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2019年5月22日水曜日

NPHとパーキンソン病

80歳代男性. 主訴 体動困難.
 他病院でパーキンソン病(PD)と診断され, 加療されている患者.
 徐々に進行する体動困難があり, 3日前より動けなくなったとのことで救急要請された.

 診察の結果, 感染症や脳梗塞, 脱水といった急性疾患は否定され,
 頭部CTでは正常圧水頭症に典型的な所見(DESH)が認められた.

 身体所見では, 安静時振戦は認められない, 左>右の歯車様固縮+程度.
 入院後, 歩行させると左右足は肩幅程度に開き, 小刻み, すり足歩行.

あれ? これってPDよりはiNPHでは?
そもそもPDとiNPHってどのような違いがあるのだろうか?
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iNPHとパーキンソン病の症候は類似しており, しばしば鑑別に苦労する.

Tap testに反応したiNPH 55例を前向きに評価した報告
(J Clin Neurol 2016;12(4):452-459)
・パーキンソン症状は高頻度で認められ左右非対称性のパーキンソン症状は32(58.2%)で認めた
・”Tap testに反応するパーキンソニズム” と記載している論文もある

PDとiNPHの比較
(Nat. Rev. Neurol. 6, 52–56 (2010); doi:10.1038/nrneurol.2009.195 )

歩行様式のシェーマ
(日内会誌 2011;100:3640−3648)

iPNHPDの歩行障害を比較した報告
(J Neural Transm (Vienna). 2013 Aug;120(8):1201-7. )
・iNPH 35, PD 40, Control 30例において歩行障害を評価
 NPHprobable NPHで定義
・歩行は10m歩行試験を行い, 以下の項目を評価
 ・歩行速度(GV): sec/10mで計算
 ・歩幅(SL): 10m/歩数で計算
 ・Cadence(SC): 歩数/時間(10m歩行における秒数)
姿勢反射はShoulder tug test(STT)で評価(肩を後方に押して評価する)
 ・1歩も出さずに維持可能(0),
 ・1歩出すが安定(1)
 ・>1歩必要だが, 安全(2), 
 ・数歩必要で注意が必要(3)
 ・1歩も出ずに転倒(4)

また歩行様式: Frantal gait(FG), Sub-cortical hypokinetic gait(SHG)も評価
 ・FG: バランス障害, 前頭葉症状(マイヤーソン徴候, 口尖らせ反射, 把握反射), 下肢失行, 体幹や下肢の強直
 ・SHG: 緩徐な歩行で, 手がかりにより改善する歩行. 加速歩行, すくみ足歩行, turn enbloc(小刻みにターンする), パーキンソン症状(動作緩慢, 強直, 振戦), すり足
 ・歩幅の狭小化, 姿勢反射障害, すくみ足は双方で認めてよい
  基本的にPD患者ではSHG, NHP患者ではFG様症状が認められる.

アウトカム: 歩行様式
FGの要素はNPHで多いがSCHの要素は双方で多く認められる.

歩行速度, 歩幅など
歩行速度はNPHが最も遅い
 Cadenceは変わらないが歩幅が狭いため, 遅くなる
・姿勢反射も最もNPHで障害される

NPHPD症例において, 姿勢不安定性を評価
(Clinical Neurology and Neurosurgery 165 (2018) 103–107)
・iNPH 27, PD 20, Control 20例において, TUG試験と立位静止時の重心, 傾けた際の重心位置を評価.
・iNPHは国際Guidelineに準じて評価(probable iNPH).
重心位置の評価は図のような装置を使用
 足は踵間を10cmで固定し, 30秒間の重心位置を記録.
 前後左右に10秒間もしくは耐えられる時間傾けてその間の重心も記録

アウトカム
TUGPD, iNPH双方で同等.
静止時の重心の変動はPD, iNPHで大きい.
 前後の傾きではPD, iNPHで差はないが左右の傾きではiNPHでより重心変動が大きい

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改善する可能性がある認知症, 歩行障害, パーキンソン症状としてNPHは重要な鑑別.
NPHの関連を示唆する情報としてはWide basedの歩行であること, Frontal gait様の特徴を有する点があげられる
姿勢反射はPDでは前後方向が障害されるが, NPHでは前後左右で障害されるため, 身体診察では左右の評価も重要かもしれない.
また, L-dopa試験も鑑別に有用との報告もある.
両者の合併も可能性としてはあるため, どちらの要素が強いか, それによりTap testの適応も検討する必要がある.

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