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2021年4月19日月曜日

特発性のしもやけ: Idiopathic pernio/Chilblains

四肢末端の色調の変化, 主に紫色〜赤色に変化する場合, もっとも致命的で緊急の病態である末端の虚血/阻血を疑い精査を進める.

個人的なやり方としては, (Am J Clin Dermatol 2010; 11 (2): 103-116)の論文に即したアプローチをとることが多い;

・最初に外傷, 循環不全をチェック. 蛇咬傷...経験はない

・次に寒冷により誘発/増悪するタイプかどうかを判断

・寒冷関連ならば

 増悪後, 正常にもどる: Raynaud現象の一部, Reflex sympathetic dystrophy

 増悪後, チアノーゼが残る: Acrocyanosis

 寒冷に関連した障害がある: Pernio/Chilblainの鑑別にはいる.

寒冷関連の鑑別疾患


・寒冷に関係しないものは, 以下の鑑別へ続く;



寒冷非関連性の鑑別疾患

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Pernio, Chilblain: しもやけ の背景

Mayo Clinicから提唱されたのPernio/Chilblainの基準は,
Major criteria: 四肢末端を含む局所の発赤や腫脹が24hを超えて生じる
Minor criteria(1つ以上を満たす)
・寒い季節に生じる/増悪する(11月〜3月頃)
・病理組織でPernioに矛盾せず(真皮の浮腫と表層, 深部の血管周囲のリンパ球浸潤), SLEの所見を認めない.
・保存的治療にて改善する(保温, 乾燥)
(Mayo Clin Proc. 2014;89(2):207-215)

この提唱の元になったデータ:
Mayo clinicにおける, 2000-2011年に診療された
Pernio/Chilblain患者 104例のReiview
(Mayo Clin Proc. 2014;89(2):207-215)
・女性が8割. 年齢は38.3歳
7割が足のPernio
11月〜3月の診断が81%

検査異常と背景疾患

・背景疾患は感染症, 血液疾患, 悪性腫瘍, M蛋白血症
RA, SS, CTD, 高IgGなどが認められた
・Lupus pernioは5例.

多くが治療への反応性を認める

このデータから, Pernio/Chilblainにおける評価/対応の推奨
・難治性ではLupus pernioや皮膚サルコイドーシスを疑うと, (Am J Clin Dermatol 2010; 11 (2): 103-116)のReviewに記載がある.

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Pernio/Chilblainの診療において, 背景疾患が判明すればそれに応じた対応が選択できるが, しばしばなにも判明しないものも遭遇する
最近はCOVID-19に関連したPernioも報告が増えている

明らかな原因がないものはIdiopathic Pernio/Chilblainと呼ばれる
どのような特徴があるのか?

Idiopathic Pernio/Chilblain
(Vasa (2020), 49 (2), 133–140)
・明らかな原因が認められないChilblains, Pernio.
・40代までの女性で多く, 小児例は稀
四肢, 顔面(耳, 鼻など)の発赤〜紫色の色調変化と疼痛.

 一部は潰瘍や水疱を形成するものもある. 寒冷で増悪.
11月〜4月の発症が多い.

・症状は多くは1-3wkで改善するが, 中には長期持続するもの, 冬季〜春季に再発を繰り返すものも報告されている
・低体重や喫煙はリスク因子となる

・家族歴(+)はRR 3.6との報告もある

病態生理は未だ不明確なところが多い
・寒冷に対して, 異常な反応を示している状態
・寒冷に対して血管を拡張させる反射は, 通常末梢の虚血を予防するために重要な反射であるが, Chilblainsの患者では寒冷に対して血管は収縮し続け, 末梢の炎症を惹起する.
・低体重患者や低栄養患者で生じることからは, 身体の体温調節機能の低下がこの病態に関わっている可能性も示唆される


組織所見
・Pernioに対する皮膚生検はルーチンには不要.
 
他原因が不明な場合, 保温で改善しないような非特異的な場合に検討すべき

・真皮の浮腫と乳頭層や網状層のリンパ球を主とした炎症細胞浸潤を認める
・エクリン腺周囲の浸潤が特徴的な所見(Lupus pernioでは認めない所見)
・上皮には壊死したケラチノサイトが含まれる海綿状変化を認める
・皮膚血管の微小血栓閉塞も認められることがあるが, 非特異的

参考: Lupus-pernioで認められる所見
・免疫複合体, 補体の沈着はLupus-pernioで認められる
・皮膚間質のフィブリン析出はLupus-pernioの方が多い所見
(Idiopathicでも認めうる)
・CD3+ T細胞, CD68+マクロファージの浸潤を認め, 
CD20+ B細胞が少ない所見は双方で認められる.
CD123+細胞の分布も双方で同様に認められる.

Idiopathic pernioのNail-fold capillaryは?
(Mod Rheumatol (2013) 23:897–903)
・53例のIdiopathic pernio(女性18, 年齢25±9歳)と,
38例の年齢, 性別を合わせた健常人で, Nail-fold capillaryを評価
・患者群ではCapillary径は広く, ねじれも60%と多い
・患者群内の評価では, 初回/再発, 喫煙の有無, 
活動性/非活動性で
所見に差はない

Idiopathic Chilblainの症例Review.
(The American Journal of Medicine (2009) 122, 1152-1155)
・113例の文献報告例のReviewでは, 女性例が77例, 男性例が36例

 全例が冬季〜春季の初め(11月〜4月)に受診. 気温 12-15度以下

・手が41/113, 足が90/113だが, 下肢のみを対象とした報告もあるため, 優位性は不明

 他の部位としては, 少ないが耳や鼻, 膝など
・症例報告のなかには, BMIの低値や痩せ(IBWの18-22%低い)が関係しているとする報告も多く, 体重増加と局所の保温により改善を認めた例も報告されている.

Chilblains/Pernioの対応
・対応の中心は寒冷暴露の回避と保温

・禁煙指導も大事

・痩せている患者では栄養摂取の指導も.
・薬剤治療ではCCB: Nifedipine 20-60mg/dが多く使用され
効果も報告されている