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2021年6月17日木曜日

臨床的に除外 が可能な肺血栓塞栓症 Pretest probability score: 4PEPS

 肺血栓塞栓症の予測スコアはさまざまなものが発表されている.

有名なのはWell's criteriaやRivised Geneva score

この2つの評価では, 可能性が高い場合は造影CTなど画像検査を, 可能性が低いならばD-dimerを評価し, 低値ならば除外, というステップを踏む.

それ以外のScoreも多くが臨床所見+D-dimerで判断する.

PERC strategyは8項目をチェックし, いずれも満たさない場合はPEを否定. CT血管造影など検査を行わない方法であり, 以下の項目をチェックする方法:

PERC(Pulmonary embolism rule-out criteria):
(JAMA. 2018;319(6):559-566.)

・SpO2≤94%
  ・HR≥100bpm


・年齢≥50歳
  ・片側下肢の浮腫

・血痰
  ・最近の外傷歴や手術歴

・肺血栓塞栓症やDVTの既往
  ・エストロゲン製剤の使用


そこで今回「臨床的に検査なしで除外可能」な群を含むPretest probability scoreの作成をおこんった.

4PEPS 
(4-level PE clinical Probability Score)

(JAMA Cardiol. 2021;6(6):669-677.)

・患者をリスクに応じて以下の4つに分類するように, USと西欧のERにおいて, PEを疑われた患者群を対象とし, PEの予測スコアを作成.

リスク


想定%

Very low

臨床基準のみで除外可能

<2%

Low

D-dimer <1.0µg/mLで除外可能

2-20%

Moderate

D-dimer<0.5µg/mLまたは年齢x0.01(>50)で除外可能

20-65%

High

D-dimerで除外不可画像検査必要

>65%

・N=11114, PE率11%の患者群でDerivation, Internal validationを行い, 


 2つの他のStudyデータよりExternal validationを行った;
 

 N=1548, PE率21.5%のPE高確率群と
 

 N=1669, PE率11.7%のPE中確率群.

母集団データ


Derivation cohortより
PEの可能性に関連する
要素とそのスコア化
(4PEPS)

・PEの可能性を下げる因子

 年齢(若年), 慢性肺疾患, 頻脈なし, 

・PEの可能性を上げる因子

 胸痛+急性呼吸苦, 男性, ホルモン療法, VTE既往, 失神, 4wk以内の体動困難, SpO2 <95%

 男性, 下腿の疼痛 and/or 片側浮腫, PEが最も考えやすい

スコアとPEの可能性

・Very Low <0点: そのまま除外

・Low 0-5点: D-dimer <1.0µg/mLで除外, それ以外は画像検査

・Moderate 6-12点: D-dimer <0.5 or 年齢x0.01(>50歳)で除外, それ以外は画像検査

・High ≥13点: D-dimer関係なく画像検査.


Validation cohortにおける各指標の評価

・画像検査を行う症例は4PEPSで最も少ない(46%, 32%)

・偽陰性は他の指標と大きくは変わらない.

・4PEPSは画像検査の施行症例を少なくすることが可能

 
Standard(Revised Geneva, Well’s)と比較して
-22%[-26~-19], -19%[-22~-16]と2割程度画像検査が減らせる