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2022年1月29日土曜日

本の感想: 不明熱のエッセンス

 献本御礼


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

不明熱のエッセンス [ 國松淳和 ]
価格:5060円(税込、送料無料) (2022/1/29時点)


國松淳和先生が書かれた ”不明熱の本”です.
國松先生は他にも複数の不明熱本を書いています.

この本の特徴は, なんといっても2010-2020年のおよそ11年間に発表された不明熱のケース報告をほぼ全て読み, それぞれの概略や一言コメントを添えているところです。
その数 五百六十いくつか。600近い症例です.

まだ全部の症例コメントは読めていません. 
一つ一つは短いですが, 自分としては情報量が多い, というか, それぞれの症例から受ける印象も大事に読んでいるため, 時間がかかります.

その上で, この本を読んだ上での正直な感想を書いてみます.


感想その1: これは読み手をかなり選ぶ

 この本は読み手を選びます. おそらく, 研修医にはつまらないかもしれない.
 後期や, スタッフレベルでもつまらなく感じるかも.
 不明熱診療をある程度やってきており, 一般的な不明熱診療の基礎が出来上がっている医師に対しては, 新しい引き出しを, めちゃくちゃ沢山作るのに超役立ちます.
 症例読みながら, 「へーーこういう疾患があるのか」「へーーこれが原因になるのか」と, 心の中でへぇ〜ボタンを押しながら次々に引き出しを構築する. これがもしかすると10年後, 20年後に役に立つことがあるかもしれない, と期待しながら作ってゆきます.
 どうせ忘れますが, 一度見ておくと次に気づきやすくなります. 
 そういう用途で, この本は僕にヒットしました.

 と思っていたら, あとがきで 「読み手を選んで書いている」とか出てきて,  ああーーーーやっぱね、と思いました.

感想その2: 「不明熱」とはなんだろうか?
 
 症例集は不明熱症例のはずですが, 診断ついているんですよね. 全然不明熱じゃないじゃない.
 ほんとに診断のつかない不明熱は症例報告には含まれないよね, ということを改めて認識しました。
 「一般的な病歴や身体所見, 検査では一見分からない発熱/炎症症例」が結局 「エビデンスや論文でわかる不明熱」であって, 真の不明熱はこのアプローチじゃ分からない.

 分からないなりに, 病態や機序を推理して, 詰めて, 治療する, というアプローチが必要な症例というのは, そこまで多いものではないですが, 確実にあって, それは本当に難しいものだと思います.
 
 わかるものはわかる. わからないものは, 何しても, 誰に相談しても結局分からなくて・・・
 手探りで治療して, それがよくなろうが, 悪くなろうが, 症例報告にできなくて・・・
 そっと心の症例ストックにしまわれる. 
 そういうのが日の目をみる何かがあればいいのになぁ. 

 熱だけではなく, 色々な症状についてもそうです. そういうのは仕事(科)柄, 沢山経験します.

 これは本の感想というか、本を読んで思った雑感ですかね.

2022年1月27日木曜日

トファシチニブの心血管イベント, 悪性腫瘍などのリスク: ORAL surveillance

 (N Engl J Med 2022;386:316-26.)

ORAL Surveillance: 50歳以上のRA患者で,
 MTXでも活動性が抑えられなく, 1項目以上の心血管イベントリスク因子*を有する患者を対象とし, Tofacitinib vs 抗TNF阻害薬を比較したOpen-label, 非劣性RCT.

*リスク因子は表の通り:

喫煙

高血圧

HDL-Chol<40mg/dL

糖尿病

若年での冠動脈疾患の家族歴

関節外のRA症状

冠動脈疾患既往

・除外項目: 担癌患者(既往含む, 適切に治療されたnon-melanoma skin cancerは除外)


・上記を満たす患者群を, 

 Tofa 5mg bid vs 10mg bid vs TNF阻害薬(ADA 40mg/2wk or ETN 50mg/wk)に割り付け, 

 MACE, 悪性腫瘍リスク, 感染症リスクなどを比較.

・MTXは継続.

・2014年3月に導入開始され, 2019年2月にTOF 10mg bid群でTNF阻害薬と比較して肺血栓塞栓症の頻度が高く, 死亡リスクも上昇したため, 以後は5mg bidに統一されている.


母集団: 6559例がスクリーニング, 4362例が導入


アウトカム(中央フォロー期間4年間): MACE


・MACE発症率は3.4% vs 2.5%と, TofaはTNF阻害薬と比較して
非劣性を示せず.

・5.5年間では,
 MACEは5.8% vs 4.3%
, 非致死性MIは
 2.2% vs 0.7%

・Sub解析では
65歳以上の高齢者で
特にMACEが多い.

