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2019年5月31日金曜日

CVカテーテルとA lineのフラッシュは生食?ヘパリン?

ふと気になり最新のReviewをチェック.

コクランより2018年にCVカテーテルのフラッシュに関してMetaがありました.


CVカテーテルにおけるフラッシュ

ヘパリン vs NSフラッシュを比較したMeta(Cochrane)
(Cochrane Database of Systematic Reviews 2018, Issue 7. Art. No.: CD008462.DOI: 10.1002/14651858.CD008462.pub3.)
・CVCのフラッシュとしてヘパリンを用いる群とNSを用いる群で比較した11 RCTsMeta(N=2392)
ヘパリンの濃度は様々で10-5000IU/mL

アウトカム;
閉塞リスクはヘパリン群で有意に低い: RR 0.70[0.51-0.95]
 ただし, NNTBは42[32-250], Quality of the EvidenceはVery low.
・CVCの開存期間は有意差なし: MD 0.44d[-0.10~0.99]
 CVC関連敗血症 RR 0.74[0.03-19.54]
 死亡リスク RR 0.76[0.44-1.31]
 出血リスク RR 1.32[0.57-3.07]
 HITリスク RR 0.21[0.01-4.27]



2017年のMeta-analysisでは,
・ヘパリンフラッシュは<30日の短期留置群において有意な開存維持効果が得られる: RR 1.52[1.02-2.27]
・全体の評価, >30日の長期留置群では有意差は認めない.
・HITリスク上昇も無し
(Critical Care (2017) 21:5)


A-lineにおけるフラッシュ

1951-2012年に発表された10論文のReview.
(JVascAccess 2014;15(2): 123-127)
・ヘパリンの濃度は1-5U/mLと様々
 フラッシュも間欠的〜持続様々
 間欠的では8h毎が多い.

アウトカム
48h以上の長期間のA-line開存率はヘパリン群で良好.
ヘパリンフラッシュ群で, HITの報告は無し.

同じく2014年発表のCochraneでは,
ヘパリンフラッシュとNSを比較した7 RCTs(N=606)を解析したところ
Studyの背景, 統計的な不均一があり, Metaができない結果であった.

Studyのまとめ
・これら報告の結果をみると,
 両群で同等〜ややヘパリンで開存期間が延長する結果が多い.
 とはいえその差は数時間〜1日程度.

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CVCやA-lineのフラッシュについてはヘパリンを用いたほうが, 長期的な閉塞リスクは低下する可能性がある. ただし, Evidenceレベルは低い点から, 必ずしもそうせねばならないわけではない. 
実際論文の執筆者は, 「ルーチンのヘパリン使用を推奨しない」、と結論しているものがほとんど.

また, HIT(ヘパリン誘発性血小板減少症)はヘパリンフラッシュでも生じるよ, とよく言われているが, これら報告におけるHITの発症率は著しく低く, 両群で差はつかない.
症例報告レベルでは, ヘパリンフラッシュにより重度のHITを生じた報告もあるが, 非常に稀である, と認識しておいてもよいと思う.