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2013年10月29日火曜日

腎結石とUTIの合併時の膿尿の感度, 特異度

症例; 61歳女性
昨日からの左背部痛が出現したが我慢していた.
背部痛は急激に発症し, 左背部から移動していない. 重い感じの痛みで, 程度には波があった.本日朝7:30頃に嘔吐, 悪寒戦慄, 腹痛が出現したため, 来院.

既往歴; DM, HL, 膀胱炎は数回. 尿路結石の既往無し
内服薬; ビグアナイド, SU剤, スタチン
その他; 造影剤Shock

身体所見; BT 36.9, BP 141/72, HR 100
胸部所見(-), 腹部所見(-), 左CVA叩打痛(+)

腹部エコー所見
 左水腎症(+), 尿管膀胱移行部に6.2mmのHigh Echo(+)

血液検査
 WBC 3500 Neu 74%, Ly 24.7% Hg 12.5 PLT 19マン
 AST/ALT 30/50 BUN/Cr 14.7/0.8 Na/K/Cl 140/4.1/108 CRP 1.44
尿検査
 pH 6.5, Pro 3+, Glu +, BLD +, WBC (-), SG 1.020, WBC 1-4/HPF, RBC 1-4/HPF

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これは実際の症例です
一見尿管結石と思いがちですが, 悪寒戦慄の病歴があり, UTI合併を疑いました.
事実, この30分後にはショックバイタルとなり, 体温は40度まで上昇.
緊急尿管ドレナージを行い, 多量の膿の様な尿がドレナージされました.

尿中WBCが陰性である点が判断に迷った点ですが,
これに関して前向きのStudyがでていましたので紹介します.

(Ann Emerg Med. 2013;62:526-533)
急性腎結石で受診した患者群のProspective study.
360名が受診し, その内UTI合併例が28例(7.8%)であった.
尿検査のUTIに対する感度, 特異度を評価.


尿中WBCの評価では, WBC>5/HPFで感度86%, 特異度79%でUTI合併を示唆
 つまり 14%はWBC<5/HPFとなることに注意.

尿管の完全閉塞の場合, その中枢側に膿尿があったとしてもそれが排泄されない事は想像に難くない.
またそのような感染症の場合, 急激なショックとなり死に至るリスクも高い
(外来に歩いて来院、待合室でショックとなり倒れる、等)

尿管結石患者では必ず感染評価は重要であり, それは尿検査に頼らず, 病歴や症状を評価するのも大切と言える.