・MACE: 心血管死亡,
 MI, Stroke


悪性腫瘍リスク: Tofa 5mg, 10mg bid群で有意にリスクが上昇


・4年間の発症頻度は 4.2% vs 2.9%

・5.5年間では, 6.1% vs 3.8%

・最も多かった悪性腫瘍はTofa群で肺癌, TNF阻害薬群では乳癌.


他のアウトカム


・重大な感染症はTofa 10mg bidで上昇: HR 1.48[1.17-1.87]


 日和見感染症はTofa 5mgで1.82[1.07-3.09], 10mgで2.17[1.29-3.66]

 帯状疱疹はTofa 5mgで3.28[2.44-4.41], 10mgで3.39[2.52-4.55]

・他に肝障害リスクの上昇,
肺血栓塞栓症リスクの上昇が認められる.
 

 PEは特に10mg bidで特にリスクが高い.


SDAIスコアの変化. 
どの群も同等の効果が期待できる


2022年1月26日水曜日

悪性リンパ腫における末梢血単球増多(Monocytosis)の意義

 DLBCLが強く疑われる患者さんにおいて, 単球数>1000が目についた.

しばしば単球増多を認める例はあるが, これはどのような意義があるのか, 調べてみた.


LymphomaとMonocytosis

・悪性リンパ腫患者では, しばしば診断時に単球増多が認められる. しかしその臨床意義は不明確であった. 

・M-MDSC(Monocytic myeloid-derived suppressor cells)と呼ばれる免疫抑制細胞の亜集団が報告されている.  

 未熟な骨髄系細胞の不均一な集団よりなり, 顆粒球型, または単球型のいずれかに特徴づけられる. 

 免疫抑制機能を持ち, Hostの抗腫瘍免疫を抑制し, 悪性腫瘍寛容に関連していることがわかっている.
 また, 腫瘍の血管新生や転移にも関連している.

 従って, Monocytosisは腫瘍の予後増悪に関連する可能性がある.

(Hematol Oncol. 2013 Jun;31(2):65-71.)


DLBCLとMonocytosis


単一施設において, 1996-2010年に診療したDLBCL 109例を解析

(Hematol Oncol. 2013 Jun;31(2):65-71.)

・HIV陽性やTransformed lymphoma, 免疫不全疾患に関連したリンパ腫は除外.

・単球>1000を超えるMonocytosisは17.6%であった.

・OSを減少させる因子は
高IPI, Monocytosis, 骨髄浸潤(+)が挙げられる.

・また, M-MDSCsの割合も健常人と比較して有意に多い結果であった.

 
(9.6%[5.6-19] vs 5.4%[4.8-7.7])


イスラエルとイタリアのDLBCLコホートより, 
1993-2010年に登録された未治療症例1017例を解析.

(Haematologica. 2014 Jan;99(1):125-30.)

・Monocyteと予後の関係, またそのカットオフ値を評価

・Monocyte>610となる症例は35%,
 >1000は10%で認められた.


 中央値は499[102-1413]/µL

・予後(5Y-OS)への関連

 Monotytosisは有意に5Y-OSの増悪に関連する.
 

 >630で死亡リスクの増大に関連するが,
 >1000ではさらにリスクは上昇する傾向.

 Rituximab治療の有無に関わらず, リスク因子となる


Montevideo-Uruguayの2箇所の大学病院において, 2002-0217に
Rituximabを含むレジメンで治療された171例のDLBCLを解析

(Rev Med Chile 2019; 147: 1553-1560)

・Primary CNS lymphomaは除外.

・Monocyto数と治療後のOS, Relapse free survivalの関連を評価した.
(Cutoffは病院で異なり, >700, >1000をMonocytosisと定義している)

・母集団の単球数は620[40-3720]/µL
, Monocytosisは33.3%で認められた.


R-IPIとMonocytosisで分けたOS

・R-IPI Good, PoorやMonocytosisは予後不良因子

・4Y-OSは 

 R-IPI very good群で100%
 R-IPI good群で73%
 R-IPI poor群で47%

・Median OSは
 

 Monocytosis(+)群で44.9M[12.8-76.9]
 Monocytosis(-)群で131.6M[88.8-174.4]


R-IPIで分けた時のMonocytosisとRFS, OSの関連

・R-IPI 0-2(very good, good)群において,
 

 Monocytosis(+)は有意にRFS, OSの短縮に関連
する

 Monocytosis(-)は到達せず.
 Monocytosis(+)はRFS 12.8[3-22], OS 40.8[0-83]

・R-IPI >2(poor)群では,
 

 Monocytosisの有無はRFSやOSの短縮に関連せず.
(双方とも予後が悪い)


T cell lymphomaではどうなのか?


PTCL症例でMonocyteを評価していた94例の解析

(Blood (2012) 120 (21): 2647.)

・このうちMonocytosis(>800/µL)を認めたのが23%であり,
 有意にOS増悪との関連が認められた.


