-0.90] | 
0.88[0.68-1.14] | 
| 
エドキサバン 30mg | 
1.14[0.98-1.32] | 
0.46[0.40-0.54] | 
1.22[1.01-1.48] | 
BMJ Open 2014;4:e004301. Dig Liver Dis. 2015 May;47(5):429-31. 
他にはNOACは動態が安定しており、INRフォローを必要としない利点もある、が費用は高い。| 
Bioavailability 腎排泄率 蛋白結合率 | 
半減期 | 
投与量 | 
減量基準 | 
禁忌 | 
術前中止時期 | 
費用(/日) | |
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ダビガトラン (プラザキサ®) | 
6% 80% 35% | 
12-17h | 
150mg 2回/日 110mg 2回/日 | 
CCr 30-50, ベラパミル, アミオダロン併用, 70歳以上, 消化管出血既往 | 
CCr≤30, ITCZ併用時は禁忌 | 
24−48h前 CCr 50-80では36-72h CCr 30-50では48-96h | 
545.6円 478.6円 | 
| 
リバロキサバン (イグザレルト®) | 
100% 30-40% ≥90% | 
5-9h | 
15mg 1回/日 10mg 1回/日 | 
CCr 15−49 | 
CCr≤15, 中等度肝障害, 感染性心内膜炎, アゾール系, 抗HIV薬併用 | 
24-48h前 CCr 15−30では36−48h | 
545.6円 383円 | 
| 
アピキサバン (エリキュース®) | 
50% 27% 87% | 
12h | 
5mg 2回/日 2.5mg 2回/日 | 
80歳以上, 体重60kg以下, Cr≥1.5のうち2つ以上 | 
CCr≤15 | 
24-48h前 CCr 15−30では36−48h | 
545.6円 298円 | 
| 
エドキサバン (リクシアナ®) | 
50% 35% 55% | 
9-11h | 
60mg 1回/日 30mg 1回/日 | 
80歳以上, CCr 30−50 | 
CCr≤30, 感染性心内膜炎 | 
不明 | 
758.1円 748.1円 | 
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ワーファリン | 
55-133h | 
INRで調節 | 
5日前 | 
28.8円/1mg | 
ワーファリンを用いる場合、>70%の時間でINRを目標域とすることが望まれる。
ただし、ワーファリンを常にモニタリングすることも困難であり、NOACと異なり併用薬や患者の状態で血中濃度も変化してしまう。
ワーファリンでもNOACと同様に安定したコントロールが可能な患者群もおり、それを評価するスコアをSAME-TT2R2スコアと呼ぶ
(The American Journal of Medicine (2014) 127, 1083-1088 )
SAME-TT2R2スコア
スコア0−1ならばワーファリンでも安定した治療目標域維持が可能な可能性が高い.
≥2ptではワーファリンによるコントロールでは変動が大きく, 治療域維持が困難である可能性が増加する.
non-valvular Afでワーファリン使用中, INR 2.0−3.0を6M維持している972例においてSAMe-TT2R2 score別のアウトカムを比較 (The American Journal of Medicine (2014) 127, 1083-1088 )
 治療域達成時間の比較
 どの群も70%を超えているが, Scoreが高いほど達成率も低下する
 スコアが上昇するほど出血リスクも増加
特に≥4では出血リスク上昇を認める
特に≥4では出血リスク上昇を認める
SAME-TT2R2スコア 0−2ならばワーファリンで
 >2ならばNOACで治療することが推奨されている。
日本人の時点で2点となってしまうものの、
SAMe-TT2R2スコアのオリジナルでは、人種は”マイノリティー”となっている。
SAMe-TT2R2スコアのオリジナルでは、人種は”マイノリティー”となっている。
(Chest. 2013 Nov;144(5):1555-63.)
確かに日本人ではワーファリン量が少なくてもINRが伸びやすいため、慣れている、慣れていないという点はコントロールに関与する。
我々が日本人を相手にワーファリンを使用する場合は、2点は無視してもよいのかもしれない、となるとSAMe-TT2R2スコアは有用かも。
確かに日本人ではワーファリン量が少なくてもINRが伸びやすいため、慣れている、慣れていないという点はコントロールに関与する。
我々が日本人を相手にワーファリンを使用する場合は、2点は無視してもよいのかもしれない、となるとSAMe-TT2R2スコアは有用かも。



