前半規管のBPPV
Dix-Hallpikeにて健側, 患側を向いた誘発にて, 下向き, 下回旋性 患側方向の眼振を認めるタイプ。後半規管は患側を向いた誘発にて上回旋性 患側方向の眼振がある点でことなる.
特発性BPPVでお目にかかる事は滅多になく, 頭部外傷後のBPPVか, エプリー法で解除したあとにAC-BPPVへ移行する例がたまにある。
BPPV 74例の後ろ向きstudyでは, (Otol Neurotol 2011;32:1285-1290)
85.1%が特発性, 14.9%が外傷後BPPV.
原因半規管の割合は,
全体 特発性 外傷後
PC-BPPV 87.8% 10.8% 6.8%
HC-BPPV 87.3% 11.1% 3.2%
AC-BPPV 90.9% 9.1% 27.3% (100%を超える分は混在性となる)
ということで, 外傷後のAC-BPPVは外傷後が非常に多い.
治療方法はPC-BPPVと同様, エプリー法であり, 結構反応性は良好.
ちなみに, 外傷により, 同側のPCとAC-BPPVが同時に発症するタイプもある
この理由として, 前半規管と後半規管の起始部が同じ部位にある点が挙げられている.
その部位に入り込んだ耳石は双方の半規管内へ流入する可能性があり, その場合に同時にPC,AC-BPPVが発症する.
同様の機序でPC-BPPVに対してエプリー法を行った際に, AC-BPPVが誘発される事もあり得る.
HCの起始部は独立しているので, このような事は起こりにくい.