Aggressive, non-primary cutaneous PTCL 251例の解析

(Blood (2012) 120 (21): 1608.)

・内訳はATLLが41%, PTCLが41%, PTCLU 11%, ALK(-)ALCL 4%, 他NKTCL, AILなど

・中央生存期間は10カ月間であり, 予後に関連する因子は
 

 IPI score, PIT score, リンパ球数<1000, 単球数>800の4項目が認められた


-----------------------------

B細胞, T細胞に関わらず, 悪性リンパ腫においてMonocytosis(>800-1000)が認められることは予後不良因子となる.

IPIとは独立した因子であり, IPIにてVery good, goodの低リスク群においても, Monocytosisは予後不良因子となるため, 気にしておく価値はありそうである.

2022年1月20日木曜日

低体温時のコルチゾールはどうなるのか?

副腎不全の症候の1つに低体温症がある.

冬季になると偶発性低体温症の患者を診療する機会が増えるが, その際 来院時に評価したCortisolをどう解釈するか, カンファで話題となった.

低血糖時のCortisolは信頼性があると考えているが, 低体温時はどうなのだろうか?


偶発性低体温症(≤32度)でERを受診した12例において,
内分泌機能を評価した報告

(J Clin Endocrinol Metab. 1972 Mar;34(3):460-6. doi: 10.1210/jcem-34-3-460.)

・TSH: 低体温時でも正常範囲であり,
 復温後も濃度に有意差は認めない.

・甲状腺ホルモン: 低体温時は正常範囲.
 復温中に低下する症例が11/12あるが
差は軽度.

・TRH負荷を行った3例中, 2例で反応あり.
 1例では反応を認めなかった.

・Cortisol: 有意差は認めないが, 復温中に軽度上昇傾向がある.
 

 3時間後に評価した9例中, 6例で上昇, 2例で横ばい, 1例で低下
 

 12-18時間後には元々の値に戻る.


脳外科手術において, 
術中体温を正常に保つ群と, 低体温(<34度)とした群で,
Cortisol, ACTHを評価, フォローした報告

(Can J Anaesth. 2001 Sep;48(8):815-8. doi: 10.1007/BF03016700.)

・ACTHやCortisolは低体温群で低い.
 術中, 術後も上昇していない.


来院時低体温を認めた14例において, ACTH負荷試験を施行

(J Clin Endocrinol Metab. 1980 Jan;50(1):93-7. doi: 10.1210/jcem-50-1-93.)

・直腸温は28-35.3度
, 低血糖(<60mg/dL)は4/14含まれていた


体温とACTH負荷試験の反応

・34度未満ではACTH負荷の反応が
認めない〜かなり弱い

・正常体温ではしっかり反応する.


体温と反応性の関係.

内分泌の負荷試験を行うならば, 少なくとも36度以上で行うべき


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急性の寒冷刺激では, ストレスがかかり, 一過性に上昇する可能性はあるが, 

低体温時には神経内分泌機能は低下し, ACTHやCortisolは抑制される.

低体温症の鑑別に副腎不全はあるものの, 低体温時に測定するのは無意味であると言える.

復温してから評価することが重要.


2022年1月19日水曜日

抗菌薬開始までの時間と敗血症性ショック移行リスク

 ER診療において, 敗血症, 感染症を疑えばなるべく早期(できれば1時間以内)に抗菌薬を開始することは予後改善に関連するという報告は多い.

参考; 敗血症と考えたら1時間以内に抗菌薬を


今回Chestより, 投与までの時間と敗血症性ショック移行リスクを評価した報告が発表されたので紹介する

(Chest. 2022 Jan;161(1):112-120. doi: 10.1016/j.chest.2021.06.029.)

Kansas univ. Hosp.のEDにおいて, 2007-2020年に診療した
感染症疑い患者で, 24h以内に抗菌薬が投与された全患者を後ろ向きに解析.

・感染症の疑いは, EDにおいて培養検査が行われた患者, 4h以内に抗菌薬が開始された患者で定義.

・EDにおいてすでに敗血症性ショック(3時間以内に昇圧薬が開始された患者で定義)であった患者は除外.


 また抗菌薬投与までの時間が不明な患者, 入院後24h以上抗菌薬が使用されなかった患者も除外.

・抗菌薬投与されるまでの時間と, 敗血症性ショックへの移行リスク(来院後3時間以降)の関連を評価した.


対象患者は74114例.
 このうち5510例(7.4%)が敗血症性ショックに移行.

・感染FocusはUTIが34%, 呼吸器が37.9%, 蜂窩織炎が18.6%, 腹腔内が9.3%

抗菌薬投与までの時間と敗血症性ショック移行率

B) 重症度をPropensity categoryにて3群に分け,
 最重症(灰), 中(青), 軽(赤)で分類

・1時間遅れるごとに,
 敗血症性ショック移行リスクは増大: 
 OR 1.03[1.02-1.04]
 死亡リスクは有意差なし: 
 OR 1.02[0.99-1.04]


敗血症移行リスク, 死亡リスク因子


抗菌薬投与開始の遅れは敗血症性ショックへの移行リスク上昇に関連する

疑えば, やることやってなるべく早期に開始する姿勢はやはり重要といえよう.

