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2022年3月2日水曜日

多発肺嚢胞 + MALTomaで想起する疾患

中年女性. 

両側性, びまん性の多発肺嚢胞が認められ, その一部に結節性病変があり肺癌の疑いで手術治療が行われた.

膿疱は壁は薄く, 円形. 辺縁は明瞭. 散在性に多発していた.

1箇所で結節を伴い, その部位を切除. 組織からMALTomaに矛盾しない所見が得られたが, 他にもアミロイド沈着もあり...

と複雑で病態が難しい状態であった.

膠原病の可能性も視野に入れる必要があり, 相談.






さて, これは即答でSjogren症候群による肺アミロイドーシス (によるLymphocytic Interstitial Pneumonia)と言いたいところです.


肺は全身性アミロイドーシスで沈着しやすい臓器の1つ.

主に肺門リンパ節の石灰化や小結節, 気管支壁肥厚, 小葉間隔壁肥厚を呈することが多い.

(Radiographics. 2015 Sep-Oct;35(5):1381-92.)


しかし稀ながら, 嚢胞性病変を呈することがある.


アミロイドーシスによる肺の嚢胞性病変

(Chest. 2016 May;149(5):1223-33. doi: 10.1378/chest.15-1539.)

・組織的に証明された, 嚢胞性病変を呈した肺アミロイドーシス 21例の
Reviewでは, 


 背景に膠原病(CVD)を認めた症例が12例. 
このうち10例がSjogren症候群であった.

・MALTomaを合併した症例も多く, 
CVD+MALTomaは6例(6/12)


 CVD(-)症例では1例のみ.

・pSS症例では5/10でMALToma
を合併. 

 他の1例はRA.
またpSS症例の大半がAL-κによるもの.


嚢胞の形状


・多発性の円形の嚢胞が多く,
大きさは2cm以内のものが大半.

・嚢胞壁は薄く, 散在している


pSSに伴う肺アミロイドーシス症例28例の特徴

(Respirology (2010) 15, 860–868)

・結節, 嚢胞性病変が45.5%, びまん性結節が33.4%と
一般的なアミロイドーシスよりも嚢胞性病変となる例が多い

・リンパ腫合併例が9%


Mayo clinicにおいて1997-2010年に組織的に診断されたpSS患者における肺アミロイドーシス 8例を解析

(Respiratory Medicine (2013) 107, 616-621)

・年齢中央値は55歳[32-75]. 喫煙歴(+)の症例は無し.

・画像所見は8例全例が嚢胞性病変+結節であった.


 3/8でMALTomaを診断. 1例でリンパ過形成所見を認めた.


これらはLymphocytic Interstitial Pneumoniaに分類される

(Radiol Bras. 2020 Set/Out;53(5):287–292.)

・LIP症例 36例の画像所見をReviewした報告
より,

 背景疾患はSjogren症候群 42%, HIV 17%, アミロイドーシス 17%,


 pSS+二次性アミロイドーシス 11%, 特発性 8%, SLE 5%

・CT所見: 嚢胞性病変, 小結節が多い所見.