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2022年8月5日金曜日

リウマチ性多発筋痛症(PMR)と胸鎖関節炎

最近胸鎖関節炎をよく診療する, というかよく気づく.

PMRという診断で治療されたが難治性であり, 紹介. → PMRらしさがなく, 胸鎖関節の炎症所見や症状が強く, 治療に難渋した結果, 最終的にADAで治療し改善した症例. 見込み的にはSpAに近い.

掌蹠膿疱症+手指の疼痛で, 胸鎖関節にも圧痛があり → これはPAO/SAPHO

PMRの経過で, 所見もPMR. 画像で胸鎖関節の軟部組織が腫脹. エコーで関節炎 +


こんな感じのプレゼンでおおいですが, 過去を思い起こすと, 化膿性関節炎, 淋菌, CRMOなど

色々な疾患が思い起こされる.


とくにここ数ヶ月, ちょっと胸鎖関節には注目している. 

それは, PMRで意識すると結構いるな, という感覚から.

症状はあまり訴えない. 圧痛も, 運動時も前胸部の痛みはないことが多いが,

エコーやCTをよく見ると胸鎖関節炎がある.


そこでちょっと論文を探ってみた.

臨床的には無症候なので、あまりデータはなさそう. というか無い.

なので, PMR症例でのPET/CTを評価した論文を漁ってみた.

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PMRに対するTCZ治療を前向きに評価したTENOR trialより

(Eur J Nucl Med Mol Imaging (2016) 43:773–779)

胸鎖関節の集積異常は72%と多い.


PMRでPET/CTが評価された15例;

(Radiol Oncol 2017; 51(1): 8-14.)

・関節は肩周囲が15/15, 股関節周囲が15/15, 胸鎖関節周囲が14/15と高頻度

・関節外は, 坐骨結節滑液包(Ischiogluteal bursa)が14例.


関節炎でPET/CTを評価された60例(内14例がPMR)の集積部位

(Annals of Nuclear Medicine (2018) 32:573–577)

PMRの88%で胸鎖関節への集積があり, 他疾患よりも有意に多い.


2017年のReviewにおけるPMRの集積部位: 

(Br J Radiol 2017; 90: 20170198. )

胸鎖関節への集積は43-93%


PMRに対するPET/CT所見を評価した2021年のMeta-analysis

・PMRの診断に関連する所見, 集積部位は
 

 股関節, 大転子, 棘突起間滑液包, 坐骨結節,
 

 肩, そして胸鎖関節(LR 2.3)


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実臨床の感覚も合わせると, PMRというのは, 

「胸鎖関節炎を認めることが多い疾患だが, 臨床症状として同部位の痛みを訴えることが少ない」

しばしば胸腹部CTでうつった胸鎖関節や, エコーで意識的に評価した場合, 胸鎖関節の軟部組織の肥厚やPD亢進が拾える.

棘突起間滑液包の炎症や, 肩周囲の滑液包炎とともに, 「PMRらしさ」を拾い上げる一つのヒントとして日常診療で意識している.