2022年1月14日金曜日

皮膚筋炎におけるILDのリスク因子; Palmar papule(逆ゴッドロン)

 逆ゴッドロンについては以下も参照:

http://hospitalist-gim.blogspot.com/2020/09/inverse-gottrons-signpapule.html

手掌, 指の屈側, 側面の丘疹であり, 有痛性では抗MDA5抗体陽性と関連がある.

無痛性は抗TIF-1γ抗体でみることが多い気がする.


ILD所見があり, この逆ゴッドロンがあれば慌てて免疫抑制を高強度で行う.


そのプラクティスを裏付けるような論文が中国から発表

(Rheumatology 2022;61:413–421)

Zhongshan Hosp, Fudan Univの皮膚, リウマチ, 呼吸器科を2008-2017年に受診した全ての皮膚筋炎患者を後ろ向きに解析.

・ILD, 急性/亜急性ILDの合併と, リスク因子を評価した.

・この期間中に受診したDM患者は207例.

 
DM-ILD合併例が153例. 慢性ILDが131, 急性/亜急性が22例.
 

 さらに急速進行性ILDは12例


臨床的特徴と検査所見の特徴


・Palmar papulesは急性/亜急性ILDの50%, 
 急速進行性ILDの75%で認められる.

・Palmar erythemaは急性/亜急性ILDの36.4%, 
 急速進行性ILDの41.7%で認められる.

・一方で, 慢性ILDではそれぞれ0.8%, 3.8%と少ない.

・抗体では抗MDA5抗体が急性/亜急性ILDの73.3%, 
急速進行性ILDの90%で認められる.

 慢性ILDでは7.5%

・Palmar papuleと抗MDA5抗体には関連あり.



DM-ILDのリスク因子

・Palmar papulesやPalmar erythemaは
非常に高いILDのリスクとなる.
・抗MDA5抗体もリスクを上昇させる傾向はあるが, 有意差は認められず.


抗MDA5抗体陽性はRP-ILD症例の9割で認められるものの, 慢性ILDでも認められており, その抗体が陽性=必ずしもRP-ILDとなるわけでは無い.

Palmar papulesやPalmar erythemaは抗MDA5抗体陽性との関連があり, さらにRP-ILDや急性/亜急性ILDとの関連性もある.

これからは, これら所見を伴う抗MDA5抗体陽性のILDでRP-ILDの超高リスクと考えられる.

ILDを見た時に, Palmar papuleがある場合, 結果を待たずにすぐに免疫抑制を行うというマネージメントは妥当であろう.


2022年1月11日火曜日

サルコイドーシスによる骨関節障害

サルコイドーシスでは, 肺外症状として筋骨格系の障害を認めることがあり,

しばしばリウマチ性疾患との鑑別が重要となる.

それぞれどのような特徴があるのだろうか?


関節症状, 障害

(Semin Respir Crit Care Med. 2010 August ; 31(4): 463–473.)

・サルコイドーシスによる関節症状は~25%程度で認められる

 日本人の報告例は稀であり, 1.6%程度.

・関節症状は急性の一過性経過の関節症, 慢性持続性の2つあり,


 慢性関節炎は急性よりも稀で1-4%程度.


急性の関節炎はLofgren症候群が有名. 
結節性紅斑, 急性関節炎, BHL, 発熱を伴う

・急性関節症状は季節性が指摘されており, 春頃多く発症する.

・足関節炎が認められる例が77-100%と多い. 次いで膝, 手関節, MTPが多い

 
ENの頻度は25-87.8%と幅がある.

・急性関節炎はSelf-limitedであり, 基本的に対症療法. 一部で免疫抑制療法を考慮


慢性の関節炎は皮膚症状など肺外病変を伴うことが多い
・関節炎は左右対称性, 中〜大関節のOligoarthritis, Polyarteritis
・関節破壊やJaccoud変形を伴う
・指炎(Dactylitis)もあり.  左右対称性で第2-3指骨で生じやすく, MCP関節はスペアされる.
 Lupus pernioを合併することもあり
 
・ReAやRAとの鑑別が重要.
・他には関節周囲炎, 肋軟骨の病変を呈することがある.


Sarcoid arthritisのCohort

急性関節炎のCohort: 発症2年以内の早期関節炎でEarly artrhritis clinicを受診した患者を前向きに評価したCohort study.

(Ann Rheum Dis 2002;61:499–504)

・期間中に受診した579例中, 55例でSarcoid arthritisを診断(4.4%).


