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2013年10月31日木曜日

多発外傷患者における骨折評価目的のエコーは不向きかもしれない

エコーによる骨折評価や脱臼評価は高感度, 特異度であり, 有用という報告は多い


ということは多発外傷における骨折のエコー評価も有用なのか?
American Journal of Emergency Medicine 31 (2013) 15831585
多発外傷で搬送された80例において, 骨折目的のUS評価の感度, 特異度を評価.
18歳以上の多発外傷患者で, 以下は除外.
 Vital sign不安定ですぐに手術室へ搬送される患者,
 意識障害で疼痛部位を説明できない患者,
 明らかな骨折を示唆する変形がある場合, 
 開放損傷例,
 2肢以上の骨折がある場合.

エコーは10-15Hzで疼痛部位を評価し, 骨折を判断.

骨折に対する感度, 特異度は

感度55-75%, 特異度 62.5-84%と低い.
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多発外傷例では時間の関係や状態の関係, ボード固定の関係であまり念入りに1箇所を評価できない.
そのような環境ではエコーによる骨折評価は難しく, それにあまり時間をとってもしょうがないとも考えられる.

やはりエコーは軽症外傷で、限局した部位で、比較的時間をとれる状況でこそ効果を発揮できるのかもしれない.

多発外傷でのエコーはFASTと気胸評価と心臓評価がキモですね.