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2022年1月14日金曜日

皮膚筋炎におけるILDのリスク因子; Palmar papule(逆ゴッドロン)

 逆ゴッドロンについては以下も参照:

http://hospitalist-gim.blogspot.com/2020/09/inverse-gottrons-signpapule.html

手掌, 指の屈側, 側面の丘疹であり, 有痛性では抗MDA5抗体陽性と関連がある.

無痛性は抗TIF-1γ抗体でみることが多い気がする.


ILD所見があり, この逆ゴッドロンがあれば慌てて免疫抑制を高強度で行う.


そのプラクティスを裏付けるような論文が中国から発表

(Rheumatology 2022;61:413–421)

Zhongshan Hosp, Fudan Univの皮膚, リウマチ, 呼吸器科を2008-2017年に受診した全ての皮膚筋炎患者を後ろ向きに解析.

・ILD, 急性/亜急性ILDの合併と, リスク因子を評価した.

・この期間中に受診したDM患者は207例.

 
DM-ILD合併例が153例. 慢性ILDが131, 急性/亜急性が22例.
 

 さらに急速進行性ILDは12例


臨床的特徴と検査所見の特徴


・Palmar papulesは急性/亜急性ILDの50%, 
 急速進行性ILDの75%で認められる.

・Palmar erythemaは急性/亜急性ILDの36.4%, 
 急速進行性ILDの41.7%で認められる.

・一方で, 慢性ILDではそれぞれ0.8%, 3.8%と少ない.

・抗体では抗MDA5抗体が急性/亜急性ILDの73.3%, 
急速進行性ILDの90%で認められる.

 慢性ILDでは7.5%

・Palmar papuleと抗MDA5抗体には関連あり.



DM-ILDのリスク因子

・Palmar papulesやPalmar erythemaは
非常に高いILDのリスクとなる.
・抗MDA5抗体もリスクを上昇させる傾向はあるが, 有意差は認められず.


抗MDA5抗体陽性はRP-ILD症例の9割で認められるものの, 慢性ILDでも認められており, その抗体が陽性=必ずしもRP-ILDとなるわけでは無い.

Palmar papulesやPalmar erythemaは抗MDA5抗体陽性との関連があり, さらにRP-ILDや急性/亜急性ILDとの関連性もある.

これからは, これら所見を伴う抗MDA5抗体陽性のILDでRP-ILDの超高リスクと考えられる.

ILDを見た時に, Palmar papuleがある場合, 結果を待たずにすぐに免疫抑制を行うというマネージメントは妥当であろう.