 Sarcoid arthritisの診断はBHL所見の合併の有無で行った.

・悪性腫瘍による肺門リンパ節腫大については, 経過のフォロー中に疑われる場合は組織検査を行い除外している.

・Sarcoid arthritisと診断された55例と, 他の炎症性関節炎症例524例を比較


 対象群ではRA(31%), 分類不能(29%), 結晶性(11%), PsA(6%), OA, ReA, 
SpAなど

・Sarcoid arthritis群はより若年であり
発症〜受診までも短期間である


・Sarcoid arthritisは3月〜7月の発症が多く, 冬季は少ない傾向

・急性関節炎の特徴は以下の通り; 
 76%が左右対称性に発症.
 下肢(96%)の大関節に多い(95%)
特に足関節が98%(両側性は95%)と多い.
 単一関節が2%, 少数(2-4)が87%, 多関節が11%
 発熱はおよそ半数で認められた. ESRの亢進は84%
 結節性紅斑は40%, 足関節周囲の色調変化(赤-青)は29%
 アキレス腱の腱付着部炎が33%
両側足関節炎, 症状<2M, 年齢<40y, ENの4項目中
3項目以上を満たす場合, SAの可能性を上昇させる. 感度93%, 特異度99%

急性+慢性関節炎のCohort: 11箇所のRheumatology centerにおいて, 2005-2017年に診療したSarcoidosis症例を後ろ向きに解析
(Int J Rheum Dis. 2018 Sep;21(9):1728-1733.)

・Sarcoid arthritisは117例認められた.
 
急性関節炎が88例, 慢性関節炎が29例.

 (6ヶ月未満の関節炎を急性, 6ヶ月以上を慢性と定義.)
・41例は病理組織学的にSarcoidosisを診断.
 
残りの76例は臨床的に診断(BHL, EN, ぶどう膜炎, 顔面神経麻痺など)

・急性関節炎のうち45/88はLofgren症候群に分類.

 慢性関節炎のうち1/29はHeerfordt症候群に分類.

・両者の年齢は40歳前後
 関節炎は少数〜多関節炎が大半を占める

・関節炎の部位

 急性, 慢性双方とも足関節炎の頻度が8-9割と高い
 慢性関節炎では膝関節やMTP, 手関節, 肩関節炎の頻度が高い

・関節外症状の頻度
 発熱やENは半数程度で伴う
 慢性関節炎ではぶどう膜炎や
末梢リンパ節腫大の合併率が高い

手指関節, 骨関節の画像:
 骨皮質や骨髄に肉芽腫を形成し, 抜けたような骨融解像が認められる.
(J Clin Rheumatol. 2016 Aug;22(5):278-9.)

(Current Rheumatology Reports (2019) 21: 7)

サルコイドによる関節障害に対する治療
・急性関節炎はSelf-limitedであることが多く, 対症療法が基本.
 難治性の場合はステロイドや免疫抑制を考慮.
・慢性関節炎ではDMARDの使用を考慮する.
(Semin Respir Crit Care Med. 2010 August ; 31(4): 463–473.)


サルコイドによる骨病変
(Rheumatology 2018;57:777-783)
・骨病変はサルコイドーシスの1-15%で認めるが,
 無症候性が多く, 他の検査で偶発的に発見される事も多い.
・骨病変は周辺の皮膚所見を伴うことが多い
・骨病変には3つのタイプがある: 
 
 虫食い様の透過性病変 - 指骨の皮質も犯され, 軟部組織腫脹も伴う
 
 溶骨病変 - 指骨の骨嚢胞性病変を伴う
 
 硬化性病変 - 脊椎で認める. 転移性腫脹でも同様の所見
・骨病変は指骨の近位部で多く報告があるが, どこでも生じ得る
 PETやMRIが普及してからは椎体病変の発見が増加している.
・骨病変があってもALPやCaには影響はしない

軸関節病変
(Semin Respir Crit Care Med. 2010 August ; 31(4): 463–473.)
・サルコイドーシスによる軸関節病変は稀であり,
しばしば仙腸関節炎と誤診されることがある.
・椎体の病変は無症候性が多く, 偶発的に発見されることが多いが,

 背部痛や腰痛が初発症状として認められることもある
・病変は溶骨性, 骨硬化性病変やその混在.
・MRIによる評価は仙腸関節炎との鑑別に有用であり,
また生検を行う部位の同定にも有用.

 多発性のT1-WI低信号, T2-WI高信号として描出される.
 
MRI所見自体は非特異的であり, 他の転移性腫瘍でも認められるため,
 組織検査が重要.
・サルコイドーシスによる仙腸関節炎の報告も稀ながらあり(~6.6%).

 サルコイドーシスにSpAを合併する事ある(6% vs 1-1.9%[一般人口])



サルコイドによる筋症
(Rheumatology 2018;57:777-783)
・慢性筋症, 結節性筋症, 急性筋症のパターンがある
・慢性筋症は最も多く, 50-60歳代の女性で多い.
 
