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2018年1月6日土曜日

腎盂腎炎における画像検査のタイミング

NEJMより急性腎盂腎炎のReviewがでました.
(N Engl J Med 2018;378:48-59.)

その論文のフローチャート

腎盂腎炎では, 治療開始後2-3日経過して改善が乏しい場合は複雑性や膿瘍形成などを疑い、抗菌薬の再考、腎画像評価を行うということはよく言われています.

このReviewでは初期の段階で, eGFR≤40ml/min, 尿路結石の既往, 尿pH≥7.0ではUSやCTなどの画像評価を行うべきとしているところが新しいと思いました.

その根拠論文を調べてみます.

オーストリアの8施設のERにおける前向きStudy.
(Clinical Infectious Diseases 2010;51(11):1266–1272 )
・有熱性UTI症例において腹部USCTで腎異常所見を認めるリスク因子を5施設のデータで評価. 残り3施設のデータでValidaitonを施行した.
腎所見は “Urgent urological disorder”(膿腎症, 腎膿瘍など), ”nonurgent urologic disorder” “normal”, “Indicental nonuurological findings”で評価した.
 前者2つを臨床的有意な画像所見と定義する

患者群は18歳以上で, 24時間以内の発熱, UTI症状を認め, 尿検査にて膿尿を認める患者群
除外項目は尿路結石や水腎症の治療を現在している群, 妊婦, FQアレルギーがある患者, 透析患者, 腎移植後の患者, 多嚢胞腎の患者

Derivation cohortでは346例のUTI症例を評価
このうち245例で初期に画像検査が施行された.


臨床的に有意な腎画像異常を認めるリスク因子は腎結石の既往, 尿pH≥7.0, eGFR≤40mL/min3項目.
上記のいずれかを認める場合はUSCTを考慮する

・3項目どれも満たさなければ画像所見で処置が必要となる所見を得られる可能性は低い.
 どれか認める場合は注意した方が良い
 ただし, LRで見るとそこまで強い因子でもないか(ValidationでLR+1.5, LR-0.7)

他の報告では,
市中の急性腎盂腎炎症例における尿路形態異常のリスクを評価
(Infect Chemother 2017;49(1):22-30)
・形態異常で処置が必要となるのは
 CT撮影群の4%
 US評価群の2.8%のみと少ない.
形態異常を認めるリスク因子
 Pittスコア≥1
 鼠径部痛
 BUN≥20mg/dLもしくはCr≥2.0mg/dL の3項目

Pittスコア


4点
2点
1点
0点
体温

35度, 40度

35.2-36.0,
39.0-39.9
36.1-38.9度
急性の低血圧

sBP>30,
dBP>20の低下


人工呼吸器

あり


心不全
あり



意識
昏睡
意識朦朧
混乱
清明

画像所見
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UTIでバイタルが崩れている場合や腎不全が進行している場合は画像評価を行うほうがよいかもしれない.
他の補足項目としてアルカリ尿, 鼠径部痛, 尿路結石既往がある場合注意したほうが良いという感じ.
とはいえ, クリアカットに分けられるほどのパワーはない.

これら要素があれば少なくともエコーで水腎や膿瘍チェックはしておいた方が良い, という認識がよいか.
何でもかんでもCT、ってのも, 総合診療医としてはどうかと思ってしまう.

個人的にはERでみたUTIではエコーで腎臓はチェックしています. エコーがすぐに使えるので.
問題は外来や, 前日夜間入院を引き継いだ場合でエコーがすぐに使えない場合で, その時にはこのような要素を考慮しようと思います.

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