腎機能保持作用が期待されていた.
以前の記載:
http://hospitalist-gim.blogspot.com/2015/11/blog-post_25.html
その後さらに規模の大きいStudyがいくつか発表されたため紹介
FEATHER Study: Stage 3のCKDで, 無症候性の高尿酸血症がある467例を対象としたDB-RCT
(Am J Kidney Dis. 72(6): 798-810.)
・患者は20歳以上のstage 3 CKDで, UA 7-10mg/dLを満たす群
痛風の既往なし.
・コントロール不良のDMやsBP≥160mmHg, dBP≥100mmHg, 肝酵素>2ULN, 腎機能不安定な患者は除外.
上記患者群をFebuxostat vs Placeboに割り付け, 108wk継続.
・腎機能をフォローした.
・Febuxostatは10mgより開始し, 1ヶ月継続, その後20mg/dを1ヶ月, 以後40mg/dを継続.
母集団
アウトカム
・eGFRは有意差はないが, Febuxostatで維持する傾向がある.
FREED trial: 心血管イベントリスクがある高齢の高UA血症(7.0-9.0mg/dL)患者を対象としたopen-label RCT(国内).
(European Heart Journal (2019) 40, 1778–1786)
・患者は65歳以上のUA 7.0-9.0mg/dLを満たす群で, 且つ以下の1項目以上を満たす群;
高血圧症, 2型DM, 腎疾患(eGFR 30-60mL/min/1.73m2), 脳・心血管疾患既往
・上記患者群をFebuxostat群 vs Placebo群に割付け, 36ヶ月継続.
・心血管イベントリスクを比較した.
母集団
アウトカム
・腎障害リスクは有意にFebuxostat群で低下を認める.
・内容は,
微量アルブミン尿, 軽度の蛋白尿出現: 12.3% vs 13.5%
顕在性アルブミン尿, 高度の蛋白尿: 2.2% vs 4.4%
顕在性アルブミン尿の増悪: 0.6% vs 2.1%
Cr値が2倍: 1.1% vs 0.8%
ESRDへの進行: 0% vs 0%
であり, アルブミン尿の増悪リスクが低下する結果
(微量アルブミン尿 30-300mg/g・Cr 顕在性アルブミン尿 ≥300mg/g・Cr
軽度の蛋白尿 0.15-0.50g/g・Cr 高度の蛋白尿 ≥0.50g/g・Cr)
CKD-FIX: 痛風発作歴のないStage 3-4のCKDで, 腎機能増悪リスクがある患者群を対象としたRCT.
(N Engl J Med 2020;382:2504-13.)
・腎機能増悪リスク:
U-Alb/Cr ≥265mg/g CrもしくはeGFRが1年間で3.0mL/min/1.73m2以上低下した群
・上記を満たす患者群を, Allopurinol(100-300mg/d) vs Placeboに割り付け104wk(2年間)継続. eGFRの変化をフォローした.
・Allopurinolは100mgより開始し, 初期の12wkで増量.
血清UA値には規定はなく, 投与量調節においてもUA値を基準に調節することは禁止した
・母集団のUAは8.2±1.8mg/dL程度
Studyは目標のN=620に満たない, N=369の時点で終了
・終了の理由は導入に時間がかかりすぎたため.
アウトカム
・eGFRの低下(30%以上の低下)は両者で有意差なし
・U-Alb/Cr比も両者で同等
副作用の比較: 両者で同等
------------------------------
痛風既往のないCKD患者への尿酸降下薬の使用については,
一部アルブミン尿の増悪を抑制する報告はあるものの, eGFR低下の予防や死亡リスクを改善させる効果は乏しい.
〜2018年までのフェブキソスタットのCKD症例に対する効果を評価したMetaでは,
Stage 3-4を含むStudyにおいて, 有意にeGFR維持効果が期待される結果(Medicine (2019) 98:29(e16311))があるが, 2019-2020年の報告を加味すると, それも微妙かもしれない.
また関連した報告として,
痛風患者に対するAllopurinol ≥300mg/dの使用は, CKD予防効果が認められる
・Propensity score-matched analysis, 5-6年の経過において, Stage 3以上のCKDは有意に減少(NNT 100程度) (JAMA Intern Med. 2018;178(11):1526-1533. )
といった報告はある