 左右対称性の近位筋の筋力低下で, 体幹や頸部筋で多い
 
 無症候性も多い
 
 CPKの上昇は認めないことが多い
・結節性筋症は孤発性, 多発性の結節を筋組織内に認める病態
 
 左右対称性の四肢で生じることが多い
 
 結節は有痛性で, 時間の経過とともに拘縮をきたす
 
 MRIによる評価が有用
・急性筋症は最も希なタイプ. 
 <40歳と若年に多い
 
 他の筋炎疾患に類似した経過. 急速進行の近位筋脱力, CPK上昇をきたす
 
 急性関節炎と合併して生じることが多い

2022年1月10日月曜日

閉経後女性の骨粗鬆症に対するBisphosphonateのTime-to-benefit

(JAMA Intern Med. 2022;182(1):33-41. doi:10.1001/jamainternmed.2021.6745)

閉経後女性の骨粗鬆症におけるBisphosphonateのTime to benefit

・閉経後の女性で, T score -2.5以下を満たす患者群を対象として
Bisphosphonateを投与したRCTsのMeta-analysis

 非椎体骨折, 頸部骨折のARR 0.001, 0.002, 0.005, 0.01が認められるまでの期間を評価した.


 例) ARR 0.01: 骨折が1%低下(100人に1人減少)するまでの期間


・ガイドラインで推奨されているAlendronate, Risedronate, Zoledronic acidのみのStudyを抽出

 また, 大腿骨頸部骨折の既往がある女性の2次予防目的のStudyは除外

 母集団の半数以上にOsteopeniaが含まれるStudy, 男性が含まれるStudy, 2次性の骨粗鬆症を対象としたStudyも除外.


・上記を満たす10 RCTsを抽出. 
 N=23384, 年齢は63±7歳〜74±3歳. フォロー期間は12M~48M
 90%以上が白人.


アウトカム

・非椎体骨折減少までの期間
 

 ARR 0.01(100人に1人減少)までの期間は12.4M. およそ1年間
 ARR 0.005(200人に1人)はおよそ半年間


他の骨折


・頸部骨折ARR 0.005は20ヶ月

・Any clinical fracture ARR 0.01は12.3ヶ月

・臨床的椎体骨折ARR 0.005は12.1ヶ月


1年程度の使用で
およそ1%の
骨折減少効果が得られる

余命1年以上あるならば
使用する価値が生じる

2022年1月6日木曜日

本の感想: サイカイアトリー・コンプレックス

 献本御礼

サイカイアトリー・コンプレックス 尾久 守侑先生



総合診療や一般内科, リウマチ膠原病医として, 不定愁訴, 不定疼痛, 抑うつや気分障害, せん妄・・・などなど, そういった症状や病態はよく診療する機会が多い.

「こういった症候は得意です! どんどん紹介してください!」 と自信を持っていえるような性格ではないし, そういうとホントめっちゃ集まるので, 表立っては言わないが, 実は得意な方だと思う.

得意と思い始めたのもここ最近で, 数年前まではこのような患者さんが受診する日の外来は結構憂鬱であった.

エビデンスはないし, あっても適応できる症例はあまりないし, 工夫して, うまくいったり, いかなかったり, うまくいったと思ったら, また悪くなったり...

それでも色々試し, アプローチを変えて, 今は一つの「自分のやり方」が出来上がっている.
出来上がると, それを軸に 他の人の方法や知識を得て, さらに発展させるようになる.

患者さんが良くなる, うまくマネージメントできる割合も増えてゆき, そうすると面白くなる. 
自分で得意だと思えてくる. だけど、あまり表立っては言わない(笑)


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この本は そんな立ち位置の自分にとってはかなりハマりました.
おそらく自分よりもはるかに多く, そして重度の症例を診療し続け, それで構築された経験知をもとに, 症例ベースで非常にわかりやすく説明してくれている本です.

「自分のやり方」にさらに新たな側面や方法を追加してくれるような感覚がありました.


「○○ という症状には ▲▲を処方する!」

という知識を求めている人は, そもそもそんな診療はこの領域にはないし,
そう思っている, それがあると信じている時点で未だ入り口にも立ててないと思います.

四苦八苦しながら, 失敗も経験しながら, それでもなんとか不定愁訴やら マルチモビディティの一部である精神, 気分障害を診ている人にはとてもよい気づきとなると思います.


また, 「Part 1 診療感覚を練磨する」 は色々な意味で刺さりました. 
一言でいうと診断や診療におけるバイアスには注意しろよ、ということですが、
気づけないからバイアスであって, それを改めて文章にし, 読むと反省する点が多くあります.

ここは定期的に読んでもいいのではないかな、と反省しながら思いました.

