いろいろなところで既に話題になっている, 11/16にNEJMより発表されたCOLCOT trial
(Efficacy and Safety of Low-Dose Colchicine after Myocardial Infarction NEJM 2019. DOI: 10.1056/NEJMoa1912388)
コルヒチンは動脈硬化による炎症を抑制し, 動脈硬化に合併する疾患の予防効果が期待できる.
COLCOT trial: 心筋梗塞後30日以内の患者を対象とし, コルヒチン投与 vs Placeboを比較したDB-RCT.
・患者は心筋梗塞を発症し30日以内の患者で, PCIで治療され, 国際ガイドリンに沿って高用量スタチンも開始されている群を対象
・除外: 重度の心不全, LVEF<35%, 3ヶ月以内の脳卒中既往, 2型心筋梗塞(酸素供給量と需要のバランスで生じるMI: スパスムや貧血など), 3年以内のCABG施行歴・今後CABGが予定されている患者, 3年以内の皮膚以外の悪性腫瘍, IBD, 慢性下痢症, 神経筋疾患, 持続性のCPK>3ULN(梗塞以外の原因で), 血液障害, 重度の腎障害(Cr>2ULN), 重度の肝障害, 薬剤・アルコール依存, ステロイドの全身投与, コルヒチンアレルギー
これら患者群をコルヒチン0.5mg/d群 vs Placeboに割り付け, 比較
母集団データ
アウトカム: フォロー期間の中央値は22.6ヶ月
・心血管イベント・死亡リスクは有意にコルヒチン群で低下する結果.
・特にリスクが軽減するのは脳卒中と再灌流療法を必要とする狭心症
それぞれ -0.6%(NNT 167), -1%(NNT 100)の低下
・炎症マーカーである高感度CRPや白血球数の変化は両者で有意差を認めず
副作用頻度
・悪心や鼓腸はコルヒチンで多いが下痢の頻度は有意差なし.
・肺炎がコルヒチン群で多い
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MI後の少量コルヒチン投与は脳卒中リスクや再灌流療法を必要とする狭心症のリスクを軽減し得る.
消化管症状が副作用としては多いが, 継続可能なレベル.
これはインパクトの大きいRCT.
確かにコルヒチンは痛風や擬痛風を繰り返す患者などで長期的に使用することがありますが, 少量投与ならば高齢者でも(この場合は0.25mg程度ですが)耐えられる人は多い印象です.
動脈硬化性疾患のリスクを軽減できるならば抗血小板薬やスタチンとともに予防薬として広がる可能性はありそう.