まあ、大体自覚してるんですが.

薬剤性のANCA関連血管炎の原因となる薬剤

 (Arthritis & Rheumatology Vol. 74, No. 1, January 2022, pp 134–139)

WHO pharmacovigilance database (VigiBase)において,
2020年11月までに報告された薬剤性AAVを調査.

・報告された薬剤において, Case-noncase analysisを行い, IC(Information component)の95%信頼区間の下限(IC025)が正であれば薬剤の関連があると判断. 


 * IC: 特定の薬剤と副作用の組み合わせについて観察された症例数と, VigiBaseにおける副作用と薬剤の報告が独立分布しているという仮定の下で, その組について予想される賞例数を比較するベイズ的指標.

・AAVの治療で使用される薬剤は除外(GC, RTX, MTX, LEF, AZA, CyA, CY, ST合剤など)


アウトカム

・薬剤性のAAVは483例抽出され, 15種類の薬剤に関連性がありと判断.

・ヒドララジン, プロピオチオウラシル, チアマゾール, 

 ソフォスブビル, ミノサイクリン, カルビマゾール, 

 ミラベグロン, ニンテダニブ, ペニシラミン, 

 インフルエンザワクチン, アロプリノール, リファンピシン, 

 モンテルカスト, ロスバスタチンなど


・そもそも有名なプロピオチオウラシルやチアマゾール, ニンテダニブはよいとして, 

 スタチンやモンテルカスト, インフルワクチン, リファンピシン, ミノサイクリンなど日常で使用する機会がある薬剤もACNA関連血管炎の原因となりえる点は注意.



2022年1月4日火曜日

深頸部感染症の総論的なやつ + Ludwig's Angina(口腔底蜂窩織炎)

深頸部には実に多くの間隙(スペース)がある.

例えば・・・

・扁桃周囲腔

・顎下間隙, 舌下間隙

・傍咽頭間隙

・頸動脈間隙; Carotid sheath内. 頸動脈, 静脈, 神経を含む

・咀嚼筋隙(側頭腔)

・耳下腺間隙

・咽頭後間隙; 頚部全体(上下)にまたがる

・Danger Space; 咽頭後間隙の後部, Alar-Prevertebral fasciasの間
 縦隔まで疎の組織が続いており, 縦隔炎へ波及するRiskあり

・椎体前腔; Prevertebral fasciaと椎体全面の間. 組織は密.

・Anterior visceral space; 気管前部, 舌骨下のSpace.  などなど


この中で, まず臨床敵に重要となる3つの間隙を押さえておく:

 顎下間隙(+舌下間隙), 傍咽頭間隙, 咽頭後間隙+Danger space

 この3箇所の炎症では, 気道閉塞リスクが高くなる. また縦隔炎のリスクになりえる.


炎症は以下のように波及する;

・大事なところは, 傍咽頭間隙(Lateral pharyngeal space)がハブとなり, 周囲の様々な間隙と隣接すること.

 >> つまりこの部位に炎症が波及すると, 周囲に広がりやすく, 椎体前面のDanger spaceに波及し, そして縦隔炎に至るリスクがある.

・そして, 傍咽頭間隙と咀嚼筋間隙は隣接しており, 傍咽頭間隙に炎症が及ぶ = 咀嚼筋群が障害される = 開口障害が生じる. というところは臨床的には超重要なポイントなる

 (上級医が開口障害で慌てるのはこのため)

超簡単なシェーマ 


それぞれの間隙の炎症と症状の対比:(Infect Dis Clin N Am 21 (2007) 557–576)

Space

疼痛

開口障害

腫脹

嚥下障害

呼吸苦

顎下間隙

+

±

口腔底

両側性で出現

両側性で出現

傍咽頭間隙前方

++

++

喉頭前側部

あり

たまに

傍咽頭間隙後方

±

±

喉頭後側部

あり

重度

咽頭後間隙, Danger space

+

±

喉頭後部

あり

あり

咀嚼咬筋翼突筋

+

++

見えない

なし

なし

咀嚼側頭筋

+

-

顔面眼窩

なし

なし

Buccal

±

±

頬部

なし

なし

Parotid(耳下腺)

++

-

下顎下顎角

なし

なし

・開口障害が強い場合は傍咽頭間隙への炎症波及を疑う.
 それには内側翼突筋の障害が関与している.

顎下間隙, 傍咽頭間隙, 咽頭後間隙の炎症では
気道閉塞のリスクがあり, 要注意.
 

 観察室 or ICUでの経過観察は必須.


頸部感染症で有名な疾患にLemierre症候群がある.

・Lemierre症候群は咽頭炎や歯肉炎、扁桃炎の炎症が傍咽頭間隙(Lateral pharyngeal space)に波及することで生じる疾患. 

・こちらを参照: http://hospitalist-gim.blogspot.com/2015/07/lemierre.html


もう一つ有名なものに, Ludwig's Anginaがある.


Ludwig's Angina: 口腔底蜂窩織炎

・顎下間隙に生じる蜂窩織炎, 膿瘍形成.

 両側の顎下間隙に生じる場合, Ludwig's Anginaと呼ばれる.

口腔底に急速に拡大する感染症であり,
 気道閉塞のリスクがあるため, 緊急疾患と捉えるべき病態. 

 未治療では半数が気道緊急に陥る(適切な治療で8%まで低下する)

・歯牙の感染からの波及が70%を占める.
 特に成人では歯牙感染が原因として多い.

 小児では上気道炎からの増悪が多い

・免疫抑制状態や低栄養, 糖尿病などはリスク因子となる

(American Journal of Emergency Medicine 41 (2021) 1–5)


顎下間隙の解剖

・顎下間隙は口腔底から舌骨筋付着部, 
側方は下顎骨, 後方は深頸筋膜の表層で形成される.

・また間隙は, 顎舌骨筋(Mylohyoid muscle)でsublingual, submylohyroid spaceに二分される

 顎舌骨筋と下顎骨付着部よりも下方より
第一臼歯が出, 上方より第二, 三臼歯が出るため, 第一臼歯の歯根尖端周囲膿瘍からは
Submylohyoid spaceに波及しやすく, 
第二, 三臼歯の歯根尖端周囲膿瘍からは
Sublingual spaceに波及しやすい


・LAの感染経路は, 歯牙からの感染が多くを占めるが, 他に口腔底の擦過傷や, 顎骨骨折, 異物, 顎骨, 舌腫瘍, 唾液腺炎, 
リンパ節炎, inferior alveolar nerve blockで生じる例もある.

・臼歯からの感染例が多く, 特に第2, 第3臼歯部の骨組織は薄く,
 歯根尖端周囲膿瘍が容易に進展しやすい環境がある(つまり
Sublingual spaceに波及する).


顎下間隙感染症の経過

・初期は口腔内の感染症より生じるため, 発熱や悪寒, 倦怠感を生じる

・口腔底に炎症が拡大すると舌の腫大や顎の腫大, 疼痛を認める.

・傍咽頭間隙に炎症が波及すると開口障害や嚥下障害を生じる
 

 側頸部の強い疼痛を生じる.
 

 リンパ節腫大が目立たない強い頸部痛は咽頭外側間隙の炎症の可能性を考慮

・そのまま声帯周囲に炎症が波及するとふくみ声や呼吸困難, 狭窄音,
 Tripoding postion, 窒息が生じる

 両側性の顎下間隙感染ではより気道閉塞リスクが高く, Ludwigh's anginaと呼ばれる.

(Infect Dis Clin N Am 21 (2007) 557–576)


LAの起因菌はPolymicrobialであることが多い

(American Journal of Emergency Medicine 41 (2021) 1–5)

・口腔内常在菌: Viridans Strepは40%で検出
 

 ついでS aureus(27%), S epidermidis(23%)が多い

・他にEnterococcus spp, E coli, Fusobacterium, Klebsiella, Strep. spp, Actinomyces sppが検出される.
 DM患者ではKlebsiellaの割合が高い(50%)

Streptococcus anginosusでは, 他の菌よりも急速に進行するリスクがある


LAに対する画像検査

・臨床診断が基本となるが, 造影CT検査は他疾患の評価, 除外にも有用.


 LAに対する造影CTの感度は95%, 特異度は53%.
 

 臨床判断と合わせると, 感度95%, 特異度80%

・MRIでも評価可能だが, 時間がかかる点からLAに対しては適応が難しい

・CTもMRIも仰臥位となるため, 上気道閉塞には注意が必要.

 
仰臥位をとれるかどうかの確認は重要.
また, 評価時に呼吸管理セットを用意しておく必要もある.

 困難ならばエコーで代用する方法もある.


CT画像例


LAの治療

・気道閉塞に対する気道管理, 
敗血症に対する循環動態の管理は重要.

・気道狭窄所見(呼吸苦やStridor, チアノーゼ, 呼吸状態の増悪)があれば,
 麻酔科, 耳鼻咽喉科コンサルトし, 気管挿管や気道確保を行う

・盲目的な挿管は気道閉塞を助長するため避けるべき

・抗菌薬選択



・LAに対するステロイド投与はControversial

 LAでは気道狭窄リスクが高いため, ステロイドが使用されることがある.

 しかしながらその有用性を評価したStudyはなく, 大半が症例報告のみ.

 2020年のNarrative reviewでは, 17論文より, 31例のGC使用例を抽出. 
使用されているのはデキサメサゾンが大半.
 GC投与の有用な点はこの論文では評価不能であり, 
投与を推奨も否定もできないのが現状 (Am J Otolaryngol 41 (2